背骨曲がりがあらゆる不調の根源

背骨は健康の源です!今回ご紹介する書籍は、「背骨の医学」山口正貴(やまぐちまさたか)著、さくら舎から出版されています。

私たちは脊椎動物で魚がその起源です。魚は背骨を動かして移動しています。人間の手や足は背骨の動きを増幅させるための「ヒレ」にすぎないのです。そして背骨の動きが悪くなると、手や足の動きも悪くなるのです。

直立二足歩行による負の遺産

直立二足歩行する人間の宿命として、これらの疾患があるのですね。

治療の主眼は、魚のような背骨の柔軟性を獲得し、直立二足歩行になったことで必要となった背骨まわりの筋肉を中心に鍛える体幹部のトレーニングが大きな方針となります。

発明王のトーマス・エジソンは次のような言葉を残しています。

トーマス・エジソン画像

『将来の医学は薬を使わず、人間の骨格、構造、栄養を正すことによって、病気の予防をすることである。』   -トーマス・エジソン-

カイロプラクティックオステオパシーの施術が有効なのも、この背骨を中心としてバランスを整えることができるからなのです。

確かに背骨が歪むと首こり、肩こりなどが起き、その結果として頭痛や目の痛みなども現れますが、これは「関連痛」といって、痛みとなる原因が生じた部位とは異なる部位に痛みを感じるためです。

この様に中心である背骨が歪むと、腰痛や肩こりだけでなく、様々な症状に波及するのです。

脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症の原因は、背骨にストレスをかけ続けたなれの果てといわれ、我が国の有病者数は、約600万人と推定、60歳以上では10%の有病率です。

代表的な発病の流れは次のようになります。

椎間板が損傷→クッション性低下→椎体にかかる負担増→椎体変形→神経が圧迫され症状が出る(間欠性跛行:かんけつせいはこう、腰・脚部の痛み、痺れ、脱力など)

脊柱管狭窄症の改善には、神経に圧迫ストレスを加えずに、背骨の前後左右のS字アライメントを正常に近づけることが大切です。

当院でもカイロプラクティックやオステオパシーの施術を通して脊柱管狭窄症に対処しておりますが、背骨のバランスを整えることがとても有効です。

四十肩・五十肩

四十肩・五十肩などで肩の関節が痛くなったり動きが悪くなったりすると、肩関節のみに注目してしまいますが、実は背骨と関連が深いのです。

胸椎の動きが悪くなると、肩甲骨の動きが悪くなり、肩甲骨の動きが悪くなると腕の動きも悪くなります。

肩甲骨の動き
肩甲骨の動き

猫背だと腕は胸部の前方に位置がずれてしまいます。すると肩甲骨は、腕に引っ張られて本来の位置よりも上方回旋・後傾位(簡単に言うと外側)にあります。バンザイの姿勢では肩甲骨は外側に行きやすく、内側に寄せることは難しくなります。改善方法は、肩へのアプローチではなく背骨です。背骨の伸展特に胸椎の伸展を引き出すことです。

逆に言うと、猫背で背中が硬くなった状態ですと、肩甲骨の位置もずれ、肩関節も本来の位置を保てずその可動域が狭くなり、結果として四十肩・五十肩になりやすくなるのです。

背骨の動き

背骨と姿勢

背骨の動きが悪くなると、下にある骨盤の動きも悪くなります。骨盤の動き悪いとさらに下にある股関節や膝、足首の動きも悪くなります。

立った姿勢が各関節にとってはホームポジションとなります。背骨はS字、骨盤の傾きは、横から見て上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)より上後腸骨棘(じょうこうちょうこつきょく)の高さが1~2横指(指の幅)上、股関節や膝関節はまっすぐの伸展位、足関節は直角の中間位で体重を受けるときに強い構造をしている。

