今日もスーパーでした
このスーパーは久しぶりで、最後に来たのが半年以上も前です。
店内が少し変わってるなって感じながら歩くと、馴染みのスタッフから「やあ、久しぶりだね」の声。
私は無言のままニッコリ笑って応えながら、万引きGメンと悟られないよう店内をゆっくり歩く。
ちょうどお昼時。
テナントのお総菜屋さんの前は人だかりができていたが、なんだか今日はやけに建築関係の服装のお客さんが多い感じがする。
以前からこのお店は、お昼時になると近くにお勤めの人がお弁当やお惣菜を買いにくるのは多かったのですが、今日はとび職人の服装の人がやたらと目立つのだ。
近くで品出しをしていたスタッフの人に聞いたところ、お店の近くにマンションが建っているそうな…。
どうりで建築関係の人が多いわけだ。
半年以上も来なかったら世界はどんどん変わっていたようですwww
その時、私は入り口から入ってきた一人のとび職姿の30代の男性に目が行った
なぜなら、彼の手には精算したと思われるレジ袋が握られていたから…。
買い忘れたものがあったのかもしれないが、何かを感じた私はその男性の動きを追っていました。
どこがどうとは言えないのですが、そう、“何か”を感じたのです。
そう、万引きGメンの感というものでしょうか
その男性は真っ直ぐ駄菓子コーナーへ向かうと、歩きながら棒状の何かを掴んだ。
そのまま前に進みコーナーを左へ曲がると、曲がりながら手に握っていた棒状の駄菓子を持っていたレジ袋の中へ入れたのだ。
(やっぱりね)
万引きGメンの感が、万引き犯を発見したわけですwww
しかし、レジ袋に入れたものが何かわからない。
何かをレジ袋の中に入れただけ…。
感だけでは声をかけるわけにはいかないので、ここはしっかりと確認したいものです。
私はその男性の後を追いながら引き続き様子を窺った。
男性が次に向かったのは○○コーナー。
男性は棚に並んだ○○をしばらく物色したあと、○○と○○○○を一つずつ取ると○○○の中に入れた。
そして○○が○○○まると、その男性は○○と○○○○を○○○から取り出し、まるでそれらが精算済みであるかのように持っていたレジ袋に入れた(※あえて伏字にしております)
そう、まったく普通なんです
これはこの男性の行動を最初からずっと見ていたからわかったもので、これを途中から見たのでは万引きかどうかの判断がつきません。
さて、この男性はそのまま精算せずにお店を出たので御用となったわけですが、問題はこれからだったのです。
私:「あなた、仕事中なんでしょ?」
とび職人:『はい…』(力なく頷く)
私:「ひょっとしてマンション建築の関係者なの?」
とび職人:『はい…』(さらに力なく頷く)
私:「あなたねェ、仕事中にこんなことして、もし見つかったらってことは考えなかったの?」
とび職人:『………』(無言)
私:「前に万引きしたことは?」
とび職人:『ありません』
私:「そう…でも、とにかく万引きは犯罪ですからまもなくお巡りさんが来ます。職場の方に連絡しておいた方がいいんじゃないの?」
その時、その男性が携帯電話を見た
マナーモードにしているようで、着信音は鳴っていないがどうやら着信があっているようだ。
しかし男性は出ようとしない。
私:「会社の人から?」
とび職人:『はい、親父さん(社長さんのこと?)です』
私:「出なくてもいいの?」
とび職人:『いや、いいです。どうせ、もうクビですから…』
(いや、いや、そんな言葉は聞きたくないぞ…)
また男性が携帯を見る。さっきから何度もかかってきているようです。
とび職人:『監督さんから見られましたから…』
私:「監督さん?」
とび職人:『さっき店の前で私が挨拶した人です』
そういえば、私が声掛けしたあと、店内に連れて行っているときに出入り口ですれ違った人に挨拶していた人がいた。
とび職人:『たぶん監督さんから聞いて、親父さんが電話しているんでしょう』
私:「だから仕事中に万引きなんかするからだよ…これは仕方がないよ」
そう言ったが、男性はうつむいたまま黙り込んでしまった。
とび職人:『すみません、ちょっとお願いしていいですか?』
しばらく考えていたが、急に思い出したように男性が顔を上げてそう言い、さらに続けてこう言った。
とび職人:『親父さんに電話してもらえないでしょうか?』
ようするにこうだ、自分はクビは覚悟しているが、もしこのことが親会社に知れた場合、自分が務めている会社自体がこの仕事から外されてしまうかもしれない
お世話になってきた会社には迷惑はかけられない、それだけは絶対に避けたいと言うのだ。
でも、万引きしたとは自分の口からは言いづらいので、私から説明して欲しいということだった。
会社に迷惑がかからないようにという、男性のその気持ちに免じて私はその頼みを受けました。
やがて掛かってきた男性の携帯電話に出て、私が事の次第のすべてを伝える。
そして、もちろん驚く親父さん
その後、心配で駆けつけた親父さんと一緒に、男性はお店の店長に深々と頭を下げてお巡りさんと一緒にお店を出ていく。
私:「○○(男性の名前)さん、会社に迷惑が掛からないようにして欲しいとずっと言ってましたよ」
身元引受人として一緒に行く親父さんに、私はこれだけをそっと言うと、男性のお祖父ちゃんほどの年齢の親父さんが深々と頭を下げられてこう言った。
『若いもんはみんな孫みたいなものやけん』
また今日もちょっとだけ泣いてしまったw
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