人材育成とは忍耐力が要るもので、人としての器が如実に出る分野ではないでしょうか?それら人材をどう扱い、まとめていくかも同様です。

今回から2回に渡りこの人材育成と統率学の視点から見ていこうかと思います。

今回はタイトル通り沖田十三、次回は古代進を取り上げます。

沖田十三は厳格な人物であることは、ヤマトの航海を見ていれば分かるでしょう。古代守が撤退命令に背いて敵軍に突撃し落命した様子を目の当たりにした後は特に秩序を重んじるようになりました。その様子は「沖田艦長、真田技師長と古代兄弟」を参照。

しかし、情に厚い面もあれば非情な一面もあるのが沖田十三です。
地球人類の命運を握っているヤマトの航海に失敗は許されません。その点においては情に流されていてはいけないのです。

身近な例に例えると優勝を義務付けられた強豪校の部活でしょうか。3年間頑張ったからという温情采配をしてしまうと敗北を喫することがあるからです。チーム競技なら許されないことです。部活と戦争とではスケールが違い過ぎますが、勝負事は例外なく非情なものなのです。

私は昔、監督に一度だけ温情采配をしたことがある。と述懐されたことがあります。それで負けて以来、情をかけたことがないと仰っていたのをこの記事を書きながら思い出しました。

山本機帰還困難沖田艦長はワープテストの際に被弾した山本機の為にワープテストを中止することはしませんでした。定刻迄に帰還しないと切り捨てる姿勢は非情そのものです。
ワープ予定に変更効かないしかし、それは真田工場長からヤマトの機能は全てワープ予定時間に合わせているから変更が効かない旨の補足説明が古代に対してなされており、ヤマトを護る為には止むを得ない状況であったことが分かっています。


沖田艦長のこの時の非情な決断は、ヤマトを預かる立場として当然の判断と云えるでしょう。

タイムリミット8時間冥王星基地攻防戦でも同様に、古代達基地探索隊から基地発見の一報が定刻迄に入らねば、砲撃に打って出る姿勢を見せました。

探索隊の中に特に目を掛けていた古代進がいたにも拘わらずにです。

この辺の現実主義者ぶりも沖田艦長の特徴ですが、この時も敵潜水艇の攻撃でヤマトは酸素供給システムが故障し、8時間しか潜水出来ないという状況下だったので、これも当然の判断でしょう。

しかし、いくら有能でも、非情なだけでは人は付いて来ませんし、第一士気にも拘わります。信頼関係がなければ一致団結出来ずに組織が瓦解してしまうのです。

ヤマト浮上沖田艦長はこの時、古代達探索隊の為に出来る限りの援護をしています。それはヤマトを囮に浮上させ、反射衛星砲を撃たせ、基地を特定し易くするものでした。

実際、それで基地を突き止めることに成功しています。

しかし、いくら探索隊を助けても、帰還すべき母艦であるヤマトが轟沈しては本末転倒ですが、沖田艦長は鋭い観察眼により既に反射衛星砲の特性を見抜いており、ヤマトが被弾することがないと踏んでの援護でした。
この辺は流石という他はありません。

ヤマトのイスカンダルへの航海は、熟練した兵士達の多くが戦死しており、若手主体の乗組員を育てながらの絶望的な航海ですから、並の神経では務まらないでしょう。しかも沖田艦長は病身でした。

この絶望的な航海を成功させる為には、乗組員の信頼を得ておくことは絶対条件ですが、間違いのない戦術眼を実戦で見せ付けることにより、誰もが沖田艦長を頼るようになっていたことが窺えます。

羨望実際に、ヤマト発進時において、迫りくる危機にうろたえる古代に対し、冷静沈着に危機を乗り切る沖田十三の姿に一目を置く古代の姿が描かれていました。

勿論、防衛艦隊の司令官であった沖田の偉業を知らぬ軍属はいなかったでしょうから、ハナから畏敬の念を乗組員たちは持っていたことでしょう。

度重なる窮地を脱する度に更に信頼度は増していき、最終的には若手乗組員はキッチリと育ち、古代進の口答えも無くなりました。

勿論、立場にあぐらをかくこともなく、必要とあらば古代を引っ叩いたり、発信源の探知を怠った太田を注意したりと細かく指導もしています。

病に倒れた後は古代進を艦長代理に任命して成長を促しました。実力や階級的には真田を艦長代理に任命するのが道理ですが、立場が人を育てることを知っての起用でしょう。

この経験は、その後の古代進にとって大きな糧になったことは間違いなく、1年後の白色彗星戦役の航海では一気に大人びた姿を見せました。



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