アカデミー賞長編アニメーション賞をはじめ、数々のアニメーション賞を受賞した、ラトビア発のアニメーション。一匹のネコが洪水に沈みゆく世界を漂っていく姿を描く。
この映画に、人間は出てこない。割と直前まで人間がいたらしき様子はあるが、どうしていないのか、いつからいなくなったのか、その理由は一切描かれないし、そもそもいつの時代のどの場所なのか、特定どころか推察さえできないように出来ている。
その一方で、ネコはどこまでネコらしい。ネコだけでなく、この映画に出てくるイヌもイヌらしいし、そのほかの動物たち、ワオキツネザルとかカピバラもあくまでそれっぽい。映画に人間の姿が出てこないだけでなく、動物たちの過度なキャラクター化も安易な擬人化も意識して避けられている。
素晴らしい。昨今、早くも使い古されたようにさえ感じられていたCGアニメーションに、また新しい可能性が広がった。