即興小説その2「題名:未定」 | 人生を変える小説 by 魔法のネコ

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里中は緊張していた、いつ佐藤からサインが出るかもしれない。

しばらく静寂が続いた後に、佐藤が切り出した

「しかし、佐藤と里中がそちらの場所に行けるとは限らないな。

彼らはテリトリーから出てはいけない指示が出てるからな。」

そう言った途端、佐藤はすっと前に飛び出した。

里中はあわてて、佐藤の動きにあわせた。

「彼らに伝えてくれ。我々はそこにいくと」

すると、男は軽くうなづいた。

「感謝する。約束は取り付けたということで」

男は背を向いて、再び闇へ消えていった。

里中は、ふーと息をついて腰をおろす。

「佐藤さん、どうするんですか?だいたい怪しくないですか?」

「おそらく罠だろうな」

「ですよね、だったらやめましょうよ。あんな約束守ることないっすよ」

「しかしそういうわけにはいかない。我々が行くということこそが、

使命だろうから。」

佐藤と里中は旅の支度をして出かけた。旅は予想以上に時間がかかった

それは佐藤の足が不自由だからだった。佐藤は自分から痛みを伝える

ことは決してなかった。里中はそんな痛みをこらえる佐藤を見守りながら

気づかれないように配慮をしながら旅を続けた。

この旅の途中、里中はずっと感じていたことがある。

それは佐藤がどこか自分の死に場所を探してるのではないかという疑問だった。

何か今回の罠ということも分かった上で、むしろ進んで自分から名乗った

こともおかしいと感じたのである。

佐藤もさすがに里中の気遣いに気づいて悪態をついた

「おい、もっと早く歩けるだろう」

「いいえ、荷物が重いのですみません」

「だったら、荷物を少し俺によこせ」

「いいえ、自分の荷物は自分で」

「とにかくだったら早くいけ!」

佐藤はイライラしてるようだった。いつも大切な瞬間の前には佐藤は

こうしてイライラするクセがある。

休憩の間、里中は例の青い袋の中身を見続けた。いつか使う瞬間が

来るのだろうか。