先生、4月24日(現地時間)、スーダンから在留邦人とその配偶者及び子、合計45名の方々が、航空自衛隊のC-2輸送機にて、スーダンから退避したとのことです。
また、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、ドイツ、イタリアとスペイン、カナダなども自国人などを退避させています。スーダンで一体何が起こっているのでしょう?
これは内戦が起きているからなんだ。スーダンの首都ハルツームでは空爆が行われ、治安も悪化し、強盗などがはびこっているらしい。ロイターによると、世界保健機関(WHO)は21日、この紛争による死者が413人、負傷者は3500人超に増えたと明らかにしたとのことだ。
ウクライナ戦争とスーダン紛争 | | 東大作 | 毎日新聞「政治プレミア」 (mainichi.jp)より
誰と誰が戦っているのでしょうか?
国軍とRSF(即応支援部隊)という民兵組織との内戦だ。国軍の兵力の兵力は21万くらいといわれるが、RSFも約7万の兵力を持つと言われる。
スーダン内に留まることはあまりに危険だから、各国は自国民や関係者を脱出させているわけですね。
そうだ。
では、なぜこんな内戦が起こったのでしょう?
うん。ブルハン将軍が率いる国軍と、ダガロ司令官が率いるRSFは協力して、2019年に軍事クーデターを起こし、政権を握ったのだ。そして、ブルハンは大統領に、ダガロは副大統領に就任した。↓で上がダガロ司令官、↓がブルハン将軍だ。
スーダンの準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」のダ…:スーダン情勢 写真特集:時事ドットコム (jiji.com)より
二人は仲間だったのですね。なぜ、両者は戦うことになったのでしょう?
ブルハンがRSFの勢力を削ごうとしたことが根本的理由だ。これに伴い、国軍がRSFを吸収した際のトラブル、あるいは、それまでは協同して民主化勢力を打倒しようとしていたのに、ダガロが民主化勢力に歩み寄ろうとしたことなどが原因だ。
ダガロは砂漠のラクダ商人から、身を起こし、スーダンで巨大な財力と権力を手中にしたとされる。
日本の戦国時代の斎藤道三みたいなキャラですね。
スーダンについて調べたのですが、石油も取れ、金の産出量は世界10位と資源にも恵まれているので、普通に運営していけば超金持ち国なるのではないでしょうか?
まさに。だが、現在、経済は相次ぐ内戦などが原因で、崩壊状態にある。一年で物価が2倍以上になり、6人に1人は失業している。さて、下の地図を見てほしい。気づくことは?
スーダンの紛争 RSFが72時間の停戦表明も、銃撃戦続く | 毎日新聞 (mainichi.jp)より
国境線が直線的ですね。
アフリカの国境線が直線的な理由は、ヨーロッパの国々がアフリカを植民地にするときに、民族や文化に関係なく国境線を直線的に引いたためです。アフリカの国々は19世紀にはヨーロッパ諸国に植民地として支配されていました。しかし、その後次々と独立を果たしました。特に1960年は17カ国が独立したため「アフリカの年」と呼ばれています。けれども、独立する時、元の植民地の境界がそのまま、国境線になってしまったのです。
アフリカの貧困~植民地支配とは① | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)で学習済みです。
そう。民族や宗教や文化の違いにより境界線が引かれたのではない。だから、方向性の異なる民族が同居している。すなわち、争いの種が残されたのだった。スーダンはエジプトとイギリスが支配していた。1956年に独立を勝ち取ったが、スーダン内部には200を超える部族があり、必然的に対立と内戦が起こらざるを得ないといえるだろう。
北部のイスラム教中心地域と南部のキリスト教中心地域もおよそ60年にわたり抗争を続けていましたが、キリスト教中心の地域が2011年に南スーダンとして独立しました。これだけでは解決しないというわけです。
そう。南スーダン内部でも、スーダン内部でも血で血を洗うような内戦はおさまらないというわけだ。
結局、今回の内戦の根本的理由は、アフリカを植民地支配していたヨーロッパの国にあるというわけですね。
そうだ。さらに武器を提供している国も悪い。上の地図を見てほしい。特に海に注目してね。
スエズ運河から、紅海を経て、インド洋・太平洋への通路になっています。
スエズ運河を通過する船舶は年間およそ15,000隻でこれは世界の海運の7%に当たる。スーダンをおさえれば、世界の海運に大きな影響力を持てる。だから、超大国がスーダンを狙うことになる。たとえば、スーダン国軍の武器は中国製が多い。
一帯一路の理念(一帯一路とは? | やさしい社会ブログ (ameblo.jp))のもと、海運の要で、資源が豊富なスーダンをおさえておこうというわけですね。
さらに、ロシアもからんできている.
ロシアはスーダンにロシア海軍の基地をつくろうとしている。また、ロシアの軍事会社であるワグネルが、RSFと結び、金の採掘を共同でやっている。このスーダンで得た金が、ウクライナとの戦争における資金源だともいわれる。
ロシアは国軍、RSFの両方に影響力があるというわけか。
資源があり、海運の要にある位置にあるがゆえに、世界からよってたかってめちゃめちゃにされている国、それがスーダンと言えそうですね。
拙著です↓。講師と生徒二人の会話形式で社会科を語る本です。 ゼミナールに参加する気分で、単なる暗記じゃない、基本から説き起こす社会の参考書をぜひ知ってほしいです。 以下から立ち読みも可能です。
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拙著に込めた思いについては
「やさしい中学地理」について | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)
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「やさしい中学公民」について | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)
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