けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

全ては繋がっている

2015-03-15 01:06:16 | 政治
過去のブログでも引用した新聞記事だが、1年ほど前にロイターで下記の記事が掲載されていた。

ロイター 2014年2月25日「アングル:中国が『反日宣伝』を強化、習主席訪独で第2次大戦に焦点か

早い話が習近平国家主席がドイツを訪問するに当たり、ホロコースト記念館訪問を打診したがドイツがこれを拒否し、仕方なしに別の施設への訪問を模索し、日本に対する歴史戦争を仕掛けているという話題である。記事によれば、ドイツの高官は要人のドイツ公式訪問中に戦争の負の遺産に注目が集まることを望んでいないとして「ホロコースト(記念館)は絶対にダメだ」と述べたという。その時には私も記事を読みながら、「まあ、当然そうなるな・・・」と思っていた。
それから1年以上が経過しているが、下記の事態が最近話題になっている。

時事ドットコム2015年3月10日「独首相『慰安婦問題解決を』=民主代表との会談で
産経ニュース2015年3月13日「メルケル『和解』発言 独政府報道官も『正しくない』
産経ニュース2015年3月13日「メルケル『和解』発言 民主・岡田氏は『紛れもない事実』と反論

民主党の岡田代表と訪日中のメルケル首相が会談した際に、岡田代表がその後の記者会見で、「メルケル首相から、慰安婦問題の解決を促す発言があった」との内容の発言をし、これに対し日本政府からの問い合わせもないのにドイツ政府側から「その様な事実はない」と真っ向から否定された。それを受けて岡田代表も、「いいや、確かに言った!」と反論しながらも「私もかなり丸めて行っているが・・・」と逃げの言葉も合わせて聞かれたとのことである。上述の習国家主席との話の流れからすれば、確かにあまりこの様なことで注目が集まるのはドイツとしても好ましい事態ではなく、だからこそ本心として「自分から、慰安婦問題を持ち出すはずがない」とドイツサイドが思っているのは事実だろう。実際にどの様なカスッた微妙な表現をしたのかは知らないし、通訳が勝手に補足を加えた可能性も否定できないが、実際には言っているのに「言っていない」と言い張って、後で証拠を暴露されたりしたら格好も悪いので、実際に言っていたらドイツとしては「無視を決め込む」のが正攻法なはずである。それをあそこまで言っているので、岡田代表の方が分が悪いのは事実である。

さて、そんな話の暫く前の話であるが、ギリシャ問題についてドイツなどが主導して緊縮財政政策の継続と、ギリシャのユーロ圏からの離脱を思いとどまらせる様な話し合いがずっと続けられてきた。そんな中で、先月ではあるが下記の様なニュースが裏で流れていた。

毎日新聞2015年2月11日「ギリシャ:戦争賠償22兆円請求 独は『解決済み』と拒否

これは、混迷が続くギリシャにおいて、反緊縮財政を掲げた急進左派陣営が選挙で勝利し、チプラス新政権が緊縮政策の継続を求めるドイツに対して第2次世界大戦時の戦後補償として22兆円を求める要求を行い、ドイツがこれを拒否したというものである。このニュースを最初に聞いた時には、私も単に「おいおい、そう来るか・・・」とあっけにとられて読み流してしまっていた。その時の私の感想は、緊縮政策の継続を求めるドイツに対する対抗措置として、この様な無謀な要求をしているのではないかと感じていたので、「やり方が汚い」とすら感じていた。しかし、昨日の読売新聞によれば「パラスケボプロス法相は11日、国内の独政府の資産を差し押さえる『用意がある』と発言した。」とのことで、ギリシャの本気度も伝わってくる。一体何が起きているのだろうか・・・。

そこで、よくよく調べてみると「ギリシャが、ドイツの緊縮政策強要に対抗して飛び道具を使った」的な理解は、かなり作られた誤解の様であることが分かった。

まず、下記の記事を見て頂きたい。日付は2012年9月5日である。

Bloomberg.co.jp 2012年9月5日「ギリシャ:ドイツへの戦後賠償の請求額算定へ、権利を留保

ギリシャの財政破たん問題は2011年頃から深刻化してきたが、Wikipediaの「ギリシャの経済」で確認すれば分かる通り、2012年6月に行われたギリシャ議会総選挙で財政緊縮支持派の第1党が票を伸ばし連立政権の樹立に成功し、事態は沈静化へと向かっていた最中である。つまり、2012年9月当時にはドイツとの対決姿勢をここまで示して「ブラフをかける」必要などなかったのに、にもかかわらずドイツへの戦後賠償の請求額算定を会計検査院が進めるとしているのだから、緊縮財政か否か、ユーロ残留か否かの議論とは別のところで脈々と流れる議論に見えて来る。
そこで、さらに調べてみた。

