バルトーク作曲。
弦楽とチェレスタ、打楽器のための音楽
略して弦チェレ。今月定期の曲です。

楽員ブログの方にネタ提供したのですが、
この曲が好きすぎるので
自分のブログにも投稿しておきます♪



↑楽器は他に、鍵盤楽器とハープ。パート割と配置が少し変則的で、こんな感じになっています。
手書きでゴチャゴチャ書いてあります。
この曲、実は大学院時代に分析した曲の1つで、その時の楽譜を大事に取っていました。



普通のオーケストラ曲以外にあまり知らなかった学生時代、この変わった曲に惹かれ、ウィーンでサイトウキネンの演奏を聴いて更に「なんて格好良い曲なんだろう!」とハマりまして。

当時、2楽章と4楽章の冒頭1分くらいを打ち込んでMIDIにして、mld変換してガラケーの着メロにする熱狂ぶり。

ずっと、ずっと、弾きたい曲で、今回やっと機会に恵まれた事で、分析した楽譜を出してじっくり見ると…

・・・何が書いてあるのかさっぱりわかりません。覚えていないものですね。黄金比が使われていて、計算機を使いながら「クライマックスはここですね!」とかやっていた事は覚えているのですが、前述したガラケー着メロで耳に残っている部分もちゃんと楽譜を見てみると「思っていた譜割りと違う」なんて情けなさ。
改めて楽譜を片手に音を聴いてみると、やっぱり格好良い2楽章と4楽章!
相変わらず理解出来ない1楽章と3楽章、なのでした。

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という事で、曲の紹介を少し。

〜バルトークの基礎知識〜
彼は当時珍しかった蓄音機を持って民俗音楽の収集をするのがライフワークでした。という事で彼の作品には民俗的な曲も多く残されています。
また、黄金比を用いて楽曲を書いた事でも知られていて、特にこの弦チェレは顕著に表れているのでは無いでしょうか。

※黄金比とは
例1)フィボナッチ数列がわかる方は、その隣り合う数字の比率が近似値であると思って頂ければ大丈夫です。
例2)高校数学時点での私の理解。ある長方形から短辺の長さの正方形を切り取った時に、残った長方形が最初の長方形の短辺長辺比率と同じ、何度繰り返しても比率は同じ。これを解の公式の計算式に当てはめると出る答えは1:1.618(以下切り捨て)
例3)分析時に習ったもの、以下の画像

ちなみにこの黄金比は、「この辺かな」というのは小節の数で計算出来ますが、演奏タイムで考えると同じ楽章の中でもテンポが変わるので、その小節は若干前後します。

また、バルトーク独特(だと私は思っている)中心軸システム(五度圏システム)と、それに踏まえてこの曲を簡単に分析したものがこちら


ここまでが基礎知識。
では本編の分析を!
とご紹介したいのはやまやまですが、その内容がこんな感じでして↓

ええっと。自分で改めて見ても、解説が無いとちょっとよくわからないのです。。

ということで、聴きどころを少し。
私が実際の演奏を聴いて「凄い!」とワクワクしたのは、配置と構成からくるステレオ効果。
※配置は最初の画像をご参照ください。
2楽章冒頭で、おお!と身を乗り出しました。
現在の通常配置や、時々あるただの対向配置では叶わない、変な言い方ですが生音のステレオ効果。
普段よくクラシックを聴かれる方ほど、その新鮮さにお気付き頂けるかと思います。
譜面の上ではこんな感じになっています。

明らかに左右からくる音、これは4楽章でも感じられるかと思います。

この曲自体の黄金分割点は3楽章。歌。
きっとバルトークが一番聴かせたかった部分なのでしょう。

私がオーケストラに携わる仕事をするようになって約15年以上、演奏機会が無かった弦チェレ。という事はお客様もあまり触れる機会が無かったのではないかな、と思います。
バルトークの計算され尽くした世界、そして彼の音楽を堪能して頂ければ幸いです。


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