殺されても構わないなどとは、心底からマゾにならないと思えないことだろう。しかし、実際にとことんご主人様に心酔し、その人に殺されたいと願う人妻肉奴隷は存在する。

 逆に、その望みを口にした時、引いてしまうサディストも存在する。受け止めるとしても、「わかった。俺がお前を殺してやる」とは言えるが、それを実際に行うことは普通の人間には出来ない。

 しかし、真性マゾ女が責めを望む根底にあるのは、愛する人に殺されたいという動機である。それを便宜的・代替的に満たすのが、鞭打ちや蝋燭責めであり、首絞めであるという訳だ。

 これらはロールプレイ、すなわち「役割を演じる」ことなのだが、サド男性の中には現実とロールの境目が曖昧な男たちがいる。SMの陶酔を繰り返し味わうことで、その傾向が助長されていくという要素もある。
 
 また、サディストとしての未熟さゆえに、事故によってマゾヒストに回復不能な傷を負わせたり、最悪の場合は生命の危険に晒す場合さえある。

 何度もいうが、身を委ねる相手の本質を見抜くことだ。死んでもいいと思えない相手に消せない傷をつけられたり、破滅の巻き添えにされたくはない筈だ。
 
 人妻肉奴隷には、家庭という守るべきものが存在するのだから。人を見る目と、確固たる覚悟。この二つが、SMの門をくぐる前に養っておくべき資質だと思う。