すなわちホームポジションからズレると関節は弱い構造となるため、痛みや変形などの不具合が生じやすい。

骨盤が後傾だと、膝と足関節がホームポジションから外れるので、膝が痛い(変形性膝関節症)、足関節が痛い(偏平足、外反母趾)などの症状が出やすいのです。

骨盤前傾の人は、股関節と足関節が弱い構造となる、股関節が痛い(変形性股関節症)など、足関節が痛い(外反母趾)などが生じやすい。

この様に背骨の歪みは骨盤を通じて下半身の不調へと波及しますので、まずは背骨にアプローチしていきましょう。

皆さん、子供の頃に傘や棒を手のひらの上で立てたままバランスをとった遊びをしたことはありませんか?重力に対して鉛直方向にバランスを保たないと傘や棒は倒れてしまいます。そのために素早くしなやかに手の位置を修正して棒の倒れる方向に先回りして修正しているのです。

人間の背骨も同じで、 ホームポジションとは、重力に対して骨盤や背骨、頭が鉛直方向にバランスよく乗っている状態なのです。これにより無駄な力を使わず、しなやかで力強い動きができるのです。

そのためには自分の中心を感じる感性と、それを支える筋力と柔軟性が大切になってきます。

胸やけ・腹痛・息切れ

猫背で背中が丸まっている方は、胸やけや腹痛、胃もたれを訴えることがあります。わが国の研究で、背骨に後湾(特に腰の後湾)があると逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアなどの消化器症状を呈する可能性が高いと報告されています。これは背骨が後湾すると、胃や腸などの消化管が圧迫されることが原因と考えられています。

背骨の後湾は胃だけでなく、肺も圧迫します。息切れも背骨が原因の場合があるのです。私の臨床の現場で感じることは、うつ伏せが苦しいという患者さんは、胸椎や肋骨の可動性が悪く、スムーズに呼吸ができていない方が多いということです。

背骨や肋骨の可動性がつくと呼吸が楽になったという方が多いのです。

背骨が曲がる原因

「40%骨・椎間板、60%背筋」→「加齢」→「炎症」→「筋力低下(背筋の霜降り化)」→「背骨曲がり」→「圧迫骨折・骨棘・椎間板変性」→「脊柱管狭窄症」

成人脊椎変形の有病率は60歳以上では68%という報告があります。背骨の変形を引き起こす犯人は椎間板の変性です。そして手足の変形性関節症の犯人は軟骨の変性です。

背骨のクッション椎間板

椎間板の内部にある髄核は、体積の40~60%を占めており、コラーゲンとプロテオグリカンで構成されているため、約80%が水分です。

加齢により含水量が減少し、弾力性が低下し、亀裂や変性が生じます。さらに椎間板の変性が進むと、背骨に骨棘が出現したり、圧迫骨折を起こしたりしてしまいます。

筋骨格系の軟部組織において、椎間板(主に髄核)ほど加齢に伴い劇的に変化するものはほかにない。背骨を守るために最も重要なのは、椎間板を守ることです。

椎間板には過剰な負荷をかけないようにし、反面、適度な荷重と非荷重を繰り返すことは大切で、これにより、椎間板内の水の出し入れをして、椎間板や軟骨の水分含有量を保つことができます。

筋力低下

歳をとると、慢性炎症が増え、これにより筋肉量を減らしてしまうのです。

筋力低下を招くものは、糖尿病や肝機能低下などです。

脂肪肝の人は筋肉は痩せやすい→脂肪肝の人は老化しやすい→背骨が曲がりやすい

改善にはやはり、食事と運動です。

老化を抑制する仕組み

運動が骨粗しょう症の予防・治療に重要なこと、身体のほとんどの臓器・組織において、炎症・老化を抑制する効果があることはわかっていました。

2019年、東京都健康長寿医療センター等の研究グループにより、新たな知見が得られました。

それは、運動で生じる「衝撃」により、「組織液(間質液)」を流動させることが、健康改善につながるというものです。

運動の本質は、体に衝撃を加えて、体内の液体を流動させることです。

運動は脳にも良い

2020年に国立障害者リハビリテーションセンターと東京大学などの共同研究グループが、運動時の頭部に加わる適度な衝撃が、脳機能の維持・調節に関係していることを明らかにしました。

頭部への衝撃によ、大脳皮質内の間質液が流動することを認め、神経伝達物質のセロトニンが活動する幻覚反応が抑制されることも発見しました。つまり、「運動→頭部に適度な衝撃→脳内間質液流動→脳内の細胞に力学的刺激→脳内の細胞の機能調節」という仕組みが運動による脳機能調節に広く関与しているとのことです。

