1993年に公開されて以来、フランスを代表するコメディの一つとなった''Les visiteurs''レ ヴィズィトゥール、英語ではThe visitors訪問者の意)。

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日本でも『おかしなおかしな訪問者』の邦題で紹介されたこの作品は、余りの人気ぶりに、その後2作の続編が製作されたほどの大反響を呼びました。

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物語の始まりは1123年に遡ります。中世の勇敢な騎士ゴッドフロア(ジャン・レノ)は、時の王ルイ6世を救った褒美として、兼ねてから相思相愛だった公爵の娘フレネゴンド(ヴァレリー・ルメルスィエ)との結婚を許可されます。喜び勇んで許婚の待つ城へと向かうゴッドフロアでしたが、その道中で魔女の仕掛けた罠に掛かり、誤って許婚の父上を殺してしまいます。

愛するフレネゴンドとの未来を取り戻すため、知己の魔術師の元を訪ね、過去に戻って自らの過ちを正すことにしたゴッドフロア。魔術師は彼をタイムスリップさせる術を知っていたものの、魔法の秘薬に腐ったウズラの卵を入れるのを忘れたために、ゴッドフロアをその近侍ジャクイユ(クリスチャン・クラヴィエ)と共に、過去ではなく未来のフランスへと送り出してしまうのです。

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こうして1992年へとやってきたゴッドフロアとジャクイユは、行く先々で奇想天外な騒動を巻き起こします。

テンポよく自然な流れで描かれたシナリオと、名優ジャン・レノとクリスチャン・クラヴィエの豪快な演技は、国境と世代を超えて、観る者を文字通り笑いの渦に巻き込みました。

実はこのシナリオは、監督であるジャン=マリー・ポワレが1990年に引っ越しをした際、偶然見つけた古いノートをベースに描かれています。それは、彼が13歳の時に、数学の授業中に書き留めた走り書きでした。確かにこの映画を観ると、いかなる枠にもとらわれない、純粋な発想の豊かさに魅了されます。13歳の少年が授業中に妄想した物語が、時を越えてフランスを代表する傑作コメディとなった事実こそ、現実に起こったタイムスリップだったのです。

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さて、映画の内容に戻りますが、中世からやってきたゴッドフロアとジャクイユにとって、見る物全てが珍しい物でした。特に、現代フランスにおける言葉使いの変化は、2人に強い印象を与えます。とりわけジャクイユは、現代のフランス人が、中世には存在し得なかった、あるファミリエ口語表現)をよく使っていることに気が付きます。

それは''OK!''オッケーと''Dingue!''ダングでした。

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''Dingue''ダングとは、すごい信じられないという意味のファミリエ口語)で、フランスにいてこの表現を聞かない日はない、といっても過言ではないほど頻繁に使われる単語です。

もともと鐘の音の擬音dang, dangダン ダンから派生した''dinguer''ダンゲという動詞に由来する形容詞で、より正確には思わず倒れそうになる程ビックリさせられることを表します。ただ、実際には余りに頻繁に用いられているので、必ずしも倒れそうになるほど意外なことに使われるといった訳ではなく、日本語でいう所の「へえー!」や、「マジで!?」といった表現に近い感じで、より軽い意味での驚きや感嘆の意を示すためにも使われています。

フランス人のお友達と話していて、「えー本当に?」「すごい話だね!」と言いたい時には、是非
''C'est dingue!''
セ ダング
と言ってみて下さい。フランス人にとってはとても自然な表現なので、会話が更に滑らかに進むはずです。

また、自分が何かの話題について話したい時にも、
'C'est dingue! Au fait…'
セ ダング!オ フェットゥ…
といった感じでフレーズを始めると、「そうそう、こないだビックリしたんだけどね、実は…」と言ったニュアンスでフレーズを始めることが出来ます。

是非お試しを!

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