Demain | よどみにうかぶうたかた

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淀んだ頭に時たま浮かんでくる泡沫を書き残しています。


四日目

パリ旅行最終日。
歴史が綾なす芸術の都……
であると同時にここはまた、
血なまぐさい政治と闘争に深く関わってきた街でもある。



この日の朝に行ったサクレ・クール聖堂

朝のモンマルトルは静かで清々しく、
その空気のなかに聖堂は美しくたたずんでいた。
ビザンチン様式の白い建築物はいかにも古い歴史を持っていそうに見えるが、
実際には新しい建築で、
1870年にフランスがプロイセン、今のドイツに負けた慰めに建てられたと言われている。

前日までに巡った観光地の数々の中にも実は、
十字軍や民衆の反乱や王領地の拡大やフランス革命やナポレオン戦争や第二次大戦などの残り香がそこかしこに漂っていた。

その直近の例が、
イスラームとの確執による、
シャルリー・エブド事件と同時テロ事件である。
これらのおかげで出発前には皆からずいぶん心配された。

しかしパリの人達には、
このような政治的闘争によって明日を築いてきたという自負があるようだ。
そういえば、
三日目に行ったベルサイユ宮殿では、
開門時刻に行ったところ
職員によるストライキの真っ最中で、
数時間中に入れなかった。
このようなストも闘争の一端だし、
そのスト権の獲得も闘争の賜物なのだろう。

今日は何が起ころうとも、明日へ向かって前進する。
人生を変えるために。
そういった人々の思いの積み重ねによって出来ている街、
今回の旅行で、パリに対してそんな感じを抱くことができた。



成田空港にて

日本に戻ってきた。
今回の旅を糧にして、
さて、私もまた明日に向かって進みますか……。



「民衆の歌」(ミュージカル『レ・ミゼラブル』1980年オリジナル・コンセプト版より)