071-願い。

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今年もあと残すところ、2週間あまりとなってしまった。

このブログのことはいつも頭の隅にあった。
いただいたコメントにお返事出来ないことも、ずっとずっと気掛かりだった。
やらなくてはならない宿題を、毎日先延ばしにしてる後ろめたさ。
本当にごめんなさい。

今年のうちに、短くてもいいから、なにか書かないと。
そう思って。

夏からいろいろなことがあった。
一番は、夫が精巣腫瘍という病気とわかり、手術をしたこと。
ひらたくいうと、睾丸の癌。
ダチョウの卵くらいに肥大し、歩くのにも支障をきたすようになってしまったフクロの部分を、半分とった。
幸い、大事には至らなかったし、経過も良好だ。

だけど。
だけど。
私は今回のことで、夫という人間に対する気持ちが変わった。

一緒に買い物に行った帰り道、歩きながら
「俺、癌なんだ」
とサラっと言われたときは、一瞬わけがわからなかった。
「ちょっと待ってよ」
って感じ。

病院に行ってたのは知ってたけど、腰痛で整形外科にかかってるとばかり思っていた。
本人いわく、いよいよ歩くのに邪魔だから、検査してもらった、らしい。
で、陽性。
「いつから?」
当然聞く。
「ん~と、3,4年前からかな」
こともなげに言う。

なんだろう。
怒り。
それしか言えない。

四半世紀、夫を見てきた私にはよくわかる。
この人は面倒だっただけ。
病院に行ったり、検査をしたり。
それが億劫で、今までほったらかしにしてただけ。
万事にそういうところがある人。

だけど、悪性で治療に時間やお金がかかったり。
最悪の場合、家族を残して死ぬかもしれない。
そんなことは考えなかったのかな?

8月の上旬に慌ただしく入院し、翌日に手術をした。
取り除かれた腫瘍は大きくて、縦10cm、横15cmくらいのレバーみたいだった。
内股の両側は、長い間こすれていたせいで黒ずんでて。
「奥さんに聞こうと思ってたんですけど、これ前からですか?」
執刀してくれた先生が悪げなく聞く。

知らないんです。
こんなになってるのを知ってたら、もっと早くに病院来てました。
20年近くもロクに見てないし、触ってもないから。
夫婦なんだけど、私は夫の身体を知らないんです。
こう言いたかったけど、苦笑いして適当に返す。

考えた。
たくさん。
もしも、セックスのある夫婦なら、もっともっと早くに気づいたろうな。
セックスはなくても、せめて一緒にお風呂入ったり、一緒に寝たりしてたら。
でも、どれもこれも、長い間願ってもかなわなかったことばかりだ。

夫が入院した日の夜。
私はユウヤ君に会った。
ユウヤ君は今日はやめようかと言ってくれたけど、
二人で休みを合わせた日だったし、どうしても会いたかった。
行きつけの居酒屋で飲んで、ホテルに行った。

翌日、夫が手術している一時間ほどの間も、一緒に昼食をとった。
病院を出てからメールをやり取りして、ユウヤ君の車に乗った。
「重いものとか買いなよ」

母親が車を持っていったので、今、我が家には車がない。
重たいものとか、ちょっとずつしか買えないんだよね。
そうこぼしてたことを覚えていてくれる。
スーパーに行って、ペットボトルや洗剤の詰め替えを買い込んだ。

その夜。
長かった一日を振り返って、私が思い出したのはユウヤ君の笑顔だった。
家の前まで送りとどけてくれて。
バイバイ、って手を振ろうとしたけど、両手に下げたスーパーの袋が重くて。
そんな私を見ながら、可笑しそうに笑って車を出した、彼の笑顔だった。
手術を終え、点滴をし、酸素マスクをし、カテーテルをつけて、病室に戻ってきた夫の姿ではなく。

あぁ、私の気持ちはこうなんだなぁ。
私の気持ちはこんなふうになってしまったんだなぁ。
そう思った。

世界で一番好きな男はユウヤになっちゃったんだな。

24歳で出会ったときから、私は夫が大好きだった。
指一本触れてもらえなくても、夫の眼差しは、いつも冬の日差しみたいにあったかかった。
「遠赤外線みたい人だから」
笑って友達にも言っていた。
夫が出かけるときは、角曲がって姿が見えなくなるまで、手を振ってた。

セックスがないだけで、夫が私を大切に思ってくれるのは、他ならぬ私が一番良くわかってた。
優しい夫。
素直な娘。
私は幸せだと思っていた。
有り難いな。
そう思ってた。

でも、壊れちゃった。
過呼吸になって。
雄叫びあげて、殴り掛かって。

そして今、私はこう思ってる。
ユウヤのそばで死にたいな。

いつの頃からだろう。
夫の親がたてたお墓には入りたくないな、と思いはじめたのは。
ここから遠く離れた、実質2年足らずしか暮らさなかった場所。

毎日、お年寄りと接して、死にも身近になっているからかもしれない。
この前も、夜勤中に誰よりも元気だったおばあさんが、心筋梗塞で亡くなった。
なんの兆候もなかったのに。
AED使って、必死に心臓マッサージしたけど、命が尽きていくのを止められなかった。

人はいつか死ぬ。
死なない人間はいない。
そんな当たり前のことだけど、以前より、いっそう考えるようになった。

かなわない夢だけど。
死ぬときに、ユウヤがそばにいてくれたらいいな。
ユウヤが手を握っていてくれて、
「来世、またね」
笑ってそう言って死ねたらいいな。

日々の忙しさにかまけて、なかなか実行していないけど、
来年はエンディングノートを書こう。
多分、法律上はダメだけど。
遺骨は、いつもユウヤ君と待ち合わせしてた、ファッションビルの前にある、大きな木の下に撒いてほしいな。

サカリのついたワンコみたいな人だなぁ。
何度か書いたけど、最初の頃のユウヤ君はそんな存在だった。
けど、出会って3年目に入って。
何度も何度も会って、たくさんたくさん話して。
いっぱいいっぱい抱き合って。
私は彼のすべてが好きだ。

以前にも書いたかもしれないけど、
「出会ったその日に身体を重ねることもあり」
「信頼や心の結びつきは、二人に限っては後からついてきそうです」
って占いに書いてあって。
今さらながら、当たってるなぁ、としみじみ納得している。

たいがい酔っ払ってる二人だから、詳しくは思い出せないんだけど、
いつだったか、私が切り出した話に、ユウヤ君が応えてくれて。
「あぁ、そうなんだよ」
「私も本当にそう思うんだよ」と、ものすごく強い共感を覚えたことがあった。
内容は忘れちゃったけど。
あとあとになっても、そのとき強く共鳴しあったことが残ってた。
「そうなんだよ」
「私も本当にそう思うんだよ」
抽出されたみたいに、その気持ちだけが残って。
なにかの話をしていて、こんなにも他人と共鳴しあえたのが嬉しかったのか、何日も私の中にあった。
うまく言い表せないけど、ユウヤ君と話していると、
「そうそう」
「わかるわかる」
「私もそう思う」
いつもそんな気持ちになる。

急な雨が降り出した夕方。
折りたたみ傘買っただけなのに、嬉しそうにレジの前でひろげちゃう子供みたいなユウヤ。
二人で出かけた帰りの電車。
疲れたから座って爆睡する、って言ってたのに、
赤ちゃん抱いたお母さんが乗ってきたら、黙って席を譲るユウヤ。

ぶっきらぼう、俺様、意地悪、言葉足らず、いろんなこと知らない、格好つけ、お調子者、エロい。
でも、素直。
人間がまっすぐ。

大好き。

2年あまりの間に、ゆうに100回以上は会ったけど、
月に一回しか会えないときがあったなんて、今じゃありえない。
会ったばっかりなのに、またすぐに会いたくなる。

だけど、めちゃくちゃ矛盾しているかもしれないけど、
私は、家族のために一生懸命に働いてる彼が好き。
お子さんたちのことを、愛おしそうに語る彼を見てるのが好き。
そして、多分ユウヤ君も、家族のために家事をこなしたり、娘と仲良しな私のことが好きなんだと思う。