Wikipedia 「ドイツによるナチス・ドイツを原因とする賠償

色々書いてあるのだが、まず、「西ドイツによる賠償」の項の先頭には下記の様に記されている。

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ドイツ連邦共和国(西ドイツ)とアメリカ・イギリス・フランスは1952年のボン協定と1954年のパリ協定の6章で平和条約が締結されるまでの間賠償問題を一時棚上げすることに合意した。また1953年のドイツ債務協定で、第一次世界大戦の賠償のために発行したドーズ外債とヤング外債の利払い継承を宣言するとともに、ドイツ統一まで被占領国・国民の賠償権を延期することが定められたが、ソ連・チェコスロバキア・ポーランドは署名しなかった。
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つまり、東西分裂に伴い、ドイツ統一後にまとめて戦後補償を行うことが一部の連合国間では合意ができていたということで、結果的に賠償問題は棚上げにされてきた歴史がある。東ドイツに至っては、自らはナチス・ドイツの継承国ではないとして賠償責任そのものがないとのスタンスである。ちなみにメルケル首相は東ドイツのバックグラウンドを持つ首相である。ここで、彼らのスタンスは東西統一時の落としどころであり、下記の様になっている。

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1990年9月12日のドイツ最終規定条約により、ドイツの戦争状態は正式に終了した。しかしこの条約には賠償について言及された点は存在していない。このため統一後のドイツ連邦共和国はドイツの戦後問題が最終的に解決されたとしており、法的な立場からの賠償を認めていない。
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つまり、正式な国家賠償を行っていないにもかかわらず、連合国のアメリカ、イギリス、フランスの主導のもとで「もういいよ・・・」と勝手に賠償については有耶無耶にしたまま決着させてしまったのである。つまり、その他のナチス・ドイツの被害を受けた国々を無視して、勝手に「法的には解決済み」としてしまったのである。その後、色々と問題が起きるので道義的な責任を認め、2000年に財団「記憶・責任・未来」を創設してこの基金を基に限定的な賠償責任に応えている。これは、慰安婦問題のアジア女性基金的な発想に近く、「国家の法的責任は認めないが、民間ベースの道義的な補償では対応する」というものである。既に膨大な額の国家賠償も行い、更には朝鮮半島や中国大陸に残された政府及び民間の膨大な(こちらの方が金額は全然多い)財産は強制的に没収され、更には周辺諸国の経済発展の為に様々な援助を続けてきた日本に比べれば、既に何週もの周回遅れ的な対応なのである。

更に、歴史認識についても調べてみた。

Wikipedia 「ドイツの歴史認識

こちらは中々衝撃的である。当初は占領軍の手でナチスの責任追及を行ってきたが、やがてドイツ人の手に責任追及が委ねられ、「ドイツ連邦政府発足後、わずか1年あまりの1950年にはアデナウアー政権の元で『非ナチ化終了宣言』が行われ、占領軍の手で公職追放されていた元ナチ関係者15万人のうち99%以上が復帰している。1951年に発足した西ドイツ外務省では公務員の3分の2が元ナチス党員で占められていた。」との結果になった。日本でもA級戦犯が後に総理大臣を務めるに至ったが、これはサンフランシスコ講和条約第11条の手続きにもとづき関係11か国の同意を得たうえで減刑されたためになし得たものである。つまり日本では戦犯の対象が、実際に戦争による殺戮行為を行った軍人と、戦争を指揮した政治家であったが為に、大多数の民間人は戦犯の対象とは成り得ず、一部の公職追放を受けた人を除けば、極めて上位の役職の首を挿げ替えて、それまでと同様の生活を行うことができたのだが、ナチス・ドイツでは軍人のみならず多くの公務員までがナチス党員であり、ユダヤ人の迫害における密告などの当事者であったために、それらを全員追放してしまうと国家というシステム自体が崩壊してしまうという理由で、ナチス党員という明らかな戦犯を追放することが不可能であった訳である。さらに東西冷戦の最前線におかれた西ドイツでは、再軍備化の必要に迫られたこともあり、ナチスと戦後ドイツを切り分けることで、ギリギリの線での綱渡りを乗り切ってきたのである。この様な後ろめたさがあるからこそ、あれほど表現の自由を声高に叫びながら、ナチスの称賛をする者は問答無用で牢屋にぶち込める法律を作ってバランスを取ったのである。

