免疫力とは?

今回ご紹介する書籍は「免疫力の話」石原新菜監修、日本文芸社より出版されております。

免疫とは「疫(えき)から免れる(まぬがれる)」、すなわち「伝染病」などからのがれるということを意味する言葉です。

例えば、一度「風疹(ふうしん)」などの伝染病に罹った殆どの人は、その伝染病に対して免疫を獲得しているので、同じ病気には罹らなくなります。これを「免疫ができた」と言います。

私たちの周りには、ホコリやウイルス、細菌など様々な異物が存在します。こうした外敵から体を守っているのが免疫というシステムです。

皮膚や粘膜で異物の侵入を防いだり、侵入された場合は白血球がその異物を撃退するといった機能がそうです。

風邪をひいたときに熱が出るのも、体が病原体と闘っている免疫反応のサインです。異物から体を守る最初の防護壁は皮膚や粘膜で、これらを突破されると、白血球が病原体を食べて駆除します。ここまでは誰もが生まれつき持つ自然免疫です。その先は、免疫細胞が抗体を作って病原体を退治する獲得免疫が働きます。この様に免疫は2段構えになっています。

免疫の中心は白血球

皮膚や粘膜のバリアを突破されたときに出番となるのが白血球です。大きく分けると単球、リンパ球、顆粒球の3種類です。

このうちリンパ球のT細胞とB細胞が獲得免疫に関係し、その他はいずれも自然免疫に関わります。

まず、自然免疫チームのマクロファージや好中球が病原体を食べて駆除します。それだけでは手に負えない場合、他の細胞に助けを求めます。マクロファージが病原体の侵入を知らせ、樹状細胞は病原体の情報を伝えます。

それを聞きつけたヘルパーT細胞は攻撃命令を発令。B細胞は病原体に適した抗体を作り、その抗体とキラーT細胞が病原体を攻撃します。

なお、NK細胞だけは独自に働き、感染細胞やがん細胞などの破壊を行っています。

免疫力は低下すれば風邪をはじめいろいろな病気に罹りやすくなります。逆に過剰になると、アレルギー症状が強くなったり、サイトカインストームが起きて命にかかわることもあります。

このように免疫は、身体にとって有害な細菌やウイルスを攻撃したりして、健康を維持する重要な働きをします。ところが、免疫機能に異常が起きると、自分自身の細胞を攻撃する「自己免疫疾患」を引き起こします。

リウマチなどの膠原病の専門医である篠原 佳年(しのはら・よしとし)医師が快癒力という書籍の中で、膠原病を発症した人の共通項について述べています。

それは、発症前にものすごい精神的ストレスを受けていたという点です。ストレスが免疫系を狂わせるのです。強いストレスが続くと、自律神経のバランスが崩れ、自律神経失調症になってしまい免疫も混乱してしまいます。

逆に、リウマチなどの検査数値の改善結果が良い患者さんの特徴も述べています。それは、

「あきらめる」「忘れる」「人のために尽くす」の3つを徹底して人だそうです。この様にしていると、どんな病気も不思議なほど良い方向に結果が出るそうです。病気をつくっているエネルギーを良い方向に転換したのです。

過度のストレスを避け、病気に対しても、治そう治そうと執着しすぎないで、人のために尽くすことで、内向きだったエネルギーを、外に向ける。すると免疫も正常になってくるというのです。

すぐできる自宅で免疫アップ

ここからは、どうしたら免疫力をアップできるかをお伝えさせていただきます。

  1. ダラダラ過ごす
  2. 空腹状態にする
  3. 40℃のお湯に10分つかる
  4. 7時間寝る
  5. 生姜紅茶を飲む

免疫力を上げる食べ方

それでは具体的な食べ方などのお話をいたします。

体が冷えると免疫力は低下する

人間の体は、36.5℃~37℃の間で、一番よく働くようになっています。例えば体温が1℃下がると、免疫力は30%低下し、基礎代謝も12%低下、がん細胞も繁殖しやすくなるなど、悪いことだらけです。

