日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

M.ヴェロッキオ監督のイタリア映画「乳母(La balia)」を観ました(2022.8.2)@イタリア映画祭オンライン第2部

2022年08月03日 | イタリア映画・映画

M.ヴェロッキオ監督のイタリア映画「乳母(La balia)」を観ました(2022.8.2)@イタリア映画祭オンライン第2部

乳母

あと少しでイタリア映画祭オンライン上映第2部が終わってしまうので

(8/7まで) 1本見たかった映画を観ました:

乳母

[1999/106分]原題:La balia
監督:マルコ・ベロッキオ Marco Bellocchio
出演:ファブリィツィオ・ベンティヴォッリョ、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、マヤ・サンサ
 
巨匠マルコ・ベロッキオ監督の 1999年カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作
 
20世紀初頭のローマを舞台に スター俳優のファブリィツィオ・ベンティヴォッリョ ヴァレリア・ブルーニ・テデスキが夫妻を演じ 乳母役のマヤ・サンサと心理劇を繰り広げる
 
精神科医の家に初めての子どもが生まれるが 妻は赤ん坊を胸に抱こうとせず 夫は乳母を雇うことを決意する
 
 
    *   *   *
 
原作は ルイジ・ピランデッロの 同名の短編小説「La baila」とのこと 
 
 
この上流階級の奥さんは 神経質なたちで 赤ん坊を生むのも消極的 赤ん坊を抱きもせず お乳が出ず乳母を雇うことになります 当時としてはよくあることでした 
 
乳母に選ばれた若い女性アンネッタ(マヤ・サンサ)は  政治活動で投獄された夫との間に生まれたばかりの赤ん坊がいるのです (当然ですが 自分が出産してないと 母乳も出ないわけで...)
 
当時は文盲率も高く 乳母に雇われたアンネッタが 獄中の夫から届く手紙を読んだり返事を書いたりしたいがために 雇い主である有能な精神科医に 読み書きを習うシーンはなかなか面白かったです
 
向学心があり 伝えたいことを伝えられないもどかしさをなんとかしようとあがくさまは 見ていて原初の知る歓びを求める情熱が伝わってきました ペンにインクをつけて紙に向かうことも  人生の中でこれまで一度もなかった彼女が... 
 
 
この獄中の夫から届く手紙の文言を 雇い主の妻が彼女に渡す前に読んでしまうのですが そこに書いてあることがまるで自分に向けられているかのように感じてしまうのですね 
 
彼女は 親たちがそうしてきたように ただ独りで生きるのが不安なために 結婚した人です 
 
そして 手紙の中には 妻アンネッタに充てて「君は自由に生きてくれ」とあったのです 従順な妻でいることを強いられたこの妻にとっては衝撃だったでしょう 
 
妻は お乳の出ない引け目からか お乳をやる乳母のアンネッタに嫉妬するようになり やがては家を出てしまうのです そして乳母は 契約に反して... 
 
契約がそもそも 自分の赤ちゃんを連れてくるな 乳母に専念しろという無理なものでしたが 
 
雇い主の赤ちゃんは なぜこのもめごとのあとで 乳母のお乳を飲まなくなってしまったのでしょうか...
 
これから どうなってゆくのかと思うラストでした 
 
この雇い主の精神科医師の働く 当時の精神病院での様子も描かれています
郵便配達人が手紙を届けに来ると 鐘を鳴らすのですが みんな木から降りてきて...  道端でもやはり鐘を鳴らすと 街角から住民たちや雇われ人が  わらわらと手紙を受け取りに出てくるのですね 
 
また Lei(あなた)は この時代はvoiで話されています
 
どの映画にしようか迷いましたが この時代の様子がわかる「乳母」にしてよかった!! (銃撃シーンのある作品は  今はちょっと見たくなくて...)
 
自分のはるか昔の頃を思い出したり 当時の人々の暮らしぶりや生活感のあふれたこの映画を観られてよかったです😊
 
マヤ・サンサ けっこう好きです💖 「輝ける青春」「夜よ、こんにちは」など...
 
ファブリィツィオ・ヴェンティヴォリオは「la scuola」の教師役で知りましたが 歴史物の方が彼には合っていますね 
 
原作のストーリーを読むと この乳母はシチリア出身 なんと自分の赤ん坊がラストで死んでしまうとあります 映画よりもシビアですね 
 
イタリア映画祭2022第2部オンライン上映 8月7日までとのこと
 
 
映画は こちら
 

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