2023年4月7日から9日の三日間、計5公演の「バックネット委員会」、無事閉幕致しました。ご来場いただいたお客様、ならびに関係者の皆様、ありがとうございました。

 

作者の伊地知克介さんが約10年前に執筆され、その後も何回かの部分的上演を経て、推敲に次ぐ推敲を重ねながら創り上げてきた作品です。バナさん役の木之下由香さんの熱意ある企画が通り、オフシアター上演が決まったのは昨年のこと。

 

10年間も練り続けてきた作品ですから、これはもう伊地知さんのライフワークと言っても差し支えないのだと思います。そんな作品ですが、去年からの打ち合わせの段階から、バンバン書き直しを要求してしまいました。さらには稽古を通して原作にはないセリフやシーンを追加したり、役者のアドリブも加わったり…。

10年近く温めてきた作品を、ぽっと現れた無名の演出家にあれこれ書き直しを要求される伊地知さんの心境たるや… 今でも想像するだけで変な汗が出てきて仕方がありません。

 

(ステージの美術模型)

 

幸い好評のご意見を多数いただきました。ホッとして肩の力が抜けたどころか、しばらく力を入れることが出来ませんでした。いただいたコメントにはこちらが驚くほど長文のものもありました。一回こっきりしかご覧になっていないはずなのに、各シーンのことを鮮明に述べられていて感動しました。それだけ集中して観て頂いたことが嬉しいです。

 

(照明の当たったバックネット)

 

伊地知さんとは打合せの初期段階から「仕事帰りのサラリーマンが観に来て元気になるような舞台にしたい」と話をしました。結果として、「元気が出た」というアンケートが多かったこと、またサラリーマンの方が多く来る平日夜の回がいち早く売り止めになったことも嬉しい出来事でした。

コロナ禍やウクライナの戦争で疲れ気味の社会に向けて、僕たち演劇人からのエールが伝わったことも、今、この時期に上演してよかったと思えることの一つです。

 

 

 

後日談を言うと…

千穐楽を終えた翌日から、スタッフの〇島くんは急な腸炎に襲われ、身動きすらできない容態になってしまったそうです。これが一日早かったら大変なことになっていました。あぶねー。

僕はなぜか、十数年音信不通になっていた劇団の同期の友人にTwitterのフォローをされました。観劇には来ていなかったと思うので、おそらく噂が伝わって同期の友人に届いたのだと思います。

…まあ、いろいろありますね。お芝居は。

 

(熱帯水槽)

 

また良い戯曲・劇作家さんとの出会いがあって、良い舞台が作れることを願っています。

そこにはきっと、良いお客さんもたくさんいらっしゃることでしょう。

ありがとうございました。

岡田 力