ロンドンのOrange Tree Theatreで3月8日にめでたく千秋楽を迎えたロジャー・アラム主演の舞台「Churchill in Moscow」が、期間限定で英語字幕つきオンデマンド配信されたので、尻尾を振って飛びついた。
戯曲はとっくに読了済みだが、配信で観る前に念のためもう一度読み返しておいて大正解だった。チャーチルとスターリンの対決というだけでなく、チャーチルとスターリンの通訳者たちをめぐる話でもあるため、言葉のニュアンスとか意訳といったものまで即座に汲み取るとなると、私の英語力では難易度が高すぎる。
が、あらかじめ戯曲を頭に入れて観ると、このシーンでこういう間合いを入れるのか、とか、このセリフってこういう意味だったのか、とか、テキストを読んだだけではピンときてなかったところが一気に鮮明になるし、何よりロジャー・アラムが演じる役柄に集中できる——イギリス人なら誰もが知るウィンストン・チャーチルの役を、ウィンストン・チャーチル本人に似せることを優先せず演じて絶賛されていることは各種劇評を読んで知ってたけど、これはほんと、絶賛するよりほかなくて、鑑賞後は「さすが私のご贔屓俳優だけのことはある」と、謎の自画自賛モードになってしまったじゃないですかっ。