歩行を例にすると、時速7キロメートルの早いウォーキングか、軽めのジョギング程度の刺激です。実際はこれよりも軽い運動でも液体の流動は起こっていると考えます。

骨も椎間板も脳も、とにかく液体(間質液)を運動で動かすことが、機能維持・改善には重要なのです。

骨粗しょう症

骨粗しょう症で最も多いのは脊椎骨折です。骨粗しょう症になると、転倒や尻もちだけでなく、中腰の姿勢をとった、椅子に勢いよく腰かけた、少し重いものを持ったという程度の小さな外力でも骨折を生じてしまいます。脊椎圧迫骨折のうち2/3は無症候性です。

また、大腿骨近位部骨折は加齢とともに発生頻度が上昇します。25~30%は寝たきりになるとの報告もあります。転倒を防ぐためには背骨がS字である必要がありますから「背骨を守る」これにつきます。

背骨の健康診断

  • 身長は縮みましたか?…若い頃と比べ5センチ以上も身長が低下している場合、死亡率が50%も増加するとの報告もあります。
  • 横を向いたまままっすぐ歩けますか?…背骨の可動性が低下していると、顔を横に向けるとき、背骨全体でねじらないといけないので、重心の偏りが大きくなって、まっすぐ歩けなくなるのです。
  • 背骨の前後方向のS字カーブチェック…身長を測るときの様に、あごを引いて壁に背をつけて立ちます。かかと、お尻、肩甲骨、後頭部が無理なく壁についていればOKです。その時に、腰に横から手のひらを入れてみて、ちょうど1枚分入るくらいのスペースが開いていれば、前後方向の背骨はきれいなS字になっています。

横座り→横座りの左右差は重心線が右偏位の場合は、足を左に崩した横座りの方がしづらい。

仰向けで膝を立てて倒す→重心線が右偏位の場合は、膝を右に倒す方がやりづらい。

これらの特徴は、カップリングモーションによって動いている背骨の変化を表しています。カップリングモーションとは、側屈と回旋のコンビネーションのことを言います。

これらの背骨や骨盤に対して、カイロプラクティックやオステオパシーの施術でバランスを取ることはとても重要です。

教育者の森 信三(もり のぶぞう)先生は、椅子に座っているときに腰骨を立てる、「立腰:りつよう」の大切さを述べています。森 信三は「常に腰骨をシャンと立てること、これ人間に性根の入る極秘伝なり」と説いたのです。

肥田春充(ひだ はるみち)先生
肥田春充(ひだ はるみち)先生

肥田式強健術の創始者の肥田春充(ひだ はるみち)先生は、人前で演説する際に最も重要なことは一にも二にも姿勢であると述べています。やはり姿勢により相手に伝わる印象はだいぶ違うと思います。

皆さんの中にも、子供の頃に姿勢が悪いとか、猫背という理由で親に竹の物差しを入れられた人もいるのではないでしょうか。私もそんな一人でした。

たかが姿勢されど姿勢で、正しい姿勢はエネルギーロスを最小限に抑え、筋肉をしなやかで力強く使うことができ、関節や椎間板にも無理がかからず、立ち居振る舞いも美しくなります。

姿勢が悪いと、相手に与える印象も悪く、自信がなく優柔不断で病弱なイメージを与えてしまいます。

姿勢と精神状態の関連は深く、良い姿勢は気持ちを明るく前向きにします。逆に悪い姿勢だと、気持ちも落ち込んでしまいます、姿勢とは「心の状態」をあらわし、「生きる姿勢」そのものです。大げさに言えば姿勢を変えれば人生も変わるということです。

背骨と歩行の関係

背骨を守るためには、良く運動をすることで特によく歩くことが大切です。

厚生労働省によりますと、運動をよく行っている者は、総死亡、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、結腸がんなどの罹患率や死亡率が低いと報告されています。

