三浦市の特産や名物、歴史をアピールしようと、三浦商工会議所が「ゆるキャラ」作りを進めている。原案を考えたのは、魚市場内の郵便局で働く若手美術家。地域に根ざし、町を温かく見つめる目から市のPRを担うキャラクターが生まれた。

 女子美術大学、同大学院で日本画を学んだ新倉佳奈子さん(30)。昨年4月から三崎魚市場内にある郵便局で窓口業務に従事し、離れた家族に手紙を投函(とうかん)する遠洋漁業の漁師たちや、地元住民の穏やかな日常を見守ってきた。

 3月に同郵便局が行ったイベントで、子ども向けに名物のマグロの絵を描いた。三浦半島で隆盛を誇った武家の三浦一族をイメージしたよろいをまとわせ、刀の代わりに特産のダイコン、頭にはB級グルメ「三崎まぐろラーメン」を意識したどんぶりをかぶせた。履いているのは、漁師たちのトレードマークの長靴だ。

 地域への愛が込められた絵が偶然、商議所関係者の目に留まる。商議所ではB級グルメの祭典「B―1グランプリ」など全国規模のイベントで三浦をアピールする際、地元らしいキャラクターが必要だと感じており、「ぜひ使わせてほしい」と打診。承諾をもらい、新倉さんが描いた絵を原案にして専門業者に着ぐるみとキャラクターの制作を発注中だ。

 現在も創作を続け、日本画の個展を開くなど活動している新倉さんは「たまたま描いた絵がキャラクターになるなんて。三浦の皆さんに愛される存在になってほしい」と話す。商議所も「三浦の良さを発信してほしい」と期待を寄せる。

 今後、8月に三崎地区で開くイベント「みうら夜市」の会場などで名前を募集し、10月の「三崎港町まつり」でデビューさせる予定だ。