冷たい飲み物や、水分の摂り過ぎは体を冷やしたり、胃酸が薄まり免疫力の低下につながりますので注意が必要です。

お腹いっぱい食べるのは逆効果

次にお腹いっぱいに食べるのは、肥満や自律神経の不調につながります。また、血糖値が高くなると、糖尿病などの生活習慣病の危険も増加します。そのような状態になると免疫力が十分に働かず、免疫力が低下してしまうのです。

噛めば噛むほど免疫力は上がる

免疫力の面で見ると、早食いにはいいことが全くなく、デメリットしかありません。食べ物をよく噛まずに食べると、肥満や糖尿病になる危険が増して、免疫力は低下していくからです。

噛むことによって唾液が分泌されますが、その成分であるベルオキシダーゼは、発がん性物質を抑制する効果があり、抗酸化物質でもあるのです。免疫力を上げ、老化も遅らせるなど、いいことずくめです。

腸内細菌=免疫力

体内にある免疫細胞のじつに70%が腸内の粘膜に存在し、体全体の免疫機能を支えているのです。そして、その免疫細胞を活性化させるのが、腸内細菌です。

腸内を理想的な環境に保つには、なんといっても食べ物が重要です。野菜や海藻類などの食物繊維、ぬか漬けやヨーグルト、納豆などの発酵食品を積極的にとることで、腸内細菌をサポートし免疫力アップの強い味方となります。

生姜は最強に免疫力が上がる

生姜は医療用漢方の7割以上に使用されています。生姜は皮をむかず、そのまま食べるようにしてください。有効成分であるジンゲロールは皮付近に多く含まれるため、そこを取り除いてしまうのはもったいないのです。

生姜はおろしたあと3分以内に食べると有効成分が減る可能性が少なくなります。

また、生姜は過熱して乾燥させると、ショウガオールが約10倍に増えて、より体を温めることができます。

生姜を薄く切り80℃のオーブンで1時間加熱後、取り出したものを天日干しで1日乾燥させるだけで出来上がります。

できあがったものを、包丁で細かく刻んだり、ミキサーで粉砕してから、料理や飲み物に活用するといいでしょう。

病原菌に打ち勝つファイトケミカル

ファイトケミカルとは、植物に含まれる天然機能性成分のことです。代表的な成分としては、チョコレートや緑茶に含まれる「ポリフェノール」、ニンニクやブロッコリーに含まれる「硫黄化合物」、しいたけや海藻に含まれる「糖関連物質」、にんじんやほうれん草に含まれる「カロテノイド」などが免疫細胞を刺激活性化させて、免疫力をアップします。

がん予防になるデザイナーフーズ・ピラミッド

デザイナーフーズ・ピラミッド
デザイナーフーズ・ピラミッド

アメリカで野菜や果物を中心とした食事は、がんの予防に効果があるらしいという報告がなされました。1990年にアメリカ国立がん研究所では、がんを予防する効果のある食品として「デザイナーフーズ・ピラミッド」を発表しました。

上段にある食材ほどがんを予防する効果が高いとされ、一番上には、ニンニクがあげられています。ニンニクは強力な抗酸化作用をもち、活性酸素を除去する働きがあるので、積極的に取り入れたい野菜です。

辛い・酸っぱい・苦いをとる

刺激のある食べ物イラスト

刺激物は体にとって良いデトックス効果をもたらします。これは「嫌なもの反射」によるものです。この嫌なもの反射が起こると、自律神経の副交感神経が優位になり、体がリラックスしてきます。そして体温が上がり免疫力もアップするという仕組みです。

アルコールが免疫力を下げる理由

お酒に含まれるアルコールは有害なので、体は尿の量を増やして排出しようとします。この時副交感神経が働くため、心身がリラックスして免疫力が上がります。

しかし、お酒を飲んで免疫力が上がるのは、飲み始めて1~2時間の間です。それを超えても飲み続けていると、今度は交感神経が刺激され、緊張状態が続いて、逆に免疫力が落ちてしまいます。

