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【16/04/09】発達障害本のミス(注意点)

小学館のサイト 1月下旬に『発達障害の改善と予防:家庭ですべきこと、してはいけないこと』という著書を出版した(小学館,2016/1/27)。

発達障害に関わる多数の諸研究と自らの実践(発達障害の改善=教育相談)を踏まえて, 「発達障害の改善と予防に関する諸問題はこの一冊で十分」という思いで(数か月かけて,かなり集中して)書いた。想定している主な読者は発達障害のお子さんをお持ちの親ごさんたち(あるいは,これから妊娠・出産する一般の方々)なので,科学性を極力維持しながらも,なるべく平易にし,かつ,改善例も多少記載した。もちろん,親ごさん以外にも,発達障害に関わる様々な方々(支援者や公的関係者など)にも読んでもらいたいと思っている。

と,まあ,この著書に関して(このサイトで)色々と書こうと思っていたのだが,その前に「ミス」に関してお詫びしたい。対象とするお子さんの年齢(8歳未満)を表題やまえがき等で明記していない, というミスである(目次や本文を書店等で目を通して頂ければすぐ分かるはずだが,アマゾンなどのネット上では分からない思う)。

発達障害は,基本的に幼少期に発症する(例外はむろんあるが,通常は3~4歳頃まで(遅くとも7歳頃まで);自閉症スペクトラムなら1歳未満でも)。また,本来の発達障害には遺伝性がある。いわゆる「新生突然変異(de novo mutation)」が関与することもある。従って,妊娠時点(受精時点)で発達障害は問題になり得る。さらに,妊娠中や出産後のみならず,妊娠前の「予防」も重要である。つまり,発達障害の予防と改善に関して重要な期間は,妊娠前,妊娠中,そして出産後7年以内ほどである。

各種発達障害はどれも明確な脳機能障害である。そのため,脳の発達パターン・特徴を踏まえても,発達障害の改善に適しているのは,8歳未満,通常は4~6歳(自閉症スペクトラムの場合なら3歳未満)である。そのため,私の行っている「発達障害の脳科学的改善(教育相談)」でも主に扱っきたのは8歳未満のお子さんたちである。さらに,発達障害関係の(海外での膨大な)諸研究でも幼少期に関する研究が大半を占めている。

本書は,脳の発達パターン・特徴を踏まえた多数の実践と,膨大で多岐に渡る諸研究を踏まえているので,お子さんの年齢としては幼少期にほぼ特化している。しかし,発達障害の発症が幼少期であっても,幼少期で改善せずに少年や成人でも継続して罹患しているケースは少なくない。
なので,「8歳未満の幼少期に特化」というのは,本書の性質上,適切ではあるが,この点を表題やまえがきで明示していないことで「年齢」に関して誤解を招きかねない,という点では「ミス」である。

と言うわけで,本書は,「幼少期のお子さんに関するもの」「これから妊娠・出産する方々に関するもの」ということをこの場を借りて注意・強調しておきたい。
このこと知らずに,「8歳以降の少年や成人でも・・・」という思いで本書を購入した方にはお詫びしたい。申し訳ありません。

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2016年04月09日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

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