prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「狂った一頁」

2022年01月18日 | 映画
一度散逸したと思われた大正時代の映画が発見されて、いつでも配信で見られるのだから、凄い時代になったもの。

精神病院(その頃は脳病院と呼ばれていたのでは)を舞台なのだが、鉄格子が視覚的には要になっているのが直接影響を受けた「カリガリ博士」の表現主義的な異様な効果。
二重露光をすごく多用しているのだが、オプティカルでやっているのか、カメラ内合成なのか、いずれにせよ良く上がっている。
とびきり前衛的な音楽がつけられているのが、妙に合っている。

「リング」の呪いのビデオが90分続くみたいな只事でない異様さがある。
本当に古いフィルムであること、技術が比較にならないくらい進んだ今だと逆にこういう手触りの画面を作れないだろう。
また、出てくる人たちの顔つきが今とまったく違う。能面をつけるとそれまで興奮状態だった患者たちがおとなしくなるシーンがあるのだが、生のマスクがそれ自体モノとしての厚みがある。

また、おどろおどろしい一方かと思うと、夫婦の関係を描くあたりになるとしっとりした情緒が漂うのがまた面白い。監督の衣笠貞之助はもともと新派の女形ということもあるだろう。





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