時間 《1》 | 気まぐれなイヌ

気まぐれなイヌ

小説を書いています。

ピピピ…ピピピ…ピピピ…。



また新しい1日が始まった。

私は『鳳坂 凰華(ほうさか おうか)』

明和高校に通う高校3年の17歳だ。


目覚ましの音は嫌いだ。

せっかくの安らぎの時間に水を差されるのだから。



「ふわぁ…。」



欠伸をして背伸びをして、いつもと変わらない1日の始まり。

リビングに行き、母の作った朝食に口をつける。



「いただきまぁーす。」



今日は目玉焼き。

卵の下にはジューシーなベーコンが隠れている。

のんびり食べていると母がお弁当を置きながら言う。



「時間…見てる?」

「ん??」



時計は7時10分。



「ヤバイ!!」



ご飯は急きょ、終了。

一刻も早く駅に向かわねば!

【彼女】に何を言われるか分からない。

乱暴にお弁当を手に取るとカバンに入れて玄関にダッシュ。



「いってきます!」



ドアが閉まるまでに聞こえた母の声。



「いってらっしゃい。」



この声が永遠に聞けなくなるなんて…。






最寄りの駅に到着し、急いで改札口に向かった。

辺りを見回すが【彼女】の姿は見当たらない。

あぁ良かった…今日はだいじょう……。



「鳳ぉー華ぁー…。」



…遅かったか…。

両手を腰に当ててズカズカと威圧的に【彼女】は近づいて来た。



「遅いっ!!」

「ごめんって…。」



【彼女】は『小早川 鈴(こばやかわ すず)』

私と同じ明和高校に通う同級生だ。

彼女が怒るのには、ある特別な理由がある。

それはまた後で説明しよう。


ホームで電車を待っている間、ずっと不機嫌な鈴。

まだ怒っている様子。



「まだ怒ってるの?」

「当たり前じゃない!鳳華のせいで1本遅れたのよ?!」

「すいません。でもさ、何でわざわざ電車も合わせる必要があるの?」

「誰よりも先に会いたいから。」

「さようですか。」



この情熱はある意味、尊敬に値するものがあるように思う。

だが、愚痴は長いのだ…。




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