ちなみに、この「ドイツの歴史認識」の項の中にも「戦争犯罪の補償」の項があり、こちらが中々読みごたえがある。興味がある方は一読をお勧めする。

まず、ドイツ政府が考えたのは、ナチスによる迫害の被害者への補償である。

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ドイツでは1956年に、ナチスの迫害の犠牲者のための補償についての連邦法として「連邦補償法」が制定された。これは国家賠償とは異なり、ナチスの犯罪被害者に対するいわば個人補償である戦後補償として位置づけられている。ただし対象の大部分はドイツ国民か、当時ドイツ国民で後にドイツ国籍を離れた人間である。また補償を受ける犠牲者には社会保障額が減額されるなど、実際にはナチス関係者よりも犠牲者の方が低い扱いをされていた。
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この様に、国家賠償ではなく個人補償の形で賠償責任に向き合ったが、これの対象は主としてドイツ国民であり、積極的に外国の国民の補償を行った訳ではない。さらに言えば、これらの補償はあくまでも「ナチスの不法行為」に対する補償であり、都市の破壊など「戦争犯罪」による被害についての補償ではなく、これがドイツ政府の認識である。その結果、「実際にはドイツの行ってきた戦争被害への賠償はほとんどがドイツ国民向けであり、また『戦争被害に関する個人の請求権』を認めているのはドイツ国民に対してだけで、ドイツ人以外の戦争被害に関する個人請求権は一切認めていない。実際、ドイツ最高裁は何度もドイツ人以外の賠償請求を棄却している。

ドイツ政府がこの様に考える理由は、戦後に周辺諸国にいたドイツ人が各国において追放され、そのドイツ人の財産を接収したことで周辺諸国はそれなりの利益を得ているはずだから、他国の戦争被害に関する請求権について原則的に「戦後、相手国が接収したドイツの財産と相殺されたことで、請求権は相互に放棄され解決済み」の立場を取っているからである。日本政府が例えば(戦争をした当事国でもない)韓国に対して行ってきた国家賠償と日本人の財産没収を同時に呑んだことと比較すれば、相当な乖離がここにある。

さらに、「旧枢軸国の戦争犯罪観」の記述は壮絶である。まず書き出しが「ドイツ連邦政府は一貫して連合国による戦犯裁判を『法の遡及(事後法)適用』としてその法的正当性を否定しており、1952年9月17日連邦議会にて激しく戦犯裁判が非難され、その後も講和条約が結ばれることがなかったため、ドイツ政府は戦犯裁判を受け入れなかった。」となっており、日本政府が東京裁判の少なくとも「判決?」を受け入る宣言をしているのに対し、その様なものすらないのである。特にヴァイツゼッカー大統領に至っては、父親がA級戦犯で裁かれたために、戦犯裁判の不当性を訴えるまでに至っている。軍隊に関しても、後に自衛隊として一部が復活するにしても、一旦は完璧に日本軍が解体されたのとは異なり、冷戦による再軍備の必要性があったドイツでは、軍隊の継続性の観点からその軍人自体を直接糾弾することが不可能であり、軍隊及び軍人の責任を有耶無耶に扱う以外にはなかったのである。

そして、さらに続く「『ドイツに見習え』論について」の項は、実際に多くの引用をさせて頂きながら紹介したい。まず全体的な傾向としては、日本の主要メディアの多くも当初は「ドイツに見習え論」を主張していたが、色々調べると現実は真逆であることに気が付いて、2000年代後半からは主要なメディアは取り上げない様に変わって来たという。しかし、それから遅れて韓国や中国がこの朝日新聞などを代表とする「ドイツに見習え論」を主張するに至ったのである。しかし、この「ドイツに見習え論」にどの様な問題があるのかについては下記の様に整理されている。それを、そのまま引用させて頂く。

