私は、何も答えずに
持参していたけど出せずにいた
日記を、鞄から取り出した。
それは、以前にも書いたように
彼を、いつまでも待つと決めた自分の気持ちを
彼に宛てた手紙の様な形式で綴っているもので、
それは、ノート2冊に及んでいた。
無言で、彼にそれを渡した。
しんじ 「何これ?」
凪 「待つって決めた私の気持ちの全て。」
しんじ 「読んでいいん?」
凪 「うん。」
にゃんじは、それを受け取って、
1時間くらい、無言で読み続けていた。
私は、話しかける事もなく、
ただただ、読み終えるのを待っていた。
日記を読んでいる彼が、
突然、泣き出してしまった。
凪 「どうしたの?」
しんじ 「俺、凪にこんな苦しい想いさせてたんや。」
凪 「・・・。」
しんじ 「今の俺なら、痛いほど分かってあげられる。ほんまにごめん。」
凪 「いいの。私が決めた事だから。」
しんじ 「めっちゃ、苦しい。これ、もらっていい?」
凪 「読んでもらえる日が来るのか分からないまま、ひたすら
にゃんじに宛てて書き続けた。読んでもらえて嬉しいよ。あげる。」
しんじ 「ありがとう。
ねぇ、凪。ほんまにほんまに、凪がおらなあかんねん。」
彼の目から、止めどなく
大粒の涙が流れ落ちている。
私は、この人を、待ってたんじゃないの?
戻るか、終わるか
二つに一つと言う、彼の気持ちは
変わりそうになかった。
私は、
にゃんじが想ってくれてる程は
想えないのを、悟ったまま、
限りなく
「戻る」
と言う結論に、近付いていた。
戻る為に、頑張った。
思ってたような、戻り方ではないけれど、
これを望んで、
毎日、毎日
彼に宛てた手紙の様な日記を書き続けたんだ。
頭では、そう思っているし、もう結論を出そうとしてる。
でも、心はまだ
頭に追い付いていない。
それでも、
これが、私の目標だったんだと
自分に言い聞かせて、
決断をしなくてはいけない。
凪 「にゃんじ。戻ろう。」
しんじ 「え?ほんまに・・・?」
凪 「うん・・・。」
しんじ 「ほんまにほんま?」
凪 「その為に、頑張って来た。まだその時ではないと言う気持ちもある。
でも、これが目標だったのは確かだから。」
しんじ 「ほんまに・・・ありがとう。勝手でごめん・・・。」
彼は、先程よりも
激しく泣き出してしまった。
そっと
彼に近づいて、
強く強く、抱きしめた。
しんじ 「凪。ほんまに愛してるで。」
凪 「うん。」
彼の愛の言葉が
切なくて、
私まで、泣いてしまった。
同じ気持ちで
「愛してる。」
と、答えてあげられないジレンマに
押し潰されそうだった。
でも、
これから、私達は
お互いに、
拒絶された苦しみを
忘れる事ができなくなっていく。
それが、
最大の
癌になった事を
この時の二人は
まだ、知らない。
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