令和3年 宅建“法改正”講座①(再掲版) | 保坂つとむの宅建合格塾

令和3年 宅建“法改正”講座①(再掲版)


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ただの画像です。クリックをしても何も出てきません(笑)




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※ 10月試験前にアップした法改正講座を、12月受験生向けに再掲いたします!



みなさん、こんばんは(*^▽^*)。

今回から3回連続で“本試験直前特集”として、今年度(令和3年度)の宅建受験生のみなさま向けに法改正に関する情報をお届けします。
 ↓
●特集①…近年の改正点 ←今回!
●特集②…昨年度の改正点
●特集③…今年度の改正点




まず、今回は…
近年”の改正点等をご紹介しましょう。

なお、重要度を“”で示していますが、これは、あくまでも今年度の試験においての重要度となります。
(したがって、すでに出題済みの改正点で今年の試験で出題される可能性は低いであろうと思われるものは重要度を低く評価する…未出題の内容については多少古い改正点でも掲載する…等の調整を行っています。)

一般的な受験者は、“★★★以上の項目のみ確認すれば十分。すべて確認するのは、相当学習の進んだ上級者のみでOKです!





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●●● 宅建“法改正”講座① ●●●

宅地建物取引士試験の対象となる範囲についての近年の主な改正点(今年&昨年の改正点を除く)を,下記でご案内します。

――――――――――――――――――――――――
【民法 (自筆証書遺言の緩和)】
(重要度 ★★★)

みなさんご存じのとおり,「自筆証書遺言」は,遺言者本人による“全文の自書(=すべて手書き)”が原則となっていますが,遺言書に添付する『財産目録』については,その要件が緩和されることになりました。
 ↓
ちなみに…
「財産目録」とは,文字通り“財産の目録(=遺産のリスト)”を指します。
 ↓
こんなものを,いちいち手書きなんかしていたら,とくに遺産が沢山あるお金持ちさんなんかの遺言書だと,作業量が大変なことになってしまい“書き間違い”の原因にもなります。
 ↓
そこで…
パソコン等で作成してもかまわないョ”といったルール変更が行われたわけです。



改正のポイントは,以下のとおりです。
 ↓
● 財産目録については,『パソコン』等で作成するほか,『不動産の登記事項証明書』『預金通帳の写し』などを利用することも認められる
 ↓
● 『遺言者以外の者』が,財産目録を作成することも許される
 ↓
● 遺言書本体と財産目録を,編綴したり(ホチキスなどで綴じること),契印をしたり(双方にまたがってハンコを押すこと)する必要はない
 ↓
● 財産目録は,遺言書本体とは別に『添付』する場合に限り,パソコン等での作成が認められる。したがって,遺言書本体の1部に財産目録を印刷して,1枚の用紙で済ませることは認められない
(だから… 1枚の遺言書のうち,上半分が遺言書本体で手書き…下半分がパソコンで作成した財産目録…といった形は『NG』となる!)
 ↓
● 自書によらない財産目録を添付する場合,遺言者は,その財産目録の『毎葉』に,『署名&押印』をする必要がある。



最後のポイントについて,もう少し詳しく説明しましょう。
 ↓
「署名」とは,遺言者による“手書きのサイン”を指します。だから,氏名が印字されたゴム印などで済ませることはできません。ゴム印だと,遺言者本人によるものか,確認ができないからです。
 ↓
「押印」は,もちろん“ハンコを押す”という意味ですが,遺言書本体で使用したものと同じハンコである必要はありません。また,立派なハンコである必要もないため,認印などでもOKです。
 ↓
よくわからないのが,「毎葉(まいよう)」という文言ですが,これは“各用紙”とか“各ページ”といった意味です。
 ↓
それでは…
なぜ,素直に“各用紙・各ページ”と書かないのか…というと,片面に財産目録が書かれている場合に,その裏面に署名&押印をすることも認められているからです。
 ↓
偽造等のトラブルを防ぐのが目的なので,以下のような取扱いになっています。
 ↓
● 基本は,用紙ごと,ページごとに署名&押印する。したがって,自書によらない財産目録が1枚の用紙の両面にある場合は,その『両面』に,署名&押印が必要となる。
(そうしないと… 元々片面しか書かれていない財産目録の裏面に,第三者が勝手に書き加える…といった偽造・変造が容易になってしまうから)
 ↓
● 自書によらない財産目録が1枚の用紙の片面だけの場合は,その『裏面』に,署名&押印してもよい。
(例えば… 片面が財産目録の内容でビッチリの場合は,裏面に署名&押印をしてもかまわない。裏面に第三者が勝手に書き加える…といった偽造をすれば,両面に財産目録があるのに,署名&押印は片面のみとなってしまい要件を満たさなくなるため,偽造等のトラブルを防止できると考えているから)



