今週の「朝採り野菜ボックス」のお手紙です。
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3月も半ばを過ぎ三寒四温の春っぽい季節になってきましたね
私は人参を作っているのですが、今がちょうど芽が動き出してしまうギリギリの掘り上げ時期なので、中学を卒業して暇な息子を連れて、1年ぶり以上に畑に行って来ました
久々に畑に来た息子とまずはキジ探し。私の畑の周りでは春は人間よりキジに会う事が多く、最近良く見かけるようになったのです。ところが結局見つからず。まだケーンケーンという鳴き声は聞こえて来ていないのでまだ繁殖期前だったからでしょう。
代わりといっては何ですが、道端に10個ぐらいの穴が集落のように集まったアリの巣を見つけたので、2人でアリの観察。大きくて運びずらそうにしていた虫の死骸を巣穴近くまで持って行ったり、ちょっと穴の周りの土をひっくり返してみたり。「今度生まれ変わったらアリになってアリの巣がどうなっているか見て見たいな」なんて発言もする息子にほっこり。こちらもアリの動きをじっと見つめるのは数年ぶりだったので、久々に童心に返りました
さて、その後は人参掘り。1時間ぐらい仕事をしたのですが、最初は「何か静かでいいね」と言っていた息子が終わりの頃には「なんか誰もいないから1人でいたら逆に怖いね」と。それに対し「この辺りに住んでいる小中学生はこれが普通だからね。こういうところで育った子供と街中で育った子供は感性も育ちも違うよね」と言ったら「なるほど」と納得していました。
そんな事があった数日後に開催した「食と命の教室」の参加者の1人がモンテッソーリ教育の先生で、「中高生時代は大地の世代と言われて一番土に触れたり自然に触れたりするべき世代なんです」と言っていました。
私は詳しくは無いのですが、一般的な教育とは違った流れでシュタイナーと同様にモンテッソーリの名は良く聞きます。今回お会いした方のお子さんは、この秋からアメリカの中学校に行くそうですが、そこでは自分達で畑をやり、家畜も飼い、殺して食べ、経営にも携わるそうです。
「思春期と言われる大きな変化が起きる時期こそ、大地に触れる必要があると考えられているんです」とのこと。
確かにホルモンバランスが変わり心や体が大きく変容する時期には、座学ばかりさせられるとより不安定になるかもしれません。逆に体を動かしながら自然の大きさや命に触れる体験を沢山する事が大切な気がします。
今回の教室でも、テーマはちょうど「土」でした。
土の中にはミミズだけでなく、さらに小さいトビムシやダニやなどもいます。そこには小さい物が大きな物に食われ、その糞尿や死骸はさらに小さいカビ、酵母、バクテリアなどが分解し、目に見えない分子レベルの最終物が植物の栄養源になるという生態系があります。
多くの生き物とその死骸が混然した命溢れる土には、たった1CCで1億以上の生き物がいるというのだから驚きです
そのミクロの世界の詳細を映したDVDを観た後、実際に野ざらしにした草が何年もかけて土になったものを触ったり匂いを嗅いだところ、参加者全員が「土が出来上がるシステムや凄さを体験出来ました」と驚きと感嘆の言葉を発していました。
と同時に「こういった事を子供達にも学んでもらえたら」という意見も。
確かに1年を通して畑に携わる学科があっても良いですよね。
昔は当たり前にあった鶏やウサギを飼う生き物係は今は無くなり、命に関わる体験は小さなプランターで植物を育てるぐらいです。でも、命や自然について沢山触れる経験を積んで置くことが、後に大きな心の支えになったり、地球環境や他者の命を考える土台となる気がします