お互いに、結婚して21年。
連れ合いに対する不満はいろいろあるけど、
嫌いじゃないんだよ、って気持ちは共通してる。

夫に対する気持ちも、例えば、寒くなってきたから、ユニクロでヒートテックの下着買ってこなきゃ、とか。
今週はしんどそうだったから、奮発して焼肉にしてあげよ、とか。
そんな感じ。
多分、ユウヤ君も連れ合いに対して、そんな気持ちじゃないかと思う。

なんかまとまらないけど。
すべてを捨てて一緒なりたいとか、そんな切羽詰まる感じではなく。
ただ、この先も、なるべく長く一緒にいられたらいいな、と思ってる。
それぞれの子供が巣立っていったあと、また二人の関わり方が変わってゆくかもしれないけど。

ただ今は、ユウヤ君は世界で一番大好きな男。
私が出会えた最高の男。

ユウヤと過ごすひとときが、私の活力源になる。
ユウヤがくれる言葉が、私を元気にして、また明日もがんばろうと思わせてくれる。
今はそれでいい。

未来はわからないからいい。

2013年、今年の漢字はあれこれ考えて「展」。
母親が出ていき、娘の彼氏が加わったことで、家族の形も新たな展開をみせ。
夫の手術を機に、私の気持ちも思いがけず一気に進展し。
仕事はまもなく2年になり、悩みながら自分なりにひとつずつ乗り越えて、
最近は、少し先のことを展望できるようになった。

限りある人生を大切に生きよう。
毎日、毎日を愛おしもう。

縁あって、このブログを読んで下さる皆様。
どうか、来年も笑顔に満ちた一年でありますように。
家族や友人や好きな人と、いっぱい笑いあえる一年でありますように。
心から祈っています。

よいお年を。

カテゴリー: diary | 18件のコメント

070-猛暑。

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猛暑襲来。
そんな恐ろしげな言葉が飛び交う、この夏。
皆さんはお変わりないでしょうか?

もともと更新の遅いブログなのに、この二ヶ月あまり、パッタリで。
ごめんなさい。
とりあえず、生きてるし、働いてるし、恋にもうつつをぬかしてる(笑)
けど毎日、ただただ疲れきって寝てるのが、今のワタシ。

介護の仕事を始めて、そろそろ一年半。
夏の暑さとともに、今まで蓄積されたものが、一気に表面化してきて。
まず、腰が痛くて起きられなくなり。
しばらく、ゆっくりと身体を動かしながら、様子をみてやっと起き。
動きはじめると、だんだんに良くなるんだけど、それまでは、下に落ちたモノを拾うのにも、四苦八苦。
疲れが溜まってくると、めまいがして、頭がぐるぐるして、この前は、職場に行ったものの、早退してしまって。

そんなこんなで、ブログを書かなきゃ、お返事もしなきゃ、と思いながらも、
あいた時間があると、とりあえず身体を横たえて、体力温存。

加えて、私はこのブログを、ガラ系携帯を使って、左の親指で書いているんだけど、
日々、車椅子のグリップを握って動かしてるツケが、今頃出てきて、
左右の指の付け根が、筋肉痛なのか痛くて仕方ない。
最近は、いつも鍼を差しっぱなし。

なんか、言い訳並べるみたいで、すみません。
けど、休みの日は溜まった家事したり、ユウヤ君にあったりで、あっという間。

疲労回復、滋養強壮、腰痛改善。
ネットでも、そんな言葉が、ただただ私を引き付けてやまない。
ちなみに最近買ったもの。
・自分で直せる腰痛改善マニュアル
・ホントのツボがちゃんと押せる本
・宮古島癒しの波音CDブック
・腰の痛みにビタトレールEXP
・南米ペルーの秘宝生マカ原木
・健康に鍼パイオネックス
・腰痛に効く抱きまくら
いずれもオススメですが(^。^;)

書き出してみると、なんか笑える。
身体はって稼いだお金を、まんまメンテナンス費用に費やしてるなんてね。
さらに休みの日は、整体に行き悲鳴をあげ。
岩盤浴に行き、ほげ~っと身体を弛緩させ。
とにかく、そんなこんなしながら、まぁなんとかやってる、と言うか。

でも、コメントを下さった方に、すぐに返事ができなくて、ごめんなさい。
時間かかっても、絶対に書くんで、気長に待っていていただけますでしょうか。
それぞれのコメントに、考えさせられて。
文章から、痛みがジンジンと伝わってきて。
だから、お返事は絶対にします。
待っていてください。

でも、正直、この夏を越せるのか、不安になることもたびたび。
体重はもっか、なんとか下がり止まって37Kgと、成人してからの最低記録。
ほんの4年前は、確か44Kgはあったのに。
お腹を気にして、ジム通いしていたのに。
7Kgは、いったいいつの間に消えてしまったんだろう。
食べても食べても、カロリーが消費されていく。

こんなんじゃ、施設のお年寄りより先に逝くんじゃないかと、毎日思う。
同僚も、みんな同じ気持ち。
夜勤明けに、トドメのゴミ捨てを終え、喫煙所で20代の男の子がこぼす。
「…夜勤、キツいっす」
だよね。
いわんや50代のおばちゃんは、マジ、キツいっす。

でも、毎日のように思うのは、ユウヤ君の存在の有り難さ。
以前も書いたけど、しんどい仕事も、次の楽しみがあればこそ、乗り切れる。
お互いに、なんとか時間を捻出して、わずかでも会おうとする気持ちが、
多分、今の私を支えているんだと思う。

ユウヤ君の昼勤務と私の遅番勤務は、ともに20:30に終わる。
予定していなかったけど、メールが届く。
「今日はなんだか、飲みたい気分」
そう言われたら、エンジンがかかる。
飛んで帰って、20分でシャワー、着替え、化粧。
待ち合わせ場所にむかいながら、もう頭の中はユウヤ君のことしかない。
骨折したおじいちゃんや、血尿の出たおばあちゃんのことを、キレイさっぱり忘れる。
看護師でも、理学療法士でもない私が出来ることは、
しっかり食べさせて、キレイに排泄の始末をしてあげることだけ。
話し相手になることだけ。
仕事中は、それに打ち込む。
でも、施設を一歩出たら、私は私の時間をひたすら楽しむ。

「生、ふたつ!」

冷たいビールに舌鼓を打って。
お疲れさま、とお互いを労って。
メニュー見ながら、あれやこれやと言いながら、ツマミを選んで。
今、この瞬間の幸せをただただ慈しみながら、私は笑顔が止まらない。

この前は、休みがあった日に鰻食べに行きたいね、と話をしていた。
「明日はどうする?」
「ちょっと、微妙。明日またメールする」
で、当日、洗濯したり、お風呂洗ってるさなかに、いきなりのメール。
「おまえんちに向かってるから、あと15分くらいで着くよ」
ひょえ!

だけど、老舗の鰻屋さんの座敷で、のんびり向かい合って、
「やっぱり、特上鰻重?」
「だね。行っちゃお!」
久しぶりにお店で食べる鰻は、ただただ美味しくて、二人とも満腹感で表情が緩む。
「美味しかった~」
「美味しかったね~」

仕事はしんどい。
でも、仕事してるからこそ、ビールの味も格別だし。
毎日会えるわけじゃないから、ユウヤ君と過ごす時間も格別だし。
大事にしたいし。

多分、この夏も、サプリやら整体やらのお世話になりながら、せっせとユウヤ君に会って。
どんな滋養強壮剤やアロマにも負けない、元気と癒しをもらって。
そうやって乗り切ってゆくんだろうな。
あと少しで、出会って丸2年。

ユウヤ君は、ますます掛け替えのない存在になっている。

カテゴリー: diary | 24件のコメント

069-以心伝心。

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気持ちのいい季節になって、洗濯大好きな私は、
休みの日と好天が重なるだけで、やたらに嬉しくなる。
今日は大物を洗おう。
ついでに、家族みんなの布団も干そう。
朝から張り切って働く。

母親がいなくなって、そろそろ三ヶ月。
すっかり私仕様になった台所で、料理をするのがやたらに楽しい。
糠つきでタケノコをいただいて、自分で茹でてみたり。
ネットのレシピを見ながら、新しい料理にチャレンジしてみたり。
そして、夫や娘に「美味しい」と言ってもらえるのが嬉しい。
まぁ、最近の私はそんな感じ。

