伊勢神宮では、まず先に外宮を先にお参りするというのが通常の考えだ。
なぜですか？
決定的ルールがあるわけではない。しかし、神宮の祭典は、「外宮先祭（げぐうせんさい）」といって、まず外宮で祭儀が行われるならわしがある。その祭儀の順序にならい、参拝も外宮から内宮の順にお参りするのがならわしなのだ。
では外宮にGO！
上の地図はやや小さいかもだが、拡大して見てほしい。
①手水舎
上の地図１から入り、まず２の手水では手を洗い、口をすすぐ。
どんな意味があるのですか？
手や口を洗い清めることは禊（みそぎ 神と会う前に心身を清めること）を簡略化した儀式でだ。身も心も清め、清々しい気持ちでお参りするためのものだ。↓がその作法だよ。始める前と終わった後に軽く１礼しよう。
（絶対知っておきたい伊勢神宮の正しい参拝方法を4ステップで解説！これでご利益にニッコリ！ | 伊勢神宮参拝の旅 (isetabi.net)より）
なぜ左手から清めるのですか？
日本人は、古来、太陽を崇拝していた。 太陽のある南を見て日が昇る左が東、右が西だ。だから左を重視するという説もある。
太陽が現れる東の地の果て（と当時は思われていた）である伊勢に神宮を作り、太陽神である天照大御神を祭っているというわけよ。
なるほど。
②鳥居
また、鳥居をくぐると神域に入りますので、鳥居では必ず一礼しましょう。
外宮は左側通行、内宮は右側通行で参道も右側を歩くよ。
なぜですか？
「神宮」において神聖な「御正宮」に少しでも遠い位置から神域内を我々俗界の人間が徐々に近づく様にすべきだとされる。外宮と内宮の正宮の位置に注目。外宮は左側から、内宮は右側から近づくべきだとされているんだ。
手水舎の位置もそれに合わせてつくられています。
③正宮
さて地図３の正宮（しょうぐう）に進もう。
正宮は内宮にいる天照大御神のお食事を司る神であり、衣食住を始め産業の守り神でもある豊受大御神（とようけのおおみかみをお祀りしています。
なぜ、正宮を最初にお参りすべきなのでしょうか？
神には序列がある。やはり、一番偉い神から順にお参りするのが良いとされているのだ。↓が正宮だ。
ちなみに正宮ではお賽銭は禁止だよ。
なぜですか？
お賽銭は個人的な頼みごとのためにするものだ。しかし、伊勢神宮の正宮は、個人的な頼みごとをする場ではなく、本来は天皇が国事について祈るための神社なのだ。だから、個人的なお願い事のために、神に捧げものをするのは禁止なのだ。これを私幣禁断（しへいきんだん）という。
だから、伊勢神宮には、個人的な吉凶を占うおみくじもないんですね～。
④お参りの作法
また、お参りする時は「二礼二拍手一礼」だ。
まず深い礼を2回して、両手を合わせて右手を少し引き、拍手を2回。最後に深い礼を1回するのです。
これもなぜそうなったのか知りたいです。
実はお参りには様々な作法があったが、１８７５年に明治政府が決めた作法が現在に伝わっているのだ。当時、神道は日本の国教とされた。だから、参拝の作法も政府が決めたのだ。
「二礼」「二拍手」「一礼」のそれぞれには意味があるのですか？
人に対しては通常、一礼だが、神に対しては人に対する一礼と区別する意味で「二礼」なのだ。また、「拍手」には邪気を払い、神を招くという意味がある。さらに、最後の「一礼」は、神様に対する感謝を示すとともに、自分の目の前にいらっしゃった神様を丁重に送り出すためだ。
全てに意味があったんですね。
⑤多賀宮（たがのみや）
次は多賀宮に行くのが順序だ。多賀宮は豊受大御神の荒御魂（あらみたま）を祭っている。
荒御魂って何ですか？
昔の日本人は、神霊は、異なった霊能をもつ別個の霊魂から複合的に構成されていると考え、これを2大別して荒（御）魂（あらみたま）・和（御）魂（にぎみたま）とよんだ。
荒御魂は外面に表れた荒々しくたけだけしい面の作用をいい、これに対して和御魂は柔和、仁慈の徳を備えている面をいう。普段は一つの神格のなかで統合されているが、ときには両者が分離し、単独に一神格として行動することもあると考えていたんだ。
先ほどの正宮は和御魂をお祀りし、多賀宮は荒御魂をお祀りしているのですね？
⑥土宮
そういうことになるね。さて、次は土宮（つちのみや）だ。
ご祭神は、大土乃御祖神（おおつちのみおやのかみ）。⽔防に功績のある⼟地の神です。唯一正面が東向きの別宮です。
⑦風宮
さて、次は風宮（かぜのみや）↓です。
ご祭神は、風雨を司る級長津彦命（しなつひこのみこと）、別名は級長戸辺命（しなとべのみこと）で、内宮別宮の風日祈宮のご祭神と同じです。
もともとは「末社」相当のランキングでしたが、モンゴルが日本に攻め込んだ元寇（1274年・1281年）の際、神風と呼ばれる暴風雨を起こし、国を守ったとされ二階級特進、1293年に別宮に昇格したのはこの神社ですね。
⑧度会国御神社・大津神社
そにとおり。さて、外宮には森林の中を歩き、清浄な気分になれるところがある。御厩（みうまや）のところを左に曲がるとこんな感じの道がある。↓
いい感じでしたよね。
この道沿いに二つの神社があるので拝しましょう。まずは度会国御神社（わたらいくにみじんじゃ）↓。外宮神主家であった度会（わたらい）氏の祖神をお祀りしています。
もう一つが大津神社（おおつじんじゃ）↓。大津神社は五十鈴川河口の守護神をお祀りします。
⑨⽉夜⾒宮
さて、伊勢神宮の北御門口から出て、歩いて５分ほどのところに外宮の別宮である⽉夜⾒宮（つきよみのみや）があるので、ぜひ足を延ばしてもらいたい。↓だ。
ご祭神は月夜見尊（つきよみのみこと）。天照大御神の弟神で内宮の別宮 月読宮のご祭神と同じです。
天照大御神は太陽の神、月夜見尊は月の神。一対をなすようにも感じます。
外宮をお参りしてかなりパワーをもらった気がします。さて、次はいよいよ内宮ですね。
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拙著に込めた思いについては
「やさしい中学地理」について | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)
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