また、運動がメンタルヘルスや生活の質の改善に効果をもたらすことが認められています。医学の父、ヒポクラテスも「歩くと頭が軽くなる」と言っています。

更に高齢者においても歩行など日常生活における身体活動が、寝たきりや死亡を減少させる効果のあることが示されているのです。

1日1万歩以上歩いている者は男性29.2%、女性21.8%であると報告されています。(平成9年度国民栄養調査)。現代人は圧倒的に歩行が足りていません。在宅勤務の増加で更に歩く機会が減ってしまうことが懸念されています。

歩行がまず体を動かす基本となります。

歩行は片足立ちの連続した動作です。この動作を滞りなく滑らかにするためには、上半身と下半身をお互い逆方向に回旋して力を打ち消し合うことです。そのために、まずは前後のS字を獲得したうえで、左右のS字を獲得することが背骨を守ることになります。

正しい歩行のためには、筋力と柔軟性も大切ですが、正しいフォームで筋トレを行うことが大切です。悪い姿勢で筋トレをするとかえって体を痛めてしまいますので、我流ではなく正しく運動を行うことが大切です。

人は動かなければ寿命が短くなる生き物です。まずは日常の中で運動習慣をもち、歩く時間を増やす工夫をしてください。

3つの損傷の法則

1.総負荷量の法則…損傷リスクは体に加わる総負荷量で決まります。自分の身体の限界を超えると損傷します。

2.関節可動域と筋力の法則…損傷リスクは、関節可動域の中間域ほど低く、最終域ほど高くなります。背骨の場合、中間域は体幹がまっすぐ伸びたS字姿勢の時になります。重量挙げの選手がバーベルを持ち上げるときに、体幹がまっすぐ伸びているのは、力を最大限に発揮できるからです。

背骨の最終域は前屈したときや、後ろに反り返ったとき、最大限にねじったときなどです。ここが一番怪我をしやすい所です。

3.時間と場合の法則…時間帯における損傷リスクは、朝は高く夜は低いとなります。また、同じ姿勢の時間が長いほど損傷のリスクは上がりますが、座位や立位については、良い姿勢か悪い姿勢かで理屈が異なります。

補足として、ウォーミングアップをして身体を温めておくと筋力と柔軟性が向上し、ケガのリスクが減るのです。

ストレッチ

最新の研究では、ストレッチもやり過ぎは筋肉を破壊したり、筋力を低下させたりすることがわかっています。

安全で、楽で、効果的な正しいストレッチの方法は、「週3回以上」「反動はつけない」「少し痛いまで」で「30秒を2回まで」「夜のお風呂上り~寝る前」は柔軟改善を優先して「30秒を5回まで」がベストとなります。

ストレッチの効果として、血管寿命を改善し、筋肉自体に伸び方を忘れさせないためという意味合いがあります。

筋トレは何のためにするのか

  • パフォーマンスの向上
  • 血圧が低下、血流が改善
  • 椎間板の健康状態を維持・改善
  • 筋肉や関節の損傷リスクを減少する
  • 短期的に痛みを軽減する
  • 求心位を高め骨粗しょう症を予防する(骨と骨がズレていないで、本来の正しい位置に収まっていること)

背骨を守るために最も重要な筋肉は「脊柱起立筋」です。

筋トレの方法として、高齢者と運動初心者は以下のものがお勧めです。

  • 静的(等尺性)トレーニング
  • 多関節トレーニング
  • 低負荷・高回数

運動継続者は次のようなトレーニングをお勧めします。

  • 動的(等張性、等速性)トレーニング
  • 多関節トレーニング+単関節トレーニング
  • 高負荷・低回数

ここで、筋トレは「高負荷・低回数」が効果的か「低負荷・高回数」がいいのかの議論があります。最近の研究でこれまでの常識が引っくり返りました。筋トレの世界でも新たなエビデンスが登場し、従来の様な「高負荷・低回数」でなくてもいいということになりました。

筋肥大はどれだけ負荷を与えたかの総負荷量に比例する。よって、筋トレは「低負荷・高回数」でもよいのです。大事なのは、「筋肉がしっかりと疲労するまで繰り返す」ことです。「筋トレは何回ではなく、疲れるまでやる」ことなのです。

モハメド・アリ

元WBA・WBC統一世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリは1日に何回腹筋をするかの質問に対し、「私は腹筋の回数を数える事はしない。限界を感じてきたら数え始める。痛みを感じてきた時が数え始める時だ。意味のある数はそれからだ。」と言ったのです。

