『ねこしま』 | First Chance to See...

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 マルタ島に暮らすたくさんの猫と、その保護活動家たちの姿を追ったドキュメンタリー映画。2025年の幕開けは、猫のもふもふで飾ることにした。

 

 

 日本からだと行きづらそう、ということで、これまで旅行先としてマルタ島を意識したことはなかったけれど、歴史的建造物そのもののような街並みといい、とびきり美しい地中海の海岸といい、さすが昔から大国が島の覇権を争ってきただけのことはある。そこに、猫。野良猫と保護猫の中間のような、人馴れしているもふもふ猫がそこらじゅうにいるとあっては、これはもう脊髄反射的に「行ってみたい!」と思わずにはいられない。

 

 この映画に出てくるのは、当然、猫を愛し猫について熱く語る人たちばかりだが、それでもすべての島民および観光客から猫たちが熱烈歓迎されているわけではない様子も何となく透けて見える。人間が野良猫に積極的に餌をやれば野良猫の数は一気に増えるし、その一方、これまでただの空き地だと思っていたところにも観光開発の手が伸びて、野良猫たちの居場所はなくなる。

 

 現実的な解決策としては、野良猫を捕まえて避妊手術をし、猫の頭数を減らすしかない。繁殖も出産も自然に任せ、猫たちが自由にのびのびと生き続けるのが理想だとしても、猫たちの餓死や病死や事故死を人為的に阻止したいと思う以上、避けられないことだと私も思う。この映画の中でも野良猫の不妊治療の必要性について何度か語られていたけれど、こういう考え方はマルタ島ではまだそんなに広がっていないようにも感じた。

 

 マルタ島に限らず日本でも、野良猫が大きな顔で近所を歩き回っていてくれるほうが本当は私も嬉しい。私の家の近所でも20年くらい前までは多くの野良猫を見かけたが、ここ数年、捕獲して避妊手術を施してから「地域猫」として保護する活動が行われるようになって、今では「地域猫」すらほとんど見なくなった。新しい子猫が生まれないんだもの、そりゃ5、6年も経てば自然にいなくなりますって。

 

 自分が暮らしている地域から猫の姿が消えるのは、さびしい。間違いなくさびしい。でも、交通量が多くて土の地面が少ない、ちっとも猫にやさしくない近所の環境を考えると、これでよかったのだと思うしかない。せめてマルタ島のような自然環境と土地柄では、この先も人と猫が楽しく共存していけますように。