でも、ユウヤ君のことを思わない日はないんだな。
ていうか、だいたい朝目が覚めると、
「今日のユウヤは何だっけ?」
と考えている。
カレンダーにひそかに書かれている、私だけがわかる印。
それを確認しながら、
「そろそろ会社に着く頃かぁ」
「今日は休みだし、きっとまだ寝てるんだろうなぁ」
などと、思いをめぐらす。

だいたい月に3,4度のペースで会っていたけど、
先月末からは、お互いにタイミングがあわなくて、なかなか会えない日が続いた。
「どのくらい会ってないかな?」
ユウヤ君から、そんなメールが来ると、キュンとする。
指を折って数える。
「もう10日会ってないよ」
「そっか、長いね」
俺様なくせに、ときおり素直な本音をはく。

私達はほとんど毎日、欠かさずメールで話しているけど、私が一番好きなのは、
「何してるの?」
と、不意に届くメール。
お互いの仕事のシフトはわかっているから、
私の休みの日の午前中とかに、予期せず届くメール。

別段、たいしたことはしていないから、たいていは、
「天気いいから、張り切って洗濯!」
「これから、スーパーに買い物!」
みたいな返事だけど。
だけど、ユウヤ君が私を思い出して、
「今、アイツ何してんのかな?」
そう思ってくれることが、一番嬉しいんだと思う。

会えない時間が愛育てるのさ。
なんて、昔の郷ひろみの歌にあったな~。
お互いが仕事入る前の、いってらっしゃいメール。
そろそろ仕事終える頃の、お疲れ様メール。
一緒に過ごせはしないけど、お互いを思う気持ちを、毎日紡いでいる気がする。

なんてね。
カッコイイこと言ってるけど、当然そんな日ばかりじゃあない。
二週間くらいまえだったかな。
休みの日のユウヤ君に、軽い気持ちで、
「今日は何してるの?」
とメールしたら、
「今、家族で〇〇に!」
と、すばやく返事が返ってきた。

そこは、ユウヤ君のお気に入りのアウトレットで、いつか一緒に行こう、
と何度か話に出ていた場所。
でも、一日がかりの遠出になるし、話だけでまだ叶ってはいなかった。
私は二人で行けるのを、ずっと楽しみにしてたのにな。
そっかぁ。
家族で出かけたのかぁ。

まぁ、私がとやかく言える筋合いじゃないけどね。
だけど、いつも文末に使われてる「!」さえ、やたらと楽しげに感じられて、
なんだか憎らしくなってきた。
ユウヤ君の短いメールには、いつもついてる「!」なんだけど。
「…」とか「。」なら、またニュアンスも違うのに。

私は「嫉妬」なんて極力したくない、と思ってる。
だけど、そのときの気持ちは、間違いなく「嫉妬」。
もう、〇〇には行かなくてもいい。
絶対に行かない。
行くもんか。
ベッドの上でぐたぐたしながら、そんなことばかり。
「そう。楽しんできてね」
「もう、私とは行かなくても大丈夫だね」
嫌みを込めてメールする。
さらに我慢できなくてもう一通。
「聞かなきゃよかった」
「なんかへこむ」
送ったあとで、強烈に自己嫌悪。
「さっきのはなかったことに」
「まぁ、あれだ、ヤキモチだ」
…ユウヤ君から返事が来ない。

私、馬鹿みたい。
何やっちゃってるんだろ。
ユウヤ君が家族でどこに出かけようが、私がつべこべ言う資格なんてないし。
楽しんでるとこに、水さすような真似して。

でも。
私達は、お互いに連れ合いと子供がいて、関係はフィフティフィフティ。
なんて、いつもはキレイごとばっかり言ってるけど、
そんなふうに自分に言い聞かせてるだけなのかもね。
たった一行の短いメールが、こんなにも気持ちを揺らすんだな。
なんか辛い。
付き合いやめよっかな。
いやいや、そんなの出来っこない。
返事が返ってこないと、頭の中は堂々巡り。
負のサイクルにはまって、身動き出来なくなる。
愚かだなぁ、ワタシ。

けど、ユウヤ君も馬鹿正直すぎる。
どうせわかりっこないんだから、適当なこと言ってくれたらよかったのに。
けど、そんな嘘つかないところが、彼らしさなんだけど。
そこが好きなんだけど。

二時間あまりたった頃。
多分、車で家に帰りついただろう時間。
ユウヤ君から一行メールが来た。
「馬鹿者(笑)!」
ハイ、おっしゃる通りです。
私は、馬鹿者ですよね。
でも、その一通で気持ちが晴れる。
途端に元気が出る。

そんなことがあった、ユウヤ君の次の休み。
日曜だし、今日はメール我慢しよ。
ORANGE RANGEの「以心伝信」を聞きながら、ユウヤ君のことを考えてた。
《僕らはいつも以心伝心》
《離れてたってわかる気持ち》
《恋はいつも七転び八起き》
まったくだ。
一人でしみじみと納得しているところに、ユウヤ君からのメール。
「何してるの?」

嬉しくって、声を出して笑ってしまう。
まったくだ。
以心伝心。
七転び八起きだね。

カテゴリー: diary | 25件のコメント

068-誕生日。

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春になった。
52歳になった。

誕生日は、前々からユウヤ君と過ごすつもりで休みの希望を出しておいたのに、
シフトを見たらまさかの夜勤!
で、大騒ぎしてやっとこさ変更してもらったにもかかわらず、朝から冷たい雨。
我ながら、ちょっと笑った。

でも、しあわせなしあわせな一日だった。

本当は、散りかけの桜を見に行く予定だった。
開花の早かった今年。
いつになく桜に咲き続けていてほしいと願っていた。
毎日、職場にむかう道すがら、また残るつぼみを確かめていた。
誕生日には桜が咲いていてほしいな。
私の勝手なわがままでしかないんだけど。
桜の咲く季節に生まれた私の、ささやかな願いみたいな。
だんだんに、来年見られるかどうかわからない歳になってくると、そんな思いもひとしお強い。

結局、雨を気にせず過ごせるショッピングセンターに出かけ。
電車の窓から、雨に煙る桜を眺めた。
来年は桜の下を二人で歩けたらいいな、なんて思いながら。

広大な敷地を歩き回って、
今はお部屋作り命の私は、
安くてお洒落なラグやクッションカバーを買い、
ユウヤ君はゴアテックスのスニーカーを買い、
最寄駅に帰りついたところで、彼は地下のお店に案内してくれた。
「ここ、レバ刺食えるんだ」

待ち合わせに向かう途中、私達はいつも何度もやり取りする。
「何食べる?」
ユウヤ君は必ず聞いてくる。
毎回、かなり真剣に考えている私。

いつだったかは、ユウヤ君を待ちながらATMに並んでいたとき。
駅のそば屋のメニュー見ながら、
「ざるそばと、カツ丼のセットかぁ」
「そう言えば、しばらくカツ丼食べてないなぁ」
などと愚にもつかない思いを巡らせていたら、やってきたユウヤ君がいきなり言う。
「今日さ、ラーメンとカツ丼ならどっち?」
以心伝心だなぁ。

待ち合わせて歩きながら、いつもまずは食べることの話をしているかも。
圧倒的に多いのは、二人とも好きなラーメンだけど、
時には寿司、焼肉、蕎麦、鰻だったり。
ああでもない、こうでもない、と言い合いながらネット検索するのが、
二人で過ごす時間のプロローグ。

いつだったか、レバ刺の話を書いたけど、本当に死ぬほど好きだった。
墓前にはビールとレバ刺を供えてほしい、と思うくらい。
ユウヤ君も大好物で、前々から食べられなくなったことを嘆きあっていた。

「いつか、お前連れて来たいと思っててさ」
「サラリーマンが仕事上がりに一杯ひっかけるようなトコだけど」
「でも、すごく旨い」

一皿500円もしない豚のレバーは、舌の上でトロリと甘くてやられた。
久しぶりなのもあるし、何よりユウヤ君の気持ちが味を倍増させる。
「どうよ?」
「とろける!」
ビール片手に箸を伸ばす私を、ユウヤ君は嬉しそうにみている。

「お前の誕生日、あれこれ考えて、ケーキ?とか思ってもみたけど」
いらん、いらん。
私は何より生モノとビールが好き。
「でも、やっぱコレだなぁ、と思ってさ」

私が嬉しかったのはユウヤ君の気持ち。
誕生日に会おうと決めてから、口には出さないけど、きっとあれこれ考えてくれたのだろう。
「レバ刺」なのが私達らしいけど、
小洒落た店を予約するようなユウヤ君なら、多分私は好きじゃないんだな。

