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耳の短いウサギ その2 [耳の短いウサギシリーズ]

ある山に一匹だけ耳の短いウサギがいました。
本当はウサギは鳥のように1羽2羽と数えます。
耳の短いウサギは、たまにはどこか遠くへ冒険をしてみようと考え、旅の準備をしました。
野菜をいっぱい詰めて、おなかをこわしたときのための薬草を詰めて、迷子にならないように小さなお花を穴の空いた葉っぱに詰めて。
「よし、準備オッケー。さあ、出かけるぞ」
耳の短いウサギは、元気よく旅に出発しました。
しばらく行くと、小さな村に着きました。村には小さな小学校がありました。
「小学生なら、ボクをかわいがってくれるにちがいない」
耳の短いウサギは、ぴょんぴょんと校庭の中に入っていきました。
校庭では、1年生たちが体操をしていました。
耳の短いウサギは、すぐ近くまでぴょんぴょんと近づきました。
でも、ここは山の中の小学校です。誰も動物なんて珍しがってくれません。
くやしくなった耳の短いウサギは、1年生の真ん中に入っていって、自分をアピールしました。ひとりの男の子がやっと見てくれて、「あれ ?ウサギかと思ったら、こいつウサギじゃないよ」と言いました。
「本当だ。耳が長くないよ」「大きなネズミかな ?」「カピバラだよ」
やっと、みんなの注目を浴びて、耳の短いウサギはうれしくなりましたが、ウサギだとわかってくれないので怒ってしまいました。
そこで、自慢の歌を歌いました。
「♪ウサギは1匹じゃないよ1羽だよ。オオカミから逃げるときは飛んじゃうよ♪」
「うわ、カピバラが歌ってる !」「カピバラなのにウサギの歌を歌ってる」「ウサギじゃないから飛べないくせに」1年生たちは好きなように言いました。
それを聞いた耳の短いウサギは、もう、かんかんに怒っちゃって、「ボクはウサギだから飛べるんだよ !」と言いながら、必死に短い耳をのばしました。
すると、体がふわっと浮かび上がり、校庭の中をくるくると飛び回りました。
1年生たちはびっくり。みんな大喜びです。
「すごい、飛んでる !」「カピバラじゃなくて、ウサギだったんだ !」「かっこいい !」「かわいい !」
1年生たちにやっとウサギだとわかってもらえて、大喜びもされたので、耳の短いウサギはすっかりご機嫌になり、さかさまに飛んだり、1年生たちの頭の上に着陸したりして1年生たちを喜ばせました。
「やっとウサギのすごさがわかってもらえた !」
耳の短いウサギがそう思ったとき、先生がきっぱりと言いました。
「あれは、空を飛んでいるので、ウサギではありません ! 」
耳の短いウサギはがっかりして山に帰っていきました。
じゃ、おやすみ。


2021-09-21 21:17  nice!(0)  コメント(0) 
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