彼らしさ | 秘密の35年☆赤い糸の行方

秘密の35年☆赤い糸の行方

何度別れても、切れることのなかったふたりの糸。二股だったときも、彼が「あの人」と結婚してしまったときも、わたしが海外で暮らし始めたときも。音信不通6年、14年ぶりの再会から、再び動き始めた恋。国境を越えた超遠距離・婚外恋愛。

<「怪しげ」の続きです。>

太陽は少しだけ
黄昏色に変わり始めていたけど、
まだまだ外は明るかった。

しかもビジネスマンがたくさん通る道。

そんなところにある屋台に
行こうだなんて。

ユウさんならでは、だな。



中をのぞくと、20代後半くらいの
男性がひとり。

ひと目で日本人ではないとわかる。

どこかのアジアの国の人。

日本語で話しかけてみると、
たどたどしい言葉で返って来た。



英語、通じるかな。

ここはわたしの出番だわ。



ユウさんは仕事やプライベードで
何度も海外に行っているけど、
英語は苦手。

でも度胸だけはあるから、
全然気にしない。

言葉が通じなくても、
なんとかなってしまうのが
ユウさんなのだ。



英語で質問して、
何を注文するか決める。

ユウさんの分も
頼んであげる気でいたわたし。

そしたらなんと。

彼も英語で話し始めた。



普通、自分よりも
言葉が出来る人がそばにいると、
恥ずかしがって
話そうとしないものなのに。

やっぱりユウさんはユウさんだわ。



ふたりして同じものを注文。

「お持ち帰りですか?」

と聞かれる。

「いいえ、ここで食べていきます」

そうだよね。

テイクアウトするのが普通だろう。

椅子もないし。

紙に包まれた香辛料の効いたチキン。

立ったまま、かぶりつくようにして
食した。

結構、美味しい。



食べている間もたくさんのひとが
ふたりの横を通り過ぎて行く。

でももう、わたしも気にならなかった。

ユウさんと一緒だから。

(続く)

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