それから、もう一軒居酒屋をハシゴして。
ふいにユウヤ君が言い出す。
「よし、カラオケ行こう」
カラオケかぁ。
確か一昨年の暮れ、彼の弟さんも交えて一度行ったけど。
ユウヤ君と二人で行ったことはなかったな。
頭の中で、ピンポーンが鳴る。
「行く!」

前回は、弟さんのほうが上手いなぁ、と思った記憶だけが残ってたけど(笑)、
改めて聞くと、ユウヤ君も甘くてすごくいい声をしてる。
「演歌歌手とかもアリだったね」
「中高年のファンとか、結構ついたかもね」
思わず口にして褒める。
「良く言われる」
俺様ユウヤ君は、顎があがる。

テレサテンやら、杏里やら、松田聖子やら。
昭和満載の懐かしい歌を、二人で思い切り気持ち良く歌う。
そして、そろそろ時間切れかな、という頃、
最後にユウヤ君が、男性ボーカルのラブソングを歌ってくれた。
曲名はさすがに恥ずかしくて書けない。

でも、狭くて小さな部屋いっぱいに、ユウヤ君の優しい歌声が響く。
有名な歌だし、今までだって何回も聴いたことがある。
けど、大好きな人が、目の前で私のためだけに歌ってくれる。
ちょっと恥ずかしげにだけど、私を見ながら。

黙って聴いていた。
ユウヤ君をじっと見つめながら。
涙が出てきた。
最高の誕生日プレゼントだ。
今まで生きてきて、一番の。

まぁ、ユウヤ君に改まってお礼を言っても、きっとこう言われるに違いない。
「別に~」
「歌いたかっただけだし」
あまのじゃくだからね。

だけど、大切な歌がまたひとつ増えた。
あれから私は、その歌をダウンロードして聴いている。
仕事にゆく道すがら。
エプロンをして洗い物をしながら。
幸せなひとときを反芻する。

誕生日をユウヤ君と過ごせて良かったな。
大袈裟でなく、今まで生きてきたなかで、一番幸せな誕生日だった。
別にブランド物や、宝石を貰ったわけじゃない。
だいたい私はそんなものに、ほとんど関心がないし。
大切なのは、気持ち。
私を喜ばそうという、ユウヤ君のまっすぐな気持ちが、ただただ嬉しかった。
この場を借りて、改めてありがとう。

ついこの前、一年たったと感慨深げにしてたのに、
気がつけばもうすぐ一年半。
二人があった回数は、50回近くになろうとしてる。
今月は都合4回。
だけど、仕事あがりの飲みだったり、この前は初のランチデートだったり。

「なんか私達、どんどん健全なカップルになってるね」
待ち合わせのやり取りしながら、私がつぶやく。
「最近のユウヤは、一緒に人生を楽しむパートナー、って感じ」
すかさず返事がくる。
「人生を楽しむのは最高ですよ!」
「sexだけが人生ではないのだ!」
「でも、好きだけど!(笑)」
笑って、すぐさま私も返信する。
「私も大好きだけどね(笑)」

セックスが大好き。
こんなことが言えるようになったんだな、私。
数年前なら考えられなかった。
有り得なかった。

時々、ホテルのエレベーターとかで、他のカップルと出くわすことがある。
歩きだして、どちらともなく言い出す。
「今の二人、俺達より結構上だよな」
「うん、60代くらいかなぁ」
「俺達も負けちゃらんねぇな」
「だね」
二人して、なんだか力強く誓い合う。

セックスに憧れて、
セックスに怯えて、
長い長い間、歪んだ気持ちしか持てなかった私。
でも、今は違う。
ユウヤ君というパートナーを得て、出来るだけ長くセックスをしていきたい。
そして、同じくらいに、食事をしたり、飲みに行ったり、買い物したり。
行ったことのない場所へも、二人で出掛けたい。

「おまえに出会って、俺、人生変わった」
この前、ユウヤ君がそう言ってくれた。
心底嬉しかった。
そして、その言葉はそっくりそのまま、私の気持ち。

どこにたどりつくか、私達はどうなってゆくのか、
以前はそんなことを良く考えたけど、
最近は、先のことは考えなくてもいい気がしてきている。
このまま、この付き合いが続いていって、
いつかは、たどりつくべき場所に自然に運ばれてゆくのだろう。
それは神様しか知らない。

ただ、今の私達は、お互いの背景を大事にしながら、気遣いながら、
ひとときをともに愉しむ、掛け替えのない、パートナー。

夫婦という形ではないけど、幸せなつながりを持てる相手。
こんなふうな付き合いがあってもいいんじゃないかな。
そう思っている。
時間を忘れて語り合ったり、くだらない冗談に笑いころげたり。
そして、時にはひたすら互いを求めあったり。

奇跡みたいに出会えたことに、感謝を忘れないで。
今はま限られた人生の中で、ただただ彼を愛おしもう。

カテゴリー: diary | 27件のコメント

067-春風。

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長らく書けなかったのは、かねてから折り合いのよくなかった母親が、
この家を出てゆくことになったのが、一番の要因。
父親の死後、からっぽになっていた家に、彼女は帰ることになった。

このブログを書くきっかけにもなった、
私が心身をおかしくした3年前の夏頃から、こうなる兆候はあったと思う。
今まで、はっきりと触れては来なかったけど、私は母親が好きではない。
もっと突っ込んでいえば、かなり嫌いな人間の部類に入る。
だけど、自分の母親を、はっきりと「嫌い」というのは結構勇気がいる。

この二ヶ月あまり、ブログも書いてはみた。
書きはじめると、感情があふれてきて止まらなくなり。
だけど、読み返すと愚痴ばかりで、自己嫌悪。
とてもアップする気にはなれないまま、放り出してた。

今まで、母親との関係を書いた本も、ずいぶんたくさん読んだ。
ネットで検索もして、同じ気持ちを持つ人を探してもみた。
それもこれも、心の奥底でなにか改善策があるのではないかと、期待してたから。
…だけど、やっぱり無理だった。

16年、私達親子プラス母親、そういう家族構成でやってきた。
きっかけは、子連れで実家に戻っていた私と、
定年退職した不仲な夫を捨てる決意をした母親が、
回りの助けで今の場所に住むことになったこと。
それから、自営の仕事をたたんだ夫が加わった。

最初は、移植手術みたいに拒絶反応が出たりもして、すったもんだして。
まぁ、長い間にはそれなりに形も整い。
けど、今にして思うと、娘の存在が皆を繋いでいた。
母親にとっては、たった一人の孫。

彼にはなんの非もないけど、
多分、娘の彼氏が最終的なきっかけになったんだと思う。

母親は、彼を気に入っていなかった。
いずれは一緒になるんだろうな。
私と夫は、そんな気持ちで二人を見守っていたけど、
母親はそんな流れに一人、否定的だった。
学歴やら肩書を他人に誇示したいタイプの人だから。
で、毎日のように、我が家にやってくる彼に対して、娘に直接もの申したらしい。

去年の秋頃も、出てゆくと大騒ぎする一悶着があった。
だけど、そのときは娘が止めた。
お母さんのことも、ばあばのことも、どっちも好き。
どうして仲良く出来ないの?
私は、ばあばにここにいてほしい。

生まれて初めての恋。
幸せで幸せで仕方ないみたいな顔をしてる二人。
今の娘にとっては、彼が世界のすべてなのにね。
ばあばの一言は、私達が思う以上に我が家に変化をもたらした。
彼は遠慮して来なくなり、娘はばあばを避けがちになった。

「私、ちょいと言ってやったから」
私を呼んで得意げに母親が言う。
「結婚もしてないのに、毎日居座って」
「あたしがはっきりと言ってやったから」

このセリフは彼女のオハコ。
無駄とはわかっていても、一応は言ってみる。
「でも、好きな人と毎日一緒にいたいのは当たり前じゃない?」
「特に付き合いはじめて、今が一番盛り上がってるし」

