META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 劇団素描・「劇団翔龍」・《芝居・「追われる女」》
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2023-06-07

劇団素描・「劇団翔龍」・《芝居・「追われる女」》

【劇団翔龍】(座長・春川ふじお)〈平成20年8月公演・柏健康センターみのりの湯〉                                   この劇団は、昨年、同じ劇場で見聞済み。全体的に「あっさりとした」「淡泊な」芸風で、誠実で温かな座長の雰囲気が印象に残っていた。また、超ベテラン・見城たかしの至芸(女形舞踊「哀愁海峡」(唄・扇ひろ子)を観ることができたのも、その時であった。ただ、集客力は「今一歩」という感じで、桟敷の座布団(空席)が目立つという風であった。ところが、今回はどうだろう。明日が千秋楽、これまで昼の部はパーフェクトの「大入り」だったそうである。
 「劇団紹介」によれば、〈プロフィール 劇団翔龍 東京大衆演劇劇場協会所属。平成15(2003〉年9月旗揚げ。平成17(2005)年10月の新潟古町演芸場(新潟県)公演より春川ふじおが座長となり、全く新たな劇団として再出発した。春川ふじお座長を中心に芸達者なベテランと力をつけてきた若手たちが、新しい「劇団翔龍」のカラーで観客を魅了してくれる。座長 春川ふじお 昭和46(1971)年6月23日生まれ。大阪府出身。血液型B型。10歳の時に「藤美劇団」にて初舞台。一時舞台から離れるも、昭和62(1987)年、「桑田劇団」の旗揚げと同時に復帰、「桑田ふじお」として人気を博す。平成17(2005)年10月、「劇団翔龍」の座長「春川ふじお」となる。「ふじおちゃん」と気軽に声をかけられる、親しみやすく明るいキャラクターだが、三枚目からシリアスな役まで幅広い役柄をこなす実力派でもある〉とある。また、キャッチフレーズは、〈大衆演劇界の雄を目指して羽ばたけ!! 平成17(2005〉年10月に春川ふじお新座長となり全く新たな劇団として生まれ変わった「劇団翔龍」。持ち味の明るさ、元気さで一座を引っ張る春川ふじお座長を中心に、力をつけてきた「劇団翔龍」が、あなたをめくるめく夢舞台へといざなう〉であった。座員は後見・中村英次郎、女優・秋川ミホ、大月瑠也 藤美匠、花形・澤村うさぎ、藤川雷矢らがいる。   
 昼の部、「大入り」のため、客席はすし詰め状態、観劇を断念する。夜の部、芝居の外題は「追われる女」、「鹿島順一劇団」が演じた「噂の女」とほぼ同じ筋書きであった。以下は、その舞台の「素描」である。                       

 〈夜の部の芝居は「噂の女」。主演・春日舞子、共演・鹿島順一。配役は、「噂の女」(お千代)、その父(蛇々丸)、弟(花道あきら)、弟の嫁(春大吉)、嫁の父(梅乃枝健)、お千代の幼友達・まんちゃん(座長・鹿島順一)、村人A(三代目・虎順)、B(金太郎)、C(赤胴誠・新人)、D(生田あつみ)という面々である。時代は、明治以後、五百円が、今の百万円程度であった頃だろうか。ある村に、「噂の女」が帰ってくる。まんちゃんは「駅まで迎えに行こう」と、村人を誘うが、誰も応じない。「お千代は、十年前、村に来た旅役者と出奔し、その後、東京・浅草の淫売屋で女郎をしているというではないか。そんな不潔な女とは関わりたくない」と言う。まんちゃん「そんなことは関係ない。みんな同じこの村の仲間ではないか」村人「とんでもない。そんな女に関わるなら、お前は村八分だ」まんちゃん「村八分、結構!もともと、俺なんかは村では余計物、俺は一人でもお千代タンを迎えに行くぞ」、村人「勝手にしろ。お前はいくつになっても、足りんやっちゃ、この大馬鹿もの!」  