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Wikipedia 「ドイツの歴史認識」の「『ドイツに見習え』論について」より抜粋
「ドイツに見習え論」には、
●実の歪曲・誤認
・ドイツにおける「計画的殺人に対する時効撤廃」を「ナチス犯罪への時効撤廃」、「ホロコーストの否定が罪に問われる」を「戦争責任や戦争犯罪の否定が罪に問われる」と歪曲して唱える
●都合の悪い部分に言及しない
・ナチス時代の軍人が英雄扱いされている
・戦犯裁判への批判
・イツ人財産返還請求がいまだに周辺国と摩擦を引き起こしている
・ドイツが周辺国から表だって糾弾されないのはヴェルサイユ条約でのドイツへの苛酷な仕打ちがナチスの台頭や第二次世界大戦の遠因となったことへの反省からであり、また冷戦下の欧州において東西対立の最前線であった東西ドイツの安定は両陣営にとって重要であったため、欧米諸国が東西ドイツへの賠償請求より経済復興を優先させたという事実。
●事実のつまみ食い
・イツの戦後補償のほとんどが自国民向けであるのに「戦後補償の額が日本より多い」と論じる。
・イツ人以外の戦争被害について個人の請求権を一切認めていないにもかかわらず「ドイツのように個人請求権を認めて外国に補償しろ」と主張する。
ブラントのひざまずきを取り上げ賞賛しつつ、ドイツが「ポーランドのドイツ人追放」を不正行為と批判している面は論じない。
●ダブルスタンダード
・本の政治家が大戦時の行為を「進駐」などと表現することは批判しつつ、「ヒトラーのポーランド進駐」と表現したヴァイツゼッカー大統領の演説を高く評価する
・倍晋三の祖父岸信介が戦犯として逮捕された(ただし不起訴処分)こと、また、麻生太郎の父親が捕虜及び徴用労働者に対する虐待に責任があることなどを批判しながら、ヴァイツゼッカー大統領が戦犯として有罪となった父親の罪状を否定していることは取り上げない
といった問題点を抱えるものもあった。
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一般に言われるのは、ドイツのヴィリー・ブラント首相がワルシャワのゲットー記念碑の前でひざまずいたことが象徴的に取り上げられるが、このヴィリー・ブラント首相についてのWikipediaでの脚注2には下記の様に記されている。

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Wikipedia 「ヴィリー・ブラント」脚注2を抜粋
ブラントはあくまでもホロコーストについて謝罪の意を示したのであって、戦争やポーランドへの侵略について謝罪したわけではなく、帰国後にはポーランドが戦後行った旧東部ドイツ領からのドイツ人追放を「戦後のドイツ人の旧東部ドイツ領からの追放という不正はいかなる理由があろうと正当化されることはありません(白水社「過去の克服 ヒトラー後のドイツ」より引用)」」と非難している。また跪いて献花するブラントの姿は共産党政権下のポーランド国内で公表されなかったため、ポーランドの一般人にはほとんど知られていなかった(中公新書「〈戦争責任〉とは何か」より「一般には知られていないが、ひざまずきの写真はポーランド国内では公表されなかった」)。日本ではしばしば「ブラントの跪きがポーランドの対独世論を変えた」という趣旨で論じられることがあるが、そのような事実はない。
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これは上述の説明と整合性が取れており、ホロコーストへの人道的な謝罪の意は十分にあるのだが、戦争犯罪についての謝罪をしている訳ではない。あくまでも象徴的な行動を取っただけで、戦争犯罪への謝罪もなければ法的国家賠償責任も決して認めている訳ではない。

だから、少なくともその様な背景を知っているメルケル首相は、日本に対して「日本政府は慰安婦問題を解決せよ!」などと発言しようものなら何が起きるのかを全て分っており、その様な流れから岡田代表にその様に言える訳はないのである。日本や韓国のマスコミが、事実誤認に基づく「ドイツに見習え論」に踊らされてメルケル首相の僅かな言葉尻を捉えて誇張するから話はややこしくなるのだが、実際の意図を考えれば、もしメルケル首相が「日本政府は慰安婦問題を解決せよ!」などと発言すれば、ギリシャ国民は躍り上がって喜ぶのは間違いない。

この様に全てが分かってくると、最初に引用させて頂いた一連の新聞記事は全て繋がっており、韓国、中国や未だに一部の日本のマスコミが期待する様な話はそこにはないのである。私も今まで知らなかったのだが、調べれば調べる程、我々日本人は胸を張って良いのではないかと思えるようになってきた。

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