返ってくる言葉はわかってる。
「私にはそんなのわかんないよ」
吐き捨てるように言う。

加えて、もう潮時かな、と私が思ったのは、夫の言葉だった。
珍しく二人だけで夕飯をとっていたとき、
めったに他人のことを悪く言わない夫が、
実の母娘で殺人事件と言う話から、ポソッとつぶやいた。
「俺、本当に嫌いなんだなぁ、と思ってさ」
私の母親に対して、本当に初めて気持ちを口に出した。
長い間、好きではないのは感じていたけど、
言葉にしたことは、一度もなかった。
「そっかぁ…」
考えてみたら、母親と一番長く一緒にいたのは、
昼間家にいる夫だったんだよなぁ。

「どのへんが?」
「…どこって言うか、長年積み重なったものかなぁ」
苦笑いしながら、そう言ってたのが、年末くらい。
いろんな事情で、私の母親と暮らしてもらったけど、
夫にも、相当ストレスが溜まっていたんだなぁ。

そんなこんなで、2月に入ってから母親は私に宣言した。
「前々から考えてたけど、帰ることにしたから」
今まで一人暮らしをしたことのない母親は、いつも誰かといたがった。
本心では、止めて欲しかったのかもしれない。
だけど、
「…そう」
もちろん止めなかった。

それから、彼女は毎日のように荷造りをしていた。
家の空気は暗く歪んでいて、誰もが口数少なく。
銘々のことをこなしてしのいでいた感じ。
この時期にブログを書いてはみたものの、
前述のように何回推敲しても愚痴めいたモノになってしまって、結局あきらめた。

彼女は、いろんな意味でものすごく強くて、回りの人間を疲弊させる。
自分の親だから、当たり前に好きと言いたい。
母親が好きって言える人が、心底うらやましい。
だけど、生んでくれた人だから好きになれるとは限らない。
でも、母親が出ていってからもうすぐ一ヶ月。
あれやこれやと考えながら、気持ちは、大分楽になっている。

母親が出ていった翌日。
仕事に向かう途中、空を見上げた。
綺麗だった。
世界が違って見えた。
仕事から帰ってきて、無意識に駐車場を見る。
母親の車はない。
あぁ、もういないんだ。
深く息をはく。
私は本当に彼女が嫌いだったんだな。

多分、私の中には、こんなふうだったら、
という母親像が思っている以上にあるんだろう。
そして、自分も母親になって、無意識にやってきたんだろう。
娘との関係が良好なのを、有り難く思う。
私は父親も好きでなかったけど、娘は隠れファザコンだし。
結局、両親ともいい反面教師だったからこそ、
今の自分の家庭があるんだ、そう思えるようになってきた。

最近、幼稚園のみぎりから仲良しで、
お互いの親のことも熟知している友人と飲んだ。
彼女もシングルマザーで、娘よりひとつ上の息子がいる。
その彼女が言ってくれた。
「そりゃ、親は大切にしなきゃ、って思うけどさ」
「基本的に自分の意思で選んだわけじゃないから、責任ないんだよ」
「子供には、100%責任あるけどね」
笑って言ってくれる言葉に、気持ちがうんと楽になった。

母親は、弟夫婦に引っ越しの片付けを手伝ってもらったり、
今はたまたま近くにいる妹に、家電を買ってもらったりしているらしい。
今まで一人で暮らしたことのない人だけど、
慣れれば気楽さも感じるかもしれない。
幸い健康で、車の運転もする70代だし、新しい生活を楽しんでほしい。
後ろ向きに、過ぎてしまったことを愚痴るではなく、
残された人生を、悔いなく謳歌してほしい。

そして、私が一番に願うのは、
どうか良い人生だったと思って、幕引きしてほしい、と言うこと。
自分を幸せに出来るのは、自分しかいないから。

ちなみに、私自身の近況を少々。
仕事も一年がたち、少しだけ自信もついてきた。
今は、部屋替えや模様替えも一段落して、
長らく眠っていた小物を飾ったり、食器を使ったり。
夜勤明けにゆっくり寝られる、自分の部屋もようやく出来て、
ネットで探した小さな明かりに癒されてる。

そして、ユウヤ君。
月に3、4度会って、自分をリセット出来る時間を過ごしている。
家のこと、仕事のこと、抱えこんでる気持ちを洗いざらい吐き出して。
ユウヤ君と過ごす時間が、私を癒して笑顔にする。
湿疹がなかなか完治しなくて、いつもかゆがってる私に、
ユウヤ君は「カイカイ」という、ヘンテコなあだ名をつけて笑ってる。

今回は長くなってしまった。
どんどんタイトルから掛け離れていて、これでいいのかしらん?とも思う(笑)
でも、今回の話をきちんと書いとかないと、なんか先に進めない気がして。
時間も経って、あんまり力まずサラっと書けた。
気持ちが落ち着いてきてる証拠だなあ。
で、次回こそはタイトルに相応しいのを書こう、と思う(笑)。

春一番というには、ちょいとキツすぎるくらいの突風が吹き荒れて。
でも、そのあとは、穏やかで暖かい風が心地好く吹いて。
我が家もそんな移り変わりをなぞるようにして、新しい季節を迎えた気がする。

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066-至福。

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新しい年を迎えて半月がたった。
まぁ、お正月と言っても元旦から仕事だったし、次の日は早速夜勤だったし。
発熱だ、インフルだ、嘔吐だと、忙しく仕事に追われながら、毎日のなんと早いこと。

そんな中でも、やっぱりユウヤ君とはなんとか時間を捻出して会った。
再三メールでやりとりして、予定合わせて一度飲みに行った。

もともと二人ともお酒が大好きだし、量をいくタイプで。
ちょっと調子に乗ると、飲み代も半端ない。
だから、最近は3時間飲み放題で激安なチェーン店のお店をみつけ、そこで会うことが多い。
今やお店のスタッフとも、すっかり顔なじみになってしまった。

席がL字になっていて、のれんで隠された半個室。
畳にしたら二畳もないくらいの、小さなスペース。
けど、そこは私とユウヤ君の、二人だけの居心地のいい場所。
私達は、そこで幸せに満ちた時間を過ごす。
ユウヤ君がスマホの動画を再生してくれて、二人で同じところで笑いあったり。
肩凝りがひどいとこぼすユウヤ君の肩を、笑いながら揉んであげたり。
回りから見えないのをいいことに、ずっと指をからめてたり。

気がつくと、ユウヤ君はいつも靴を脱いで、膝を抱えて座っている。
「くつろぎ過ぎじゃない?」
そういう私に、少し酔っ払ったユウヤ君は、笑って答える。
「ここ、おウチだもん」

好きな人が自分といるときに、心からくつろいでくれてるって、幸せだ。
なんにも思い煩うことなく、身体中の力抜いて、リラックスしてくれてる。
伝わってくるそんな様子は、そのまんま私も幸せにする。

「今年は、日帰りでもいいから遠出して、温泉とか行きたいな」
アルコールのまわった私は、とんちんかんな返しをする。
「誰と?」
「お前とに決まってんだろ!」

最近、娘と彼氏を見ていてわかったことがある。
娘の彼氏はとにかく優しい。
端から見ていてハラハラするくらい、甘えてやりたい放題の娘にひたすら優しい。
だけど、私はこのタイプは多分ダメだな。
もちろん、娘の彼氏としてみたら、めちゃくちゃいいコだし、
相性だから、私がとやかく言う筋合いじゃないんだけど。
私は、こんなふうに優しすぎる人には違和感あるんだなぁ。

多分、私はユウヤ君に負けないくらい、あまのじゃくなんだろう。
いつもは、ツレなくって、ソッケなくって、言葉とか足んなくて。
でも、そんな男が時々フッと優しいのに弱い。
肩肘はって強がってる男が、ポロっと弱音吐いたりするのに弱い。
ユウヤ君は、そのバランスが絶妙にいい。
こういうのを、きっと相性っていうんだろうなぁ。

お酒も入って、ユウヤ君がいろんなことを話してくれる。
仕事のこと、家族のこと、親のこと。
私は酔っ払っているけど、膝突き合わせてきちんと聞く。
大切な人の話だから。
別れた後で『グチってしまった』って、申し訳なさ気なメールが来るけど、
私はそんなふうに気持ちを吐いてくれる、ユウヤ君が嬉しい。