アリは先程の 「筋トレは何回ではなく、疲れるまでやる」 ということを実践していたのです。

乳酸は悪者ではない

血液中の乳酸濃度は運動強度が高まるにつれて増加します。そのため、乳酸は老廃物ではなく、立派なエネルギー源なのです。また乳酸はミトコンドリアの数を増やしたり、血管の新生を引き起こしたりすることも報告されています。

また、乳酸は白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に変化させます。「褐色脂肪細胞」は、いわゆる「やせる脂肪」で、脂肪を分解して熱を生み出す性質をもちます。運動して乳酸をたくさん出すことが、筋肉を育て、健康的な身体をつくることになります。

筋トレと有酸素運動

筋トレと有酸素運動を同時にやると、干渉効果が起き、筋肥大効果は低下します。干渉効果を起こさないように有酸素運動をするには以下のようにするといいのです。

  • ウォーキング…干渉効果を気にしなくてよい。
  • バイクやジョギングや水泳などの人…「週2~3回」「1回20~30分」「筋トレとは別日にやる」

有酸素運動は細胞老化を誘導する

私たちの細胞は何かダメージを受けると、細胞老化を起こし、細胞が死に、また新しい細胞に再生されるといったサイクルを繰り返しています。

ただ、細胞老化にも悪い老化があり、細胞老化を起こした老化細胞が、死なずにそのまま長期的に存在し続けている状態です。その悪い細胞からは、炎症や発がん促進作用を有する炎症性サイトカインなどがずっと分泌され続けます。その結果慢性炎症の状態になるのです。

有酸素運動により、もたらされるAMPKが正しい細胞老化を誘導することがわかった。運動という刺激を加えることで、細胞は正しく老化し、死ぬことができるのです。すっきり死ぬことで、余計な炎症が無くなる。死んではじめて、新しい細胞に生まれ変わることができるということです。

運動によって細胞に死をもたらすことが、健康に良いというメカニズムが、人体にはそなわっているのです。

ソクラテス

ソクラテスも「死」について次のような言葉を残しています。

死というものは、実は人間にとって最大の祝福かもしれない。

背骨を守るための基本方針

「損傷の法則」逆Uの字型のグラフ
「損傷の法則」逆Uの字型のグラフ
  1. 背骨を守るための身体づくりをする…安全ゾーンを広げる。筋トレは安全ゾーンの縦軸を広げ、ストレッチは横軸を広げる。
  2. 背骨を守るための生活習慣を身に着ける…安全ゾーンの中で生活する。「総負荷量」「関節可動域と筋力」「時間帯」「同一姿勢」「体温」というポイントを押さえ対応する。

釣り竿と物干し竿

筋肉には深層筋と浅層筋があります。深層筋は背骨一つ一つに付着しているため、釣り竿の様な分節的で滑らかな動きに関与しています。浅層筋は、基本的に背骨をいくつか飛び越えて部分的に付着しているため、繊細な動きは苦手で、物干し竿のように、ただ大きな力を発揮するのが得意です。

高齢者や腰痛などの痛みがある人では、浅層筋が過剰に働いてしまい、協調的に背骨を動かせていないことが報告されています。つまり背骨を分節的に動かせず物干し竿になっているのです。

運動不足や同一姿勢が続くこともマイナスですので注意が必要です。分節運動を意識して体の前屈や伸展(後屈)などの動きを行うことが大切です。

カイロプラクティックの世界では、脊椎の関節の動きの悪い部分を、フィクセーション(fixation)と呼びます。機械でいえば錆付きの様なものです。背骨や骨盤などを調整することで脊椎の分節運動を行いやすくすることができます。

このフィクセーションは単純にストレッチや筋トレだけを行っても治らないのです。いつまでも若々しい背骨を維持するためにカイロプラクティックやオステオパシーの施術をお勧めいたします。

