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【カザフ、自国油田をメジャーから接収して国営化したいが…】産油国カザフの暴動から分かること②

2022-01-13 00:01:06 | その他の地域
前回からの続き)

 先述のように、カザフスタンにおいてこのほど発生した大暴動のきっかけはインフレ、具体的には自動車燃料用の液化石油ガス(LPG)の国内価格の急騰です。したがって、カザフがこれを真剣に鎮圧する気ならば同価格の引き下げが必要ですが、前記した事情があるために同国政府にはそれができません。他方、LPG価格が下がれば、一般国民にはありがたいですが、それは同国の輸出額の6割近く(56.8%、2019年、OECWORLDHP)を占める原油の国際価格の下落をも意味します。となると、かの国の貿易収支は悪化し、通貨は安くなって、今度は食料等の輸入インフレが激しくなりそう。ということで、現状のままだと、どのみち―――原油価格が上がっても下がっても―――カザフの人々がインフレの苦しみから逃れるのは難しそうに思えます。

 では、そんなカザフがインフレを抑えながら経済発展を目指すにはどうするべきか、ですが・・・このあたり、上記から同国は石油(と天然ガス)に頼る以外にないので、本来は次のようにするほかなさそうです。つまり、自国油田から産出される原油について、外国向けの販売価格は国際価格とするいっぽう、国内向け価格は政策的に引き下げる、ということ。具体的には、原油輸出の稼ぎの一部を補助金等としてプールしておき、いまのような価格高騰時は、国際価格からその補助金の分だけ安い額で国民に売る、といった仕組みです。こうすれば、外貨獲得とインフレリスク低減の双方をバランスさせた国家運営が可能となり、それなりの成長が期待できそうです。もっとも、そのためには、原油を上記のように自分たちで自由に扱えるよう、カザフ国内の油田の権益を政府あるいはその傘下の企業が確保することが必要となってきます・・・

 しかし・・・そうしたこと、実際にはまずできないでしょう。前述のようにカザフの油田の権益は欧米オイルメジャー(米シェブロンや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル等)の手中にあるわけですが、同国政府が上記を行うには同権益をこれらから買い取らなければなりません・・・が、そのための資金なんてあるわけありません。となればカザフ政府には、強権を発動して外国資本が持つ油田を接収・国営化してしまう、という手も考えられます。けれど・・・かの国がそうやって単独で立ち向かったところで、巨額のマネーや採掘等に関する高い技術力そして多くの販路等を有するオイルメジャー(と背後の欧米諸国)に、簡単に勝てるものではないことは、他の産油国、たとえばベネズエラ(1970年代の油田国営化以降、メジャー各社とは対立中?)の厳しい現状をみれば想像ができるわけです・・・

 となれば、カザフは、結局は現状路線―――オイルメジャーの原油生産・販売等に依存した経済運営―――で行く以外の道はなさそうで、それは、上記暴動の元凶となったインフレを緩和できないことを意味します・・・

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