ユウヤ君にとって、心許せる相手でいられたらいい。
今も、この先も。
家庭だったり、職場だったり、普段の顔は知らないけど、
私といるときには、なあんにも考えないで、
身体中の力抜いて、素になって、子供みたいに屈託なく笑ってくれたらいい。
黙って聞くしか出来ないし、別に気のきいたことも言えないけど、
ユウヤ君が少しでも楽になれたらいい。

考えてみたら、私は明確な意思を持って相手を探していたけど、
ユウヤ君にしたら、ある日突然メールが届いて、
もちろんSNSに登録してたのは、多少なりとも出会いを期待してのことだとしても、
いきなり私という、身も知らない相手と関わることになって。

私が思うくらいに、彼も私と出会えてよかった、と思ってくれてるのかな?
時々考える。
だから、いろんなモノ取っ払って、くつろいでいてくれる様子見るとホッとする。
多少お酒の力借りてだけど、胸のうちに溜まってる気持ちを、吐露してくれることが嬉しい。

今日も娘の彼氏が来ている。
美味しそうに、なんでもガンガン食べてくれるコなので、料理も作りがいがある。
一昨年の秋、母親がいない間に仕切って作った、私のお気に入りの場所。
中近東風の丸い灯がともるテーブルで、二人は食べながら、飲みながら、とめどなくしゃべって、笑いあってる。
ふと考えたらL字だ。
しかも向かって見たら、右が自分で、左が相手。
おんなじ。

娘達には悪いけど、自分達を重ね合わせる。
私とユウヤ君、一緒に過ごす姿は自分達では見ることが出来ないけど、
多分、こんなふうなんだろうな。
きっと間違いなく、こんなふうなんだろうな。

19歳と20歳。
そんなカップルを引き合いにしたら申し訳ないけど、
51歳と46歳の私達も、多分同じくらいに幸せ。
好きな人と過ごす時間。
屈託なく笑いあえるひととき。
もちろん、娘達みたいにおおっぴらには出来ないけど、
頻繁に会えるわけじゃあないけど、
幸せな幸せな時間。

「ユウヤ、幸せ?」
ちょっとだけ聞いてみる。
「…至福の時間」
いつものように、目尻を下げて笑ってくれる。

いつまでも、こう言ってもらえますように。
いつまでも、こうして二人の時間が持てますように。
縁あって巡りあえた二人が、なるべく長く関わりあっていられますように。

だけど、それを叶えるのは、お互いがお互いを思いあう気持ち。
至福の時間を過ごすため、私は今年も一生懸命、この恋を大事にする。

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065-新年。

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新しい年があけた。

年末年始にたくさんのコメントをいただいた。
顔も、住んでるところも、本名も知らない、
そんな私に「良いお年を」といってくださる気持ちに、心を暖めていただいた。
本当に本当にありがたい。

更新も遅いし、コメント返しも遅いブログだけど、
この場を通して巡り会えた皆さんの幸せを、
改めて心からお祈りして。
それぞれの立場はさまざまだけど、どうかこの一年、
ご家族や好きな人共々、元気で過ごせて、
振り返ったときに、いい一年だったなぁ、と思えますように。

ときに、私の年末年始はいつになく悲惨だった。
クリスマス近い頃から、なんだか足が痒くて、水虫だと信じ込んで。
恥ずかしいし、市販の薬を塗ってしのいでいたが、そのうちに足の甲が腫れ上がり。
そうこうするうちに、悪寒や発熱が始まり、仕事を早退して、病院へ。
「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」と言う、傷口から菌が入り全身に回る、と言う奴だった。

抗生剤を点滴して、飲み薬と塗り薬をもらい、とりあえず一息。
でも、その後も面白いくらいに身体中のあちこちに発疹が出て腫れ上がり、
温まると痒くなるので、疲れた身体を湯舟に浸かって癒すことも出来ず。
ひどいときには、オムツ替えしながら、入所者さんの体温感じてもカユカユになっていた。
で、2週間以上経過した今やっと痒みもおさまり、肌も普通に戻りつつある。

当たり前にお風呂入ってたけど、ありがたいなぁ。
点滴や注射や薬で、ずいぶん楽になって、病院って偉大だなぁ。
痒みにしろ、痛みにしろ、なんもない状態ってホントに幸せなんだぁ。
などと、例によっていろいろ学んだことがあった。

でも、そんな中でもユウヤ君とは会っていた。
まだ、たいしたことないとタカをくくってた時だったけど。
痒さを我慢し、薬を塗りながら、年末の賑わう街でデートした。
2012年の最後は、家電量販店みたり、デパート行ったり、
そして、地元の居酒屋でいっぱいいっぱい話をした。
この日が年内最後だと思ってた。

だけど、次の日職場を早退して病院に向かう途中、
ユウヤ君からのメールがあったので事情を話す。
病院を終え、ちょっとフラフラしながら歩いていると、またメール。
「駅前まで車で来てるから送るよ」
嬉しかった。
私の住んでるトコは、バスの便が良くないのを彼も知っていてくれる。

ロータリーにファミリータイプの車が止まっていて、ユウヤ君が窓をおろして合図する。
年末にまたひとつ夢が叶ってしまった。
ユウヤ君の運転する車の助手席に乗ること。

けど、車の中って、ユウヤ君ちの家族の様子が色濃く出てる。
お子さんがいつも座る場所に、それぞれが好きだろうキャラクターのクッション。
この車で、お子さん達の習い事の送迎したり、家族で買い物したりしてるんだよなぁ。

ここに座ってごめんなさい。
私が座っちゃいけない場所なんだよね。
心の中でつぶやく。
だけど、運転席にいるユウヤ君は、ことさらに優しげでグッとくる。

「病院帰りだから、すっぴんなんだよね」
化粧もしてない顔を遠慮がちに彼にむける。
「俺も寝起きで寝癖ひどくてさぁ」
「帽子でごまかし」
クリスマスに私があげたニット帽をかぶった彼が、顔をクシュっとして笑う。

私はやっぱり、この男が好き。

毎年、今年の漢字を考える話をいつか書いたけど、
2012年は「恋」

こんな歳になって、ちょっと恥ずかしいけど、
まぁ、娘の初恋もあったし。
やはりこの文字以外には思い付かない。

「恋」な一年が過ごせたことに感謝。
ユウヤ君の存在がなければ、転職もして、慣れるまでは相当四苦八苦したから、
「疲」とか「転」とか、そんな漢字が相応しい一年だったかもしれない。

私はちょっとだけ、能天気で楽天的なところもあるのかもしれない。
51年も生きてきたら、まぁ、それなりに山も谷もある。
夫と別れようかと真剣に思った毎日もあったし、
借金の返済で昼夜働いたときもあったし、
理不尽なリストラに泣いたときもあったし、
そして、セックスレスで壊れてしまったときもあったし。

だけど、振り返ればなんとかなって、今に至っている。
こういうのが歳をとることの強みなのかもしれないな。
こんなふうなことは以前にもあった。
だから、今回もなんとか乗り切れる。
心の奥底でそう思ってる自分がいる。

私は決して強い人間じゃない。
むしろヘタレで、くよくよと思い悩むタイプだ。
それは自分が一番良く知っていること。
だけど、周りの人達の助けや声がけがあったり、時間が解決してくれたり、
そして、やっぱりそこから脱さなきゃきいけないという、強い思いがあって、
もがいてあがいて、ただただ必死になって。
だから、なんとかなってきたんだろう。

2012年の終わり、私はベッドに横になりながら、ユウヤ君とメールしていた。
「今年も一年、あざ~す」
「来年も今年以上にヨロシク!」
私も笑って返信する。
「来年も二人でいい年にしようね」

2013年がどんな一年になるか、それはこれからのお楽しみ。
だけど、どこで突然途絶えようと悔いのないように、
ただただ、毎日を、大袈裟に言えば一瞬一瞬を大切に生きて行こう。

冬晴れの青い空がきれい。
この空の下で生きていられる幸せに感謝して。
どうか、新しい一年が皆様にとって、満ち足りたものでありますことを。

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064-感慨。

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ユウヤ君との、毎日の他愛ないメールのやりとり。
今はそれが私の生きる張り。
彼の着信音が鳴ると、駆け寄って携帯を開く。
休みだったり、休憩中だったりするときは、しばらくやりとりをする。
だいたいはたいしたことじゃないし、ユウヤ君の返事は、
「ホイ!」だったり、「お~!」だったり。
でも、それはいつも私を幸せな気持ちにしてくれる。