有酸素運動

健康寿命を延ばすのは歩行の「速さ」でしょうか。それとも「歩数」でしょうか。

結論から言えばどちらも大切で、歩く速さが速い人ほど心臓疾患などにかかりにくいというデータもあります。また、アメリカ国立衛生研究所の発表では、1日4000歩の群と比較して、一日8000歩の群は51%死亡リスクが低下、1万2000歩の群では65%死亡リスクが低下することがわかりました。歩くことは運動の基本ですので、努めて歩くようにしましょう。

過去にブームとなった運動法・健康法

  • 1970年代…スタイリー、ぶら下がり健康器、ルームランナー、ブルーワーカー
  • 1980年代…エアロビクス
  • 1990年代…ダイエットスリッパ、ダンベル体操
  • 2000年代…ビリーズブートキャンプ、バランスボール、ヨガ
  • 2010年代…カーヴィーダンス、ロングブレスダイエット、モムチャンダイエット

様々な運動方がありましたが、ブームで終わってしまい三日坊主で明また方もいると思います。どの健康法もある意味ではすべてが真実であり全てに効果があるのです。

正しい体の使い方を踏まえて、いろいろと交えて自分に合ったものを行ってみてください。

ダイエットでも筋トレでも楽しくないものは長続きしません。どうしたら長続きするのでしょうか。人間は踊ることが好きです。ダンスの中には体のバランスや姿勢を保持したり、柔軟性をアップさせたり、筋力を増強させたり、心肺機能を向上させ、脂肪燃焼効果があったりと様々な効果があります。

そして何よりも、気分が良くなり、気持ちが前向きに明るくなります。昔から嬉しいときの状態を表す言葉として「欣喜雀躍(きんきじゃくやく)」とか「小躍りする」などと言いますが、人は嬉しくなると自然と踊りたくなるものです。

その逆もまた真なりで、気分が落ち込んでいるときでも、踊ってみると気分が良くなります。「外相ととのえば、内相おのずから整う」といいます。「外相」すなわち形だけでも楽しそうに幸せそうにして踊っていると、「内相」すなわち心の状態も自然と明るくなるものです。

背骨を守る生活習慣

日常生活に限らず、エクササイズを実施する上での注意点となります。ここでは、安全ゾーンを超えないために必要な生活習慣とすべきポイントを具体的に列記していきます。

  • 総負荷量を考えて、自分の限界を超えないようにコントロールする。
  • 負荷量が多い動作・作業の時は関節の中間域(S字姿勢)でおこなう。
  • 最終可動域付近(屈曲・伸展・回旋した状態)で動作・作業せざるをえないときは、小さい負荷のものだけにする。
  • 繰り返しの作業はなるべく避けて、頻繁に休憩をはさむ。
  • 朝や同一姿勢後、体温が低いときは、関節の中間域付近の狭い範囲で、軽い負荷短時間反復の運動のみOK。
  • 夜や動作時、体温が高いときは、最終可動域までの広い範囲で重い負荷、長時間反復の運動もOK。※ただし総負荷量は超えないこと。
  • 同一姿勢は避ける。(よい姿勢なら悪い姿勢に、曲げていたら反る、右を向いていたら左を向く、など「逆」の姿勢に変えることです。定期的に姿勢を変え続けることが、背骨に栄養を与えて、健康な背骨を育てるのです。
  • 重荷の移動など、強い力が必要なときは上半身と下半身が同側回旋のナンバ歩き(右手と右足、左手と左足をそれぞれ同時に出す歩き方)を利用する。

背骨を曲げないための食事

  • 自然な食べ物…抗炎症作用
  • 不自然な食べ物…慢性炎症(脂肪の増加もダメ)

食事のバランスは、炭水化物 4 / タンパク質 3 / 脂肪 3 のバランスが望ましいのです。現代食生活では、炭水化物が6割くらいありますので、これを減らしてたんぱく質などを増やすといいと思います。

タンパク質は年齢を重ねれば重ねるほど若者よりもたんぱく質をたくさん摂らなければなりません。それは、加齢とともに吸収率が落ちるからです。

さらにたんぱく質を分解する消化酵素の多い食品を一緒にとるとタンパク質の消化を助けます。(パイナップル、グリーンキウイ、イチジク、こうじ、納豆、プルーン、りんご、ゴーヤ、メロン、玉ねぎなど)ただし、酵素を働かせるためには、これらの食材を非加熱で生のまま摂らなくてはいけませんのでご注意ください。