 やがて汽笛の響きと共に汽車が到着、まんちゃんはお千代の荷物を持って大喜び、一足先に、お千代の父宅に持参する。やがて、東京暮らしですっかり垢抜けたお千代も帰宅、父はお千代が好きだった「揚げ豆腐」を買いに出て行った。後に残ったのは、まんちゃんとお千代の二人きり、まぶしい太陽でも見るようにまんちゃんが言う。「お千代タン、よう帰ってきてくれたなあ。オレ、ずうっと待っていたんだ」「どうして?」「だって、ずっと前から、オレ、お千代タンのこと好きだったんだもん。」「あんた、あたしが浅草でどんな商売しているか知ってるの?」「知ってるよ。男さんを喜ばす仕事だろ。みんなは、汚い、穢らわしいと言うけど、オレはそう思わない。お千代タンは、人を騙したり、傷つけたりしていない。人を喜ばす大切な仕事をしていると思うとる」「ほんとにそう思うの?」「ああ、本当だ。できれば、お千代タンと一緒に暮らしたいんだ、キーミーハ、コーコーローノ、ツーマダーカラ・・・」思わず絶句するお千代。よく見ると泣いている。「アンタ、泣イイテンノネ、オレまた何か、まずいこと言っちゃったんかな?」「そうじゃないのよ、嬉しくて涙が止まらないの」「フーン?」しばらく沈黙、意を決したようにお千代「まんちゃん!あたし、まんちゃんのお嫁さんになる!」動転するまんちゃん「何だって?今、なんて言った?」「あたし、まんちゃんのお嫁さんにしてくれる?」「そうか、オレのお嫁さんになってくれるんか。へーえ、言ってみるもんだなあ」かくて、二人の婚約は成立した。そうとなったら善は急げだ。こんな村などおさらばして、東京へ行こう。まんちゃんは小躍りして旅支度のため退場。そこへ父、帰宅、弟夫婦も野良仕事から戻ってきた。しかし、二人の表情は固い。土産を手渡そうとするお千代に弟は言い放つ。「姉ちゃん、何で帰ってきたのや。村の人たちはみんな言ってる。あんな穢らわしい女を村に入れることはできない。もし居続けるようなことがあったら村八分や。おれたち村八分になってしまうんや。姉ちゃん、それでもいいのか。はよう、この家から出て行ってくれ!」父が激高した。「お前、姉ちゃんに向かって何てことを言うんだ」弟も反駁。「隠居の身で大きな口たたくな。今はおれこそが、家の大黒柱、それに姉ちゃんは十年前、おれが病気で苦しんでいたとき、旅役者と駆け落ちしたんじゃないか!」「何だって、もういっぺん言ってみろ」「ああ何度でも言ってやる。姉ちゃんはおれたちを見捨てて、淫売女になり果てたんだ。そんな女をこの家に置いとくわけにはいかない」「よーし、お前がそこまで言うんなら、わしも黙っているわけにはいかない!」必死で止めようとするお千代を制して、父も言う。「おまえが病気の時、姉ちゃんが出て行ったのはなあ、お前が町の病院で治してもらうお金のためや。姉ちゃんは、自分の身を売ってお前の治療代を作ったんだぞ!、病気が治ったのは姉ちゃんのおかげ、それを今まで黙っていたのは、お前を心配させないためや」「・・・・」絶句する弟、「何だって!何で、今頃そんなこと言い出すんや。もう遅いわい」そこへ、弟嫁の父、登場。「やあ、お千代さん。よう帰ってきたなあ・・・。サチヨ(嫁)、もうお姉さんに御挨拶はすんだのか?」だが、その場の様子がおかしい。一同の沈痛な表情を見とって自分も沈痛になった。「やあ、困った、困った。実に困った」、「何が?」と問いかける弟に「実はな、ある人の借金の保証人になったばっかりに、五百円という大金を負わされてしまったんだ。何とかならないだろうか?」「えっ?