そして、一緒に過ごせる時間。
待ち合わせの場所に向かうときは、今でも心がはやって踊ってる。
買い物でも、飲みに行くのでも、ホテルで過ごすのでも、
私は多分、どんな時間でも二人でいるだけで嬉しいんだろう。
この前は、信号が変わりそうになって、
「走れ!」という彼の掛け声でダッシュして走った。
渡り終わって、二人してゼイゼイして。
顔を見合わせて、若くない二人は苦笑い。
でも、一緒に走ったなんて初めてだったから、
後から何回も、幸せな気持ちで反芻した。

私の仕事は4交替制なので、4時にあがる日もある。
職場を出て、のんびりと畑やら工場の間を歩いて帰る。
今の季節はちょうど夕焼けがきれいな時間。
足を止めてしばらく空に見入る。
ユウヤに会いたいな。
今、一緒にこの夕焼けを眺められたらいいな。
そんな思いが心の底から湧いてきて、思わずメールする。
「今日も一日、無事終了!」
すかさず返事がきて、しばらくやりとりをする。
「今から会うか?」
そんなメールもらった途端、一日の疲れも吹っ飛んで、モードが切り替わる。
「会う!」

今の仕事の資格を取るため、学校に通っていたとき、
一人の先生が良く言ってたっけ。
「介護の仕事を長く続けるためには、オンとオフの切替が大切です」
確かに。
いまは実に身に染みてわかる。

今の職場で、最初に私が配属されたのは、かなりヘビーなところで。
胃瘻や尿道カテーテルや酸素吸入器や。
そういった状態の方がたくさんいた。
ここは病院?
それが正直な感想だった。
ほとんどの方が車椅子で、移乗はもちろん、食事も介助の方が多かった。
起きる、食べる、排泄する、寝る。
一日はただただその繰り返し。

働き始めた当初は、今まで当たり前と思っていたことが、
すべて当たり前じゃないことを、嫌というほど思い知らされた。
介護や医療の仕事に就いている方達からみたら、
何をいまさら、と思われるだろうが。

目覚めて、ベッドから起き上がって、トイレに行く。
顔を洗って、コーヒー煎れて、新聞に目を通して。
朝ごはん食べて、歯を磨いて、着替えて、化粧して。
そして、バスや電車に乗って仕事に行く。
ちょっと書き出してみるだけで、誰しもがしているだろう普通のこと。
でも、当たり前じゃない人もたくさんいる。
そして、それがわかっただけで、私はちょっと変われた気がする。

休みの一日なら、洗濯したり、掃除機かけたり、メモを片手にスーパーで買い物したり。
友達に会ってランチしたり、飲みに行ったり。
本を読んだり、DVD観たり、ブログ書いたり。
そして、心弾ませて服を選び化粧をして、ユウヤ君に会いに行ったり。
今まで「当たり前」だと思っていた日常を、
少し違う気持ちで過ごすようになった。

この一年で私は、ほんのちょっとだけど、
今までと違う眼差しで、物事を見られるようになったかもしれない。
「51歳は転機の年」
一年前に、そんなことが占いに書かれていたのを思い出す。
確かに当たってたのかもしれない

50歳を越えて、残りの人生が今まで生きてきたより、多くはないことに気づいたこと。
介護の仕事を始めて、認知や脳梗塞の方と毎日接するようになったこと。
そして、何よりユウヤ君と出会ったこと。

当たり前に生きていることの有り難さを、毎日感じている。
早番の時の、朝焼けがただただ美しいこと。
頬っぺたに風を感じること。
冬枯れの中にも、咲いている花が綺麗なこと。
イヤホンから聞こえてくる歌が心に響くこと。
すれ違う親子連れが幸せそうに笑っていること。
仕事先でおじいちゃんが「おはよう」と言ってくれること。
娘や娘の彼氏が、私の作った料理をペロッとたいらげてくれること。
ささやかだけど、数えあげたらキリがない。

心の目が開いたのかな。
まぁ、そう言ったら大袈裟かもしれないけど。
でも、生きている間にわかって良かった。

仕事や年齢がそれをわからせてくれたのだとは思う。
だけど、ユウヤに出会わなければ、
こんなふうな気持ちで毎日を過ごすことはなかった。
目にするもの、触れるもの。
私は毎日、感謝の気持ちを持てるようになった。
もちろん、ささいなことにカッとなったり、へこんだりはある。
だけど、少なくとも以前よりはなんでもないことに感謝して、幸せを感じる。

だから、私はユウヤに感謝している。
ユウヤがもう止めよう、と言うまでは一緒にいたい。
「不倫」という括りに入るのは、百も承知して。

生まれてきてよかった。
彼に巡り会えてよかった。
あとどのくらい一緒にいられるかは、わからないけど、
ユウヤ君と過ごせるひとときを彩りにして、
かけがえのない一日一日を大切に生きよう。

2012年ももうすぐ終わり。
今の私はそんな気持ちでいる。

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063-決心。

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おかげさまで、娘の恋は順調に満二ヶ月を迎えた。
実はダッシュで1分とかからないくらい近所なので、毎日のように会っているらしい。
「皆勤賞だよ」
と、ただただ幸せそう。

娘は頻繁にあちらのお宅で、夕飯ご馳走になったり、
彼のお父さんに遊びに連れていってもらったり。
彼も我が家に来て、一緒にお鍋食べたり、ゲームしたり。
この前は夫ともうまく時間があって、4人で飲んだりもした。
一人娘を溺愛している夫も、真面目で朴訥な彼をえらく気にいっている。
ストーンズの話で盛り上がったりして、私や娘はついていけないくらい。

このコはどんな男をみつけてくるのかな?
いつ、どんな人を紹介してくれるのかな?
長いこと、ちょっとした楽しみだった。
果たして、ビックリするくらい素朴な彼が我が家にやってきて。
ハタチで吉田拓郎が好き、という、
今どきなかなかお目にかかれない、レアで昭和な男。

正直言うと、面食いな私はもうちょっと格好いい男を期待してた。
ごめんなさい。
でも、何回か会ううちに私も彼にどんどん好感持ってきた。
実は私も高校の頃、吉田拓郎大好きだったんだよね。
彼の好きな作家や漫画は、結構私ともかぶってて、
「アレは傑作だよねぇ」
なんて話も普通に出来る。
彼が読んでみたい、と言った作家の本とか、思わず貸してあげちゃったり。
夫も、コレは聞いたほうがいい、などと言ってCDを貸したり。

改めて二人を眺めると、なんだか雰囲気がやたらに似てる。
付き合いはじめて日も浅いのに、もうずっと長いこと一緒にいたみたいに見える。
多分このコは、たくさん恋愛はしないだろう。
ずっとそう思ってた私の予感は、大当りしてしまった。

初めて付き合った相手と結婚する。
それはそれで、幸せなのかもしれないな。
真面目で誠実な彼は、おそらく娘を大切にしてくれるだろうし、
親が言うのもなんだけど、娘も素直なコだし、
きっと迷うことなく、お互いだけを見つめて生きていくんだろうな。

なんか。
私の娘なんだけど。
ヘンな感じ。

誰かを好きになって、でも恋なんてうまくいかないこと、たくさんあって。
お互いに傷つけあったり。
辛くて切なくて枕を濡らしたり。
胸が張り裂けるくらい悲しい思いをしたり。
そんな気持ちを知らずに生きてゆけるのも、まぁ幸せなのかな。

そう遠くない将来、二人は一緒になって、新しい家族を作ってゆくのだろう。
同じマンションの別棟を買って、近くに住む気でいるらしい。
「実家に近いし、そうすれば?」
と冗談で言ったのに、二人ともすっかりその気でいる。

最近、しみじみと思う。
まだ大学生活こそ何年か残っているけど、
私の子育ては終わってしまったんだなぁ、と。
私が長いセックスレス期間を過ごしてしまったのも、
仕事やら子育てやら、他に夢中になって頑張れるものがあったから、とも言える。
でも今、娘には何をおいても大切な相手がいる。
もう私の庇護は必要ないんだなぁ、と思う。
お役目終了なんだなぁ、と痛切に感じさせられる。