サプリメントでもタンパク質分解酵素を多く含んだパパイアの酵素のサプリメントなどもありますので、それを食事の直前に飲むのもいいでしょう。(Now Foods, パパイヤ酵素、チュアブル、360ドロップなど)

筋トレをする人は体重1キロあたり1.6gのタンパク質が必要です。体重60キロの人では運動後24時間以内にタンパク質96g摂取した方がよい。しかし、これ以上とっても効果は変わりませんと著者は述べています。

これに関しては、アスリートなどは、 体重1キロあたり 2g位の量のタンパク質を摂取する人もおり、諸説ありますが、タンパク質の過剰摂取は、内臓に負担をかけます。

摂取したタンパク質のうち余ったものは分解されて窒素となります。窒素を体外に排泄するために、肝臓・腎臓の働きが必要です。そのため肝臓や腎臓にかかる負担が普段よりも大きくなり、内臓疲労を引き起こしてしまう可能性があるのです。

人はダラダラするように仕組まれている

人類が農耕を始める1万年以前は、狩猟が行われていました。狩りは走り続けるため相当なエネルギーが必要です。そのため人類は、生き延びるために、狩猟などの活動以外の時間は、エネルギーを使わないように、ダラダラするように進化したとハーバード大学の進化生物学者であるリーバーマンは述べています。

しかし、運動不足では生活習慣病になりやすくなるので、どうしたら継続させることができるか考える必要があります。

運動も頭もがんばると続かない

人間は体力が落ちると精神力も落ちるのです。運動のしすぎは脳疲労を招き、物事の判断力が低下します。機能的MRI(fMRI)による検査、「背外側前頭前野」という部分の活性が低下していました。背外側前頭前野は、「思考力や判断力」「やる気」に関する重要な役割を担っている。

運動や頭を使うことも、両方とも疲れるまで行ったら情報処理能力や自制心、やる気が低下するということです。

精神力(自制心)も使えば使うほど、消耗していき、誘惑に打ち勝てなくなります。どのようなときに精神力が使われるか。

  1. ストレスを感じたとき
  2. 何かを我慢したとき
  3. 長期的な課題があるとき
  4. 何かを選択したとき

これらに対する改善策は、まず精神力が残っている早めの時間帯に面倒くさい仕事はかたずけておくということです。

次にストレスを感じることや、我慢をしないということです。無理しすぎないということでもあります。

最後が選択をしないで、ルーティン化するということです。AかBかなどと選択をするということもエネルギーを使いますし、ストレスになり疲労もします。これを回避するためにまずは断捨離をして選択をしなくてもよいようにしたり、ルーティン化して選択しないでもできるように仕組みを作るといいのです。別の言い方をすると、習慣化させるといってもいいと思います。

精神力は環境に左右される

ミラーニューロンというものがあります。人は自分の置かれている環境に染まりやすいということで、運動をしない人たちの中にいれば、それを見て自分も運動しなくなるという確率が高くなるのです。

逆に言えば、自己管理意識の高い運動習慣のある仲間をつくると、自分も運動するようになるということです。「朱に交われば赤くなる」と言います。健康的な習慣を身につけている人の影響を受け感化されるようにすればよいので、そのような人がまわりにいなくても、You Tubeや本などいろいろなところから良い影響を取り入れるといいと思います。

考える前に動く

「1回だけ」「10秒だけ」でいいので、考える前に動くといいのです。人は何かを考えるときに、できない理由を考えます。よって、考える前に動くのです。

スペイン黄金世紀の哲学者、神学者のバルタサール・グラシアンは次のような言葉を残しています。

愚か者が先延ばしにすることを賢者はただちに取りかかる

ロンドン大学の研究によると、平均して66日間で習慣化するそうです。これは途中でできない日があってもOKで、また、たったの1回でもできたなら「できた」とカウントしてOKなのです。

孔子も次のような言葉を残しています。

人の本性は皆ほとんど同じである。違いが生じるのは、それぞれの習慣によってである

背骨を健全な状態に管理するためには、運動や食事の改善など自助努力が必須になります。これを習慣化することが最も重要なのです。

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