糖質カットで免疫力アップ

最近は、健康のために糖質制限をしている人も多いでしょう。糖尿病などの生活習慣病があると、免疫機能が十分働かず、免疫力が低下します。それを防ぐためには、食事の際に糖質をカットすることを考えましょう。

ご飯やめん類、パンなどは、糖質が多いので食べ過ぎには注意してください。

糖質を摂る量が増え、血糖値が高くなると、免疫細胞の働きが低下します。そして、高血糖状態が続くと感染症にかかりやすくなります。

免疫力アップのオススメ食材

・ヨーグルト…胃酸の影響を抑えるために食後にとる。
・ぬか漬け…ぬか漬けは洗いすぎない。
・ニンニクはとにかく刻め…細かく刻んだり、すりおろすと、アリシンが増えます。
・ブロッコリーは茎まで食べる…スルフォラファンは解毒作用や抗がん作用があります。
・キャベツは生より酢漬け…ザワークラウトで乳酸菌発酵。
・にんじんは皮ごと食べる…βカロテンもアントシアニンも皮の近くに多くあります。
・完熟トマトとオイルは最強コンビ…リコピンは油と一緒にとると吸収が良くなる。
・玉ねぎは刻んで15分放置…アリシンは切って15分置くと壊れにくくなる。
・ピーマンはいろいろな色のものを食べる…赤・黄・緑などいろいろ食べるとよい。
・ごぼうのアク抜きはほどほどに…栄養が流れないようにする。
・レンコンは毎日食べる…花粉症をやわらげる作用がある。
・肉は偏って食べてはダメ…牛・豚・鶏それぞれの栄養が違う。
・牡蠣を食べるならレモン汁で…レモンやすだち亜鉛の吸収を良くします。
・卵は最低1日1個はとる…卵は栄養豊富な万能食品です。
・バナナは青いものでも熟したものでもよい…青いものは難消化性デンプンという食物繊維がが豊富で、熟したものは白血球を増やし免疫力を高める。
・ミカンは皮も役に立つ…みかんの皮に多くの栄養素が含まれるので皮を乾燥させて陳皮(ちんぴ)にするとよい。
・ドライフルーツ…砂糖不使用のものを。
・緑茶…熱いお茶は、エピガロカテキンガレートというカテキンが多く抽出され、アレルギー症状を和らげます。冷たいお茶はエピガロカテキンが多く抽出され、マクロファージを活性化させ病原菌などへの抵抗性を高めます。
・お酢…カルシウムの吸収を高めたり、腸内環境を整える。
・アーモンド…ビタミンEや食物繊維、ファイトケミカルが豊富

生活習慣で免疫力を上げる

運動や生活習慣、心の持ち方で免疫力がアップします。以下にその具体的な方法をご説明いたします。

運動

ラジオ体操、ウォーキング、軽い筋トレなどは非常に良い運動です。階段を使ったり、踵の上げ下げやその場足踏みなども隙間時間に取り入れるとよいです。

1日に6時間以上座って過ごす人は、3時間未満の人に比べて約20%も死亡リスクが高いという報告もあります。

掃除で免疫アップ

雑巾がけも立派な運動

雑巾やモップを使った床掃除は、全身の筋肉を使うため健康にもよいのです。

雑巾がけの運動強度

特に雑巾がけは、全身を使った有酸素運動で、その運動強度はウォーキングよりはるかに高く、カヌーを漕ぐのと同程度といわれています。

入浴で免疫アップ

40℃のお湯に10分程度の全身浴を心がけましょう。体温が1℃上がり免疫力もアップします。

また、しっかり温まることで、緊張してこり固まった筋肉もほぐれ、適度な水圧と毛細血管の拡張効果で血流も改善します。

私も臨床の現場で感じることは、腰痛肩こりの患者さんで、毎日お風呂に入っている人と、シャワーだけの人を比べると、筋肉のコリが全然違うということがわかりました。シャワーだけの人は、コリが酷く体の歪みも強いのです。

