今大会を振り返る① | 高校野球の壺

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1980年代から現在に至るまでの高校野球を自分なりに紹介しております。
さらに自分が住んでいる福島県や東北地方の高校野球情報や高校以外の野球の話題、そして時には他のスポーツ、或いはジャンルを問わない話題にも触れていこうかなと思ってます。

 夏の甲子園大会が終わっても、まだまだ熱いです・・いや、暑いです。私が子供の頃はお盆を過ぎると秋風が吹き、「ああ、今年の夏も終わりだな・・」なんて 感傷に浸ったものです。そして、甲子園大会の決勝戦が終わり、最後に選手達が場内を一周する光景を見ると、ふと我に返り「本当に夏が終わった・・いや、夏 休みが終わった~」と大いに取り乱したものです。この時期は私が一年で最も「タイムマシンがあったらいいのになぁ」という妄想抱く時期でもありました(ア ホです)。しかし、最近では8月後半、9月になっても、真夏日が続くことが多くなりました。私は気象学者、或いは地球上で今起こっている自然現象を分析す る科学者でも無いので、これ以上、この「暑さ」について話を拡げることは出来ませんが、とにかく毎日暑いです。

  大阪桐蔭の春夏連覇、更に光星学院の3季連続準優勝で閉幕した「第94回全国高校野球選手権大会」ですが、今大会は非常に本塁打の多い (56本、歴代2位の記録)大会になりました。しかも、長い歴史の中で13本しかなかった先頭打者本塁打が、今大会だけで4本も生まれました。とにかく、 最近の高校野球は「打てないと勝てない」ですね。しかも「長打」が試合の勝敗を大きく左右することが多くなりました。このブログでも何度か言いましたが、 短打だけでは得点に結びつかないケースも多く、実際に現場で指揮する監督やプレーする選手もそれに気付き始めたのだと思います。その結果が今大会の本塁打 増、先頭打者本塁打4という結果に出たのだと思います。そういう野球には、どちらかと言えば「否定的」だった明徳義塾・馬淵監督でさえ、今年の戦い方を見 ると今までとは違うなと感じる部分がありました。明徳はどちらかと言えば「来年のチーム」という選手構成だったので、来年のセンバツ、選手権にも出てくる でしょう。その時にどういう野球をするか、そこで今の高校野球の「流れ」がハッキリと分かるような気がします。

  本塁打が増えたりすると、すぐに「好投手不在の大会」とか安易にマスコミが書立てたりするのですが、それは違います。実際には、今の高校野球で全国大会に 出てくるようなチームは、一昔前だったら「好投手」とか「豪腕投手」とか呼ばれるような力のある投手がチーム内に複数いるのが常識になっています。140 キロ台の速球は当たり前、更に鋭く曲がるスライダー、落ちる球も当然持っている。そういう投手が同一チームに複数いるのです。今大会でも「ドラフト候補」 と言われる投手が何人かいましたが、それ以外でも高校卒業後に大学、社会人などで腕を磨き、体が出来てくれば、数年後にはプロから「即戦力」の評価を受け る可能性を持った投手がゴロゴロいます。そういう状況でも場合によっては相手打線の攻撃を防ぐことが出来ないのが今の高校野球、全国レベルでの戦いだと思 います。そして、それが更に各チームの打線強化に拍車をかけるという流れになっているのではないかと思います。今の高校球児は子供の頃から硬式に触れる選 手も多く、技術指導もシッカリと受けてきています。さらに科学的なトレーニングと機器の発達で肉体的な部分も相当鍛えられています。金属バットの反発力で 「腰砕け」のようなスイングでもラッキーゾーンにポトリと落ちるような本塁打が続出した昔の高校野球とは違い、今の本塁打は完璧なスイングで捉えた打球が ほとんどです。投手の球速が増したことで、それに対応する打者のスイングスピードも速くなり、しかも昔のように「当てにいく」ような打撃では投手の球威に 負けてしまうので、打者もフルスイングで対応してきます。3年前の選手権で、当時注目された花巻東・菊池投手が初戦の長崎日大戦で本塁打を3本打たれる試 合がありました。「あの菊池投手が?」と当時は驚いた人も多かったと思います。勿論、菊池投手が故障を抱えていたこともありますが、それ以上に長崎日大打 線が菊池投手の球威に負けないようにフルスイングで対抗してきたことが、結果的に3本塁打に繋がったという試合でした。プロ注目の投手でもちょっと状態が 悪いと打ち込まれることが本当に多くなりました。かつては制球を乱して自滅とか、味方打線の援護が無くというパターンが多かったのです が。

 そう言え ば、福井工大福井の菅原投手は初戦で好投し、「これは簡単には打てないな」という投球を披露したのですが、次の秋田商業戦では3回途中を投げて8四死球の 大乱調、ここまでストライクが入らない投手も久々に見ましたね。秋田商が菅原対策をしてきたと言っても、要は「ウェイティング」策であり、150キロ近い 直球だけでも十分に抑えられる相手だったはずなのに分からないもんですね。それでも、菅原投手は今年のドラフトで指名されるかもしれないと思いました。初 戦の投球を見れば、どの球団も「欲しくなる」投球をしてました。数年後にプロの一軍で活躍していても私は不思議には思いません。野球なんて一試合の結果だ けでは分からない部分の方が多いですからね。

 次回は、今大会で気になったチームの話題を中心に大会を振り返ってみようと思います。


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