『メリィ・ウィドウ』 | First Chance to See...

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 エルンスト・ルビッチ監督の映画が好きで、オペレッタ『メリー・ウィドウ』が好き、なのにエルンスト・ルビッチが監督した映画『メリィ・ウィドウ』を観たことがないってのはどうしたことよ——と思い、DVDを買って観ることにした。

 

 

 ……っていうか、新型コロナウイルス感染の第7波がすさまじく、せっかく一週間の夏休み休暇なのに映画館や美術館に出かける気になれないストレス解消のため、というのが正直なところ。感染のリスクを考えて家に閉じこもるにしても、うっかりガチで気が滅入ってしまったら、それはそれでヤバイしね。適宜、自分で自分にご褒美を投げて、機嫌をとってやらねばならん。それが一人暮らしに必須のテクニックだ。

 

 そして、エルンスト・ルビッチの陽気で洗練されたオペレッタコメディくらい、私をたやすくご機嫌にしてくれるものもない。今から90年くらい前に製作された映画だってのに、何度となく声を出して笑ってしまった。普段、イマドキのラブコメを観ても心から愉快な気分で笑うことなど滅多にないのに。ルビッチ演出の話法にめっぽう弱いことは自覚しているが、それにしてもつられやすすぎだろ、自分w

 

 映画『メリィ・ウィドウ』は、使用される音楽はもちろんオペレッタ『メリー・ウィドウ』と同じだけど、物語や設定はそこそこ改変されている。そのため、オペレッタに馴染みがある私にも話の先が意外と読めない。特にラストは大胆な改変で行われ、想像の斜め上をいくハッピーエンドになっていた。

 

 当時の技術では、生のオペレッタの舞台の音響や迫力をまるごと映画で再現するのは不可能。だったら逆に、映画ならではの編集の技法を駆使して、生の舞台では絶対にできない語り口をお見せいたしましょう——という意図があったかどうかは知らないけれど、あのラストにはやっぱり笑っちゃう。お見事でした。