この様にお風呂は、体のコリやゆがみも治してくれるのです。

睡眠で免疫アップ

「早寝早起き医者知らず」といいますが、毎日7時間くらいの睡眠をとるように心がけましょう。

睡眠中に分泌される成長ホルモンは、傷んだ細胞を修復したり、免疫機能を調整する作用もあるのです。

体をメンテナンスする「成長ホルモン」や抗酸化作用で老化を防ぐ「メラトニン」は、「ノンレム睡眠」中にとくに活発に分泌されるため、睡眠時間が少ないとこれらの分泌量も少なくなってしまうのです。

つまり、慢性的な睡眠不足は体の酸化(=老化)が進みやすく、免疫力も低下した状態で、病気に罹りやすくなったり、寿命が短くなったりするのです。

泣くだけで免疫アップ

「涙活:るいかつ」という言葉をご存知でしょうか?「就活」や「婚活」と同じく略語で、能動的に涙を流すことで、気分をスッキリさせ、ストレスを解消する活動のことを言います。

「涙活」は溜め込んだストレスを発散するため、感動的な話や泣ける話などを鑑賞し、思いっきり泣くことで、感情を解き放ち、心をデトックスしようというものです。

涙を流した後には「幸せホルモン」と呼ばれるβエンドルフィンが増加し、これがストレスを和らげ、免疫力も高めてくれるのです。

「ちょっと心が疲れたな…」と感じたときには、タオルを片手に泣ける映画を観るのもいいのです。ぜひ活用してみてください!

大声で笑えば免疫アップ

毎日ニコニコしている人の方が、病気に罹りにくく、寿命も長いとの報告もあります。

笑いには次のような効果があります。

1.幸せホルモンを分泌…笑顔がドーパミンやβエンドルフィンといった脳内物質の分泌を促すことが知られています。これによって、多幸感が得られ、ストレスを緩和します。
2.自律神経を整える…笑顔が副交感神経の働きを優位にし、自律神経のバランスを整えてくれる。
3.免疫細胞を活性化…笑うことで体内に侵入した異常な細胞やウイルスを攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化し、がんの発生を抑えたり、免疫力を向上させます。

まとめ

人間は、自分一人で生きているのではありません。皮膚や粘膜に住んでいる常在菌によって守られたり、白血球のような免疫細胞によって、細菌やウイルスなどから守られています。

免疫力を高めるとは、これらの常在菌や白血球が働きやすい環境をつくることです。食べ物を選ぶ時も、腸内細菌が喜ぶものを選ぶといいのです。

腸内細菌にも善玉菌と悪玉菌などがいるように、ウイルスにも人間と共生しているものもいるようなのです。そしてそれらのウイルスが、人間の進化にもかかわっているというのです。

「細菌=悪」、「ウイルス=悪」と決めつけたり、むやみに恐れるのではなく、それもすべて大自然の悠久の営みの一つだと考えるのが妥当ではないでしょうか。

細菌やウイルスによって病気にもなれば、細菌やウイルスによって生かされているともいえるのです。

ウイルスは常に変化していますので、一つのウイルスを撲滅したとしても、また別の新興ウイルスが発生してきます。そんな中で健康に生きていくためには、まず自分を守り、助けてくれる常在菌と白血球を元気にする生活を実践することだと思います。

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肩こり・腰痛・坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・ぎっくり腰・めまい・頭痛・脊柱管狭窄症・自律神経失調症・五十肩・膝の痛み、股関節の痛み等、様々な症状の根本原因を施術する整体治療院 。あん摩・マッサージ・指圧師の国家資格取得者「札幌 キネシオロジーの谷井治療室」です。

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