五百円?そんなこと言われたって、見ての通りの貧乏暮らし、そんな金どこを探したってあるはずがない」弱気になる弟に、隠居の父がつっかかる。「お前、さっきなんてほざいた。この家の大黒柱じゃあなかったんか」やりとりを黙って聞いていたお千代が口を開いた。「おじさん。五百円でいいの?ここに持っているから、これを使って。これまで、身を粉にして貯めたお金よ。家に帰ってみんなの役に立てればと思って持ってきたの。私が使ったってどうせ『死に金』、おじさん達に役立ててもらえば『生きたお金』になるじゃないの」一同、呆然、弟夫婦は土下座して声が出ない。肩が小刻みに震えている。お千代、キッとして「もう、いいの。このまま浅草に帰るわ。また、あそこでもい一回、頑張って生きていこうと思います」、「待ってださい」と引き止める弟夫婦、その両手をやさしく握りながら、「あっ、そうだ!忘れていた。お父さん、あたし好きな人ができたの。あたしその人のお嫁さんになるの!」一同、驚愕。「えっ?誰の?」お千代、涼やかに、「まんちゃんよ!」すっかり、旅支度を整えたまんちゃん、踊るように再登場、舞台も客席も、笑顔の花が咲き乱れる。まんちゃん「まあ、そういうことで、お父上、今後ともどうぞよろしくお願いいたします」弟嫁の父、そっとお千代に近づき「やあ、めでたい、めでたい、そういうことなら、これは私からのお祝いだ」さっきの五百円を手渡そうとする。「だって、おじさん!これは借金の返済に使うお金・・・」「なあに、心配ご無用。さっきの話は私の作り話、一芝居打ったのさ!」舞台に流れ出す、前川清の「噂の女」、まんちゃんとお千代、花道で颯爽と見得を切る。さっと振りかざした相合い傘の骨はボロボロ、破れガサがことのほか「絵」になる幕切れであった。「襤褸は着てても、心は錦、どんな花より綺麗だぜ、若いときゃ二度ない、どんとやれ、男なら、人のやれないことをやれ」、まんちゃんの心中を察して、私の心も洗われた。
 大衆演劇に共通する眼目は、「勧善懲悪」「義理人情」だが、もう一つ「人権尊重」という主題が秘められていることを見落としてはならない。「村八分」という差別観に敢然と立ち向った「まんちゃん」(余計者・与太郎)とお千代(賤業者)の行く末は?、それを決めるのは、他ならぬ私たち一人ひとりなのではないだろうか。

 ということで、「追われる女」(「噂の女」)は、大衆演劇の「名作」といっても過言ではない。「劇団翔龍」では、「追われる女・千代」(澤村うさぎ)、その父(大月瑠也)、弟(藤川雷矢)、その嫁(秋川ミホ)、村人(藤美匠・他)、庄屋(中村英次郎)、千代の幼なじみ・クニやん(座長・春川ふじお)という配役であった。それぞれが、きちんと、誠実にその役割を果たしていたので、「名作」にふさわしい「引き締まった」舞台となった。座長演じるクニやんの風情は、どちらかというと「藤山寛美もどき」、メイクは「地味」、所作と口跡だけで、人物のキャラクター(与太郎)を描出する「実力」は「さすが」「お見事」という他はない。終幕直前、江戸に旅立つ千代とクニやんの「相合い傘」が観られると思いきや、別々に客席を通って退場したのは何のため?ちょっぴり心残りな幕切れであった。
 とはいえ、私がこの名作を観たのは、(数ある劇団の中で)「劇団翔龍」と「鹿島順一劇団」の二つだけ、しかも、それを(舞台裏があわただしい)千秋楽前夜の舞台にかけた、春川座長はじめ劇団員の誠実で真摯な姿勢に脱帽する。
 舞踊ショー、座長の「浜千鳥情話」(唄・金沢明子)は、珠玉の逸品。「至芸」にまで高めてもらいたい、と思った。
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