①退職金見込額証明書が必要な理由
そもそもなぜ自己破産する時に退職金見込額証明書が必要かというと、
退職金見込額(8分の1の額)が現在保有している資産の一つとみなされるためです。
自己破産のお手続きでは、現在の資産(財産)と債務(借金)がいくらあるかを裁判所に申告しないといけません。
資産がある場合は、各債権者に分配されます。
自己破産のお手続きでは、現在自己都合退職したと仮定した場合もらえるであろう退職金の8分の1の額が現在の資産とみなされます。
8分の1の額が20万円以上(現在自己都合退職した場合160万円以上退職金をもらえる)の方は、現在資産があるとみなされ、退職金見込額の8分の1が処分対象となります。
といっても、退職金見込額が8分の1以上ある人は処分のために退職しなければいけないわけではありません。
弁護士に依頼後、各社への返済が停止してから積み立てる等で相当額を用意すれば大丈夫です。
例)現在退職した場合160万円の退職金をもらえる方は、その8分の1、20万円を積み立てて破産管財人に引き継ぎます。
特に、正社員で勤続年数が長い方は(裁判所によっては“5年以上”と年数を定めているところもあります。)、退職金見込額が160万円を超える可能性もあるため、現在いくら退職金をもらえる権利があるか書面で証明しなければいけません。
申立人(本人)が
と自己申告してもその真偽は裁判所には分かりません。
会社が発行した“書面”での証明を求められます。
そのため、勤務先から【退職金見込額証明書】を発行してもらう必要があるのです
②退職金見込額証明書を入手できない場合
「現在自己都合で退職した場合、退職金は◯円です。」「退職金はありません。」と記載された退職金見込額証明書を勤務先に発行してもらうのがベストですが、
「そんなものを会社に頼んだら、破産することが会社にバレてしまうのではないか」と心配し、勤務先に発行を頼めない方も多くいらっしゃいます。
「住宅ローンの与信審査で必要です。」「ファイナンシャルプランナーに提出します。」と言って発行してもらう方もいらっしゃいますが、どうしても勤務先に頼めない場合は、
- 就業規則、退職金規定
- 雇用契約書(退職金なしと記載がある場合)
をご提出いただいています。
コピーしたもので大丈夫です。
※勤務先の就業規定だと分かるように、社名が入った表紙の写しもいただきます。
就業規則に退職金の支給がない旨記載されている場合
→就業規則で退職金の制度がないことを証明できます。
就業規則に退職金の支給がある旨記載されている場合
→退職金規定を基に現在の退職金見込額を計算しないといけません。
退職金規定に計算方法が載っています。計算方法や別表を基に計算します。
ポイント制の会社の場合は、現在のポイントがわかる書類もご提出いただく場合がございます。
以上です
※この方法は、あくまでも東京・神奈川の裁判所に申立てを行っている町田総合法律事務所の場合です。
勤続年数が短い方、アルバイト・派遣社員等の勤務形態の方等場合によっては、証明書類が出せなくても大丈夫な場合もございます。
まずはご依頼された(ご相談予定の)弁護士に相談してくださいね。
まとめ
①退職金見込額証明書がなぜ必要か
・退職金見込額の一部が自分の現在の資産とみなされるから
・資産の有無や金額を書面で証明しないといけないから
②退職金見込額証明書が入手できない場合
・就業規則(退職金規定)や雇用契約書で代替OKな可能性がある
・書面がなくてもOKな場合も
→破産者の状況や管轄裁判所によるので、依頼する弁護士に個別に相談してみてくださいね。
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