今の時代では描けない、そんなモノが過去の作品には沢山あります。
ドラマで言えば、スクールウォーズにおける対相模一高戦後の鉄拳喝入れ、金八先生の腐ったミカン騒動等でしょうか。

アニメで言えば、ドラえもんにおけるジャイアンの暴力、先生のゲンコツ&廊下に立たせるというシーンであり、極めつけはガンダムにおけるブライトのアムロへのビンタでしょう。

ブライトのあの名言「殴って何が悪いか、殴られずに一人前になった奴が何処にいる」は今や禁句でしょう。あぁ・・・

$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-乱闘1勿論、宇宙戦艦ヤマトにも今では描けない描写があります。

それが本記事の題名にもなっているヤマト乗組員と空間騎兵隊との乱闘シーンでしょう。


この乱闘シーンは「佐渡酒造」でも触れましたが、その端緒から見てみましょう。

ヤマト乗組員と空間騎兵隊との摩擦は、空間騎兵隊が乗艦した時から始まりました。同隊はヤマトに救出されたにも拘わらずにです。

$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-食事マナーゲリラ戦をも展開する空間騎兵隊は粗暴そのもので、
ヤマト食堂での食い散らかしぶりに加藤三郎の堪忍袋の緒が切れます。

←マトモに食事をしたことがないのか!と声を荒げる加藤三郎
$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-何やマナーってそれに対し騎兵隊員は「こんな事で驚いてちゃ困るぜ!草ッ原ではいつくばったり穴倉へ潜り込んだり時には泥にまみれて食うんだ!分からねぇだろうなぁ」と皮肉り、更には「止めろエリートさんに分かる訳ねぇよ!あの味が。装甲盤に囲まれたお城にいると行儀まで良くなっちまうらしいぜ」と嘲笑するのでした。

これには加藤三郎も激怒し、一触即発の険悪な状態となります。この場は森雪が間に入り仲裁しますが、火種が燻ぶった状態で衝突は時間の問題でした。

その後、戦闘時に斎藤始が艦内をウロウロし「俺にもヤラせろ」と戦闘の邪魔をしたことに端を発して上記の乱闘となる訳です。

しかし、ここまで派手に殴り合ったにも拘わらず、両者の関係はこれ以上は悪化しませんでした。

悪化しないとは言っても事ある毎に乱闘をしているのですから、十分問題ありなのですが、現代と違い陰湿さが全くないのは、基本的に人が良く懐の深い者同士の争いだからでしょう。

特に空間騎兵隊隊長の斎藤は人懐っこい面があり、何だかんだ言いながらヤマトクルーとコミニュケーションを取っている姿は注目に値します。

$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-古代と斎藤の乱闘←ガミラスの生物兵器、宇宙蛍の処置を巡り、古代と対立した斎藤は古代に詰め寄り、再び乱闘へと突入してしまう。
しかし、宇宙蛍が重力装置を破壊したことで艦内は無重力状態となり、乱闘どころではなくなった。

$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-戦闘空母を片付けろその後、斎藤はわざわざ第一艦橋まで足を運びに来ている。乱闘する程気に入らない人間の元に普通は足は向かないものだが、そういった様子は斎藤からは見て取れない。更には宇宙蛍を散布した戦闘空母を追わずにいる古代に注文を付けるのである。

$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-いけね自らの意見を古代に軽くあしらわれた斎藤は駄々っ子の様にその場に座り込むが、森雪に早く掃除しないとバクテリアに部屋を食い荒らされるわよと諭されると子供の様に「いけね」と言い残し、慌てて部屋に戻るのである。


斎藤のこの様子から判断すると、もう喧嘩すらコミュニケーションなのかも知れません。
この後、宇宙蛍に食い荒らされた船体を補修すべく、空洞惑星へとヤマトは入り込みますが、ヤマト食堂で悪態を付いていた空間騎兵隊員も船外掃除を意気揚々と行っています。

$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-暮れの大掃除←隊長、暮れの大掃除を思い出しますね・・・と呑気なことを言う空間騎兵隊隊員達。

ゲリラ戦を専門とする粗暴な集団ではあるものの、斎藤と同じくどこか憎めない。
しかし、テレザート星ではザバイバル機甲師団と死闘を演じるのである。

この空洞惑星はタランの発案した罠であり、ヤマトは身動きが取れなくなり窮地に陥りますが、そうなると再び斎藤は第一艦橋へと足を運ぶのでした。
この積極性にはもう脱帽するしかありませんが、そんな斎藤を古代もジャケンにしつつも波動砲発射の準備を促すのでした。

$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-ほらそこが空いてる←ほら、そこが空いてる、お前も早く準備しろ。と斎藤に声を掛ける古代進。

古代の方が年下だが、斎藤の方が子供っぽい。




何かと衝突と乱闘を繰り返している2人ですが、しっかりと人間関係が出来上がっているところが今では新鮮な描写ではないでしょうか。

こういう触れ合いがあればこそ、古代は第11番惑星への戦友の墓参りを認めたのかも知れません。そして隊員達の見守る中、斎藤は第11番惑星へと降り立ち、以後、古代と揉めることは無くなり、義理固く古代の為に命を散らすのでした。



---おまけ---

斎藤は古代以外ともタイマンを張っています。
意外にも島とも拳を交えていますが、やはり注目すべきは航空班とのタイマンでしょう。

タイマンの相手は航空班の顔、班長、副班長の両者ですが、その闘いぶりから当該人物の特徴、性質を窺い知ることが出来ます。

先ずは副班長の山本明から。
$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-山本対斎藤1コスモタイガー出撃時に後ろからいきなり殴りかかられ、愛機を奪われた山本は、当然黙ってはおらず、帰還して自慢気に武勇伝をヤマトクルーに語る斎藤にいきなり殴り掛かる。
当然ここからタイマン勝負へ突入することになるが、山本の特徴がよく出るのである。

$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-山本構え「野郎不意打ちを食らわしやがったなぁ」と激昂する斎藤に対し「やるか」と迎え撃つ姿勢を見せる山本。

そのガードは高く、緊張からか汗もかいている。
そう、山本は守備的なのである。
$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-山本スタンス全身のスタンスを見ると、後ろ足に体重が掛かっていることが分かる。

やはり、攻撃的ではなく守備的なスタンスで、ボクサーでいうところのアウトボクサータイプなのである。


このことから、軍人としての激情はあっても、基本的には慎重なタイプであることが分かる。
しかし、ここで真田が捕獲機の調査をすると割って入っている為、殴り合いには発展しなかったが、派手な打ち合いにはならなかっただろう。

次は隊長の加藤三郎。
$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-加藤三郎の右ストレート山本とは一転して、しっかり踏み込んで右ストレートを放っている。
真っ向からの打ち合いに臨んでいることが分かる。

当然、斎藤も望むところで、かいくぐってパンチを放ちにかかっている。

お互いに踏み込んでいるのので、インファイトの距離となり、激しい打ち合いへと移行することは手に取るより明らかである。
つまり、加藤はイケイケの攻撃的なタイプであることが分かる。

$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-斎藤静止される予想通り、闘いは激しさを増し、両者共静止されて引き離される。

斎藤の傷だらけの顔が打ち合いの激しさを物語っている。

斎藤も打ち合いが好きなイン$batuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋-加藤静止されるファイターなので、イケイケの加藤とは歯車が噛み合う為、お互いが深手を負う結果となった。

加藤の顔も腫れ上がっており、お互いガードをせずに打ち合ったことが分かる。


班長の加藤三郎と副班長の山本明は対照的であり、ヤマト航空隊はバランスが取れていたのではないだろうか。


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