一人っ子だから、いいパートナーに巡り会って、自分の家庭を持ってほしい、
それだけはずっと思っていた。
一見しっかり者にみえるけど、中身はすごくさみしがりで甘えん坊の娘を、
私達がいなくなったあとも支えてくれる人に出会ってほしかった。
そして、彼なら間違いなく大丈夫だろう。

そして、最近思う。
私はこれからの人生を、自分のために生きよう、と。

以前に比べれば、笑っちゃうくらい割のあわない介護の仕事。
一日中こまねずみのように走り回って、
ときには口を開くのさえ億劫なくらい疲れ果てているけど。
でも、人の役にたっていることは、毎日肌身で感じられる。
自分の身体が動くうちは、出来るだけ続けていきたい。

そして、そんなキツイ毎日も、ユウヤ君と会う約束で乗り切れる。
「明日はユウヤだ!」
夜勤中の深夜に、おむつ替えに回りながら自分を励ます。
「〇〇さん、私明日デートなんだぁ」
認知でいつも独語を発してるおばあちゃんに話し掛けたりして。
「デートかい?そりゃよかったね」
珍しく会話になって、一人で笑って楽しくなる。

ユウヤ君は、しんどい仕事を乗り切るご褒美に、
神様が遣わせてくれた存在なのかもしれない。
大切な一人娘の巣立ちにあわせて、残された私の人生を楽しむために、
巡り会わせてくれた存在なのかもしれない。
最近、そんなふうに考えている。

誰かと過ごすことが、こんなに楽しくて幸せだなんて、
何年も感じたことがなかったから。
もちろん、仕事でも、子育てでも、友人との付き合いでも、
楽しかったり、幸せだったりしたことは、
たくさんたくさんあったけど。
でも、ユウヤ君と過ごす時間はまったく別のもの。
一人のオンナとして、芯から幸せ。

この人がいてくれるから頑張れる。
今の私にとって、ユウヤ君はそういう存在になっている。
だだお互いに家庭がある、そのことだけは、いつも忘れない。
だけど、生きていくうえで今や欠くことの出来ない人。

これからは自分の人生。
悔いなく過ごしていきたい。

介護の仕事についてから、余計とそんなふうに思うようになったのかもしれない。
ごく当たり前だと思っていたことが、決して当たり前でないこと。
それを痛切に感じるようになって、私は少し変わったのだと思う。

自分の足で歩いて好きな人に会いにいける幸せ、を思う。
好きな人に触れられるひとときのかけがえのなさ、を思う。
今は毎日、そんな気持ちにあふれている。

カテゴリー: diary | 43件のコメント

062-再会。

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中学校の同窓会があって、久しぶりに生まれ育った街を訪れた。
時々、墓参りには行ってたけど、いつも車だったから、
そこに向かうJRの列車がリニューアルされていたのにも、
駅舎がめちゃくちゃお洒落になっていたのにも、
すごーくビックリした。

こんなふうに何年がぶりに故郷に来ると、
なんだかものすごく客観的な目で見られる。
住んでいるときは、こんな田舎が嫌で嫌で仕方なかった。
一刻も早く都会に行きたかった。
だけど、久しぶりに訪れると、
こんなにも自然に恵まれた場所だったんだなぁ、
結構いいところで育ったのかもしれないなぁ、
そんな気持ちにもなる。

同窓会は70人くらい集まった。
三分の一弱だから、なかなかの出席率。
だけど、男の子は変わり果てていて、誰が誰だかわからない。
数年前の小学校や高校の同窓会で会ってた人以外は、
とりあえず調子合わせてニコニコしておく。

今回は前に書いた、ユウヤ君に似ている彼が来なくなってしまったので、
全く気合いも入らない。
最初に来ると聞いて、35年ぶりの再会を何より心待ちにしていたのに、
会社の長期出張が入ったらしく、どこだかはわからないが、その会社を真剣に恨んだ。

なんだか始まる前って、熟年カップリングパーティーみたい。
会場の左右に男女別れていて、遠巻きに値踏み。
「アレさ、ロン毛誰よ?」
「わかんない。隣のベージュのジャケットは誰?」
「え~、全然わかんないよ」
って感じ。

でも、名札見ながら乾杯しながら、だんだんに一人一人を思い出す。
それぞれの15歳の顔を思い出す。
在学中は何の接点もなく、一度も話したことないような人とも、
同級生というだけで話が弾む。

昔、やんちゃしてた男の子が幹事していたりするよね。
家庭も大事にして、地元で真面目に働いてる。
思ったけど、私はそういうタイプが好きなんだな。
もちろん、医者になったり、大学教授になったり、そういう人もいるけど、
昔ちょっと悪さもしたけど、今はかあちゃんと子供が二人いて、
ずっと地元の土建会社で働いてるよ、
みたいなほうが、なんか圧倒的に好感持てる。

そんななか、
小学校、中学校と一緒で、好きとまではいかないけど、
なんとなく彼の持ってる雰囲気に一目おいてたコがいた。
別に特別頭がいいとか、スポーツが得意とか、そんなんじゃないけど、
多分、12,3かそこらでちゃんと精神的に大人だったコ。
その彼が、当時の雰囲気を残しながら、すごくいい男になっていた。
なんだかすごく嬉しかった。
私って、男見る目あるかもな。
たかが小中学生くらいでも、なんとなくわかってたのかもしれない。
子供の頃の自分が、この人はいい、って感じてて、
大人になった姿がそれを裏切らないのは、なんか嬉しい。

で、いつもの私なら、とことん行くところだが、
泊まる先を、生真面目な友人宅にしたせいで、
二次会を終えて、早々においとますることになってしまった。
まぁ、酒癖のよくない私は、それで良かったのかもしれない。
後で聞いたら、5次会まで行って最後はカラオケだったらしい。
35年ぶりの再会で、弾けられなかったのが残念でもあるし、
弾け過ぎて、次に顔出せなくなる、なんてことにならなくて良かった気もするし。

ヤキモチやきなユウヤ君が、遠くから念をとばしていたのかもしれないな。
二日しかない希望休を出すときは、いつもユウヤ君の休みに合わせるけど、
今回は、この同窓会に合わせて休みをとった。
「行かなきゃいいじゃん」
そんなことを言って、ちょっとすねていたのが思い出される。
でも、一夜明けて翌日。
あと30分程度で地元の駅に着くという頃、ユウヤ君からメール。
「帰ってきたのかな?」
思わず口元がゆるむ。
「帰ってきたよ」
やっぱり私は、ユウヤ君の住むこの町が一番好きだ。

私は4月2日に生まれた。
ご存知のように、なぜだか4月1日までが一学年の区切りになる。
最初、両親は1日生まれで届けを出そうかとも思ったらしい。
だけど、学年のビリッケツで体力、学力ともに劣るのも不憫だろうと、
結局そのまま届けを出したと言っていた。
両親の選択が良かったか、悪かったかはわからない。
だけど、人生で出会うメンバーが100%に近いくらい違っていたのは間違いない。
同級生、先生、先輩、同僚。
ひょっとしたらパートナーも。
当然、同窓会の顔ぶれも、全然別になっていただろうし、
同窓会とか開かない学年に、当たったかもしれない。
そう思うと、なんだか不思議だ。

懐かしい顔があちこちで行き来する中、そんなことを考えていた。
中1のとき、仲良し5人組でお互いの家を行き来してたコ達。
中3のとき、二人で大好きなチューリップのことを飽きずにしゃべってたコ。
今回の同窓会でアドレスを知り、初めてメールでやり取りをした。
思ったけど、
コミュニケーションのツールがちょっと変わっただけで、
35年の時間なんて、瞬く間にとっぱらわれるね。
なんだか、まんま中学生に戻って会話している。

もしも親が1日生まれで届けを出していたなら、
おそらく話をすることもなかったろう彼女達。
「縁」ってありがたい。
そして「思い出」っていいな。

最近、こんなことばっかり考えるのは、やっぱり歳のせいだよね(笑)
でも、縁あって巡りあって、
毎日おしゃべりして笑いあって
そんな時間を一緒に過ごした皆とまた会えて、
幸せな時間を過ごせて良かった。
本当に本当に良かった。

5年後にまた開催するらしい。
先のことはわからない。
でも、またみんなと再会出来たらいいな。
次は絶対に朝まで飲もう!

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