労働衛生コンサルタントの過去問や、労働安全衛生・環境関係の法令改正情報を綴っています。
事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
環境計量士の資格から、順番に、労働衛生コンサルタントに繋がったので、環境関連の話題も載せています。
令和3年度「第49回」労働衛生コンサルタント試験(労働衛生工学)回答速報1 [労働衛生コンサルタント過去問:労働衛生工学]
友人から入手した試験問題を元に、回答案を考えてみたいと思います。
暫くすると、試験協会のHPにも掲載されますが、労働衛生工学については、正解が開示されないので、皆さんのご意見もコメントで頂ければ幸いです。
今日は、問1を紹介します。
問1
職場における労働衛生対策に関する以下の設問に答えよ。
(1)次に示す作業①~④において発生した健康障害について、その原因として最も可能性の高い、化学物質とその状況を記し、ばく露防止に有効と考えられる工学的対策又は保護具を具体的に記せ。
職場における労働衛生対策に関する以下の設問に答えよ。
(1)次に示す作業①~④において発生した健康障害について、その原因として最も可能性の高い、化学物質とその状況を記し、ばく露防止に有効と考えられる工学的対策又は保護具を具体的に記せ。
例)新築工事現場の浴室の防水工事のおいて、塗料(トルエン49%、酢酸エチル15%)を含む)を手持ちローラーで壁面に塗布する作業を行っていた作業者1名が病院に搬送された。
化学物質 : トルエン及び酢酸エチル
状況 : 発散した有機溶剤蒸気を作業者が吸引した
保護具 : 防毒マスク又は送気マスク
①飲食店において換気フードを掃除するため、作業者が塩化ビニル製手袋を着用し、希釈した苛性カリ(水酸化カリウム)を含侵させた洗浄布で換気フードの表面を拭いていた。数時間の作業後、右手指が炎症を起こした。なお、使用前の手袋に穴開きや亀裂などは無かった。
②工場においてアーク溶射機を使用して、鋼材(H型鋼 最大長さ:4m)に亜鉛溶射吹付け作業を行っていた作業者4名に帰宅後発熱、吐き気等があった。
③床暖房を設置するために、仮囲いの内部において、エンジンカッターやブレーカーによるコンクリート床スラブの切断、破断作業を行っていたところ、作業者1名が倒れ、他の5名も体調不良を訴えた。
④ディスクサンダー等を用いて高速道路の橋梁桁に塗布された防錆剤のかき落とし作業に従事した作業者に貧血、腹痛及び末梢神経障害の症状が見られた。
(2)粉じん作業を行う屋内作業場において作業環境測定を実施したところ、以下に示す結果を得た。質量濃度と質量濃度換算係数を求め、この作業場における管理濃度と管理区分を決定せよ。
なお、併行測定は、測定時間が60分間で、吸引ポンプ流量は20L/min、補修フィルターの秤量値は捕集前が49.13mg、捕集後が49.33mg、相対濃度計の計数値は10800カウントであり、バックグラウンドは無視する。
A測定の結果、第一評価値EA1:0.12mg/m3、第二評価値EA2:0.068mg/m3が得られた。
B測定は、10分間行い、相対濃度計の計数値は3750カウントであった。
遊離けい酸含有量は、8.0%であった。
(3)以下の作業及びその付帯作業において、化学物質等による健康障害をおこすばく露状況として主要なものを、それぞれ三つずつ挙げよ
①塗装作業
②溶接作業
③鋳造作業
小問(1)から小職の回答案を記します。
小問(1)は、回答例のように記載してみます。
①飲食店のケース
化学物質 : 苛性カリ
状況 : 苛性カリと換気フードの油+熱により、塩ビ手袋が劣化。
②アーク溶射機のケース
化学物質 : 亜鉛ヒューム
状況 : 飛散した亜鉛ヒュームによる金属熱
保護具 : 粉じんマスクあるいは、換気の強化
③床暖房工事
化学物質 : 一酸化炭素(エンジンの排気ガス)
状況 : エンジンカッターの排ガスが、仮囲い内に滞留し
作業者が吸引し、急性中毒
保護具 : 送気マスク、あるいは、新鮮風による換気
④橋梁工事のケース
化学物質 : 鉛
状況 : 防錆剤中の鉛が、かき落とし作業時に粉じんとして飛散し
作業者が吸引
保護具 : 粉じんマスク
①の飲食店の苛性カリのケースは、ちょっと、悩ましいですね。手袋のような可塑化した塩ビは耐アルカリは若干弱いですが、希釈した苛性カリなら室温なら短時間の使用はOKと思われます。数時間後ということなので、熱+油+アルカリで劣化したと考えるられるかもしれません。一方、家庭用のゴム手袋の指先が、機械的破れやすいというのは、主婦の間ではよく知られているようですね。(そんな問題、労働衛生工学で出すのかどうかは、疑問ですが)→手袋メーカーのHP
①飲食店のケース
化学物質 : 苛性カリ
状況 : 苛性カリと換気フードの油+熱により、塩ビ手袋が劣化。
あるいは、指先が機械的に破損
苛性カリが浸透し、皮膚腐食した
保護具 : 化学防護手袋あるいは、塩ビ手袋でも定期的に交換する
苛性カリが浸透し、皮膚腐食した
保護具 : 化学防護手袋あるいは、塩ビ手袋でも定期的に交換する
指先の補強した手袋に交換
②アーク溶射機のケース
化学物質 : 亜鉛ヒューム
状況 : 飛散した亜鉛ヒュームによる金属熱
保護具 : 粉じんマスクあるいは、換気の強化
③床暖房工事
化学物質 : 一酸化炭素(エンジンの排気ガス)
状況 : エンジンカッターの排ガスが、仮囲い内に滞留し
作業者が吸引し、急性中毒
保護具 : 送気マスク、あるいは、新鮮風による換気
④橋梁工事のケース
化学物質 : 鉛
状況 : 防錆剤中の鉛が、かき落とし作業時に粉じんとして飛散し
作業者が吸引
保護具 : 粉じんマスク
①の飲食店の苛性カリのケースは、ちょっと、悩ましいですね。手袋のような可塑化した塩ビは耐アルカリは若干弱いですが、希釈した苛性カリなら室温なら短時間の使用はOKと思われます。数時間後ということなので、熱+油+アルカリで劣化したと考えるられるかもしれません。一方、家庭用のゴム手袋の指先が、機械的破れやすいというのは、主婦の間ではよく知られているようですね。(そんな問題、労働衛生工学で出すのかどうかは、疑問ですが)→手袋メーカーのHP
職場の安全サイトには、ヒヤリハットの事例として紹介されていますね
②は有名な労災事例(イラストは職場の安全サイトの労災事例より)亜鉛で検索
③は、5名いきなりに倒れているので、粉じんが原因ではなく、エンジンカッターの排気ガスが疑われますね。床暖房+仮囲いとあるので、室内工事と考えると、よく起こりうる事例だと思われます。(イラストは職場の安全サイトの労災事例より)コンクリートカッターで検索
④も有名な労災事例です。(イラストは職場の安全サイトの労災事例より)橋梁で検索
小問(2)は明日また。
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