最後に…
自書によらない財産目録を“訂正”する場合について説明します。
 ↓
こちらは,従来の自筆証書遺言のルールと同じで,変更はありません。
 ↓
遺言者が,その場所(変更した場所)を指示して,これを変更した旨を付記して,特にこれに『署名』し,かつ,その『変更した場所にハンコ』を押す必要があります。
(このルールを守らないと,訂正の効力は生じません!)



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」には未掲載です。
(「50日でうかる宅建士」上巻206ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【宅建業法 (媒介業者の“囲い込み”防止)】
(重要度 ★★★★)

囲い込み”とは,媒介業者が,レインズなどで問い合わせが入った場合に,すでに申込み済みなどと難癖(笑)をつけて,これに応じず,なんとか自社のみで契約を成立させようとすることをいいます。
 ↓
売主・買主の双方から報酬を受け取れるいわゆる“両手”に持ち込むために行われる不正行為の1つですが,結果として,依頼された物件の売却時期が遅れてしまうなどの弊害が生じてしまうため,物件申込みがあったら,その都度,媒介依頼者にちゃ~んと“報告”しなさい…と義務付けることにしたものです。
 ↓
以下が,新設された規定です。

● 宅地・建物の売買または交換の“媒介契約を締結”した宅建業者は,その媒介の目的物(物件)に“申込み”があったときは,遅滞なく,その旨を依頼者に報告しなければならない。


なお,この報告義務は,従来からある業務報告(定期報告)とは異なる制度であるため,その違いをしっかり把握しておくことが必要です。
 ダウン
《従来からある報告(定期報告)》
一般媒介 ……… 義務ナシ
専任媒介 ……… 2週間に1回以上
専属専任媒介 … 1週間に1回以上
 ダウン
《物件申込みがあった場合の報告(改正により新設)》
一般媒介 ……… 申込みがあったときは遅滞なく
専任媒介 ……… 申込みがあったときは遅滞なく
専属専任媒介 … 申込みがあったときは遅滞なく
 ↓
新設された報告義務は,“一般・専任・専属専任”のいずれの媒介契約であっても適用される点,期限がすべて“遅滞なく”である点が,従来の定期報告とは異なっています。
 ↓
また,申込みの内容が,売主の希望条件を満たさない場合(例:購入希望額が低額)であっても,申込みがあった都度,報告しなければならない(=媒介業者が,勝手に判断して報告を省略するのはNG!)…という点も,頭に入れておきましょう。


ちなみに,従来の報告義務との共通点もあります。それは,次の2点です。
 ↓
1)報告の方法は,書面・口頭・電子メールのどれでもOK
 ↓
2)上記の規定に“反する特約”は,無効となる(例:報告を省略する ⇒ 無効!)。



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」に掲載済みです。
(「50日でうかる宅建士」下巻93ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【宅建業法 (重要事項説明の“簡素化”)】
(重要度 ★★★★★)

従来,相手方等が宅建業者であっても…素人であっても,35条の重要事項説明について,ルールに違いはありませんでした。
 ↓
これが改正されて,次のようなルールになりました。

● 相手方等が宅建業者であれば“宅建士による口頭での説明”は不要である。
(宅建業者に対しては,35条書面の交付のみでOK!


改正前・後で整理すると…
 ダウン
《改正前は…》
買主等が宅建業者であっても,宅建士による説明,35条書面の交付,ともに必要となる。
 ダウン
《改正後は…》
買主等が宅建業者であれば,宅建士による説明不要である。
(35条書面の交付のみ必要となる!)


なお,宅建業者に対しては,あくまでも宅建士による“口頭での説明”が不要になっただけであり,宅建業者に対して交付する35条書面であっても,従来同様,宅建士の“記名・押印”は必要なので・・・あしからず!



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」に掲載済みです。
(「50日でうかる宅建士」下巻99ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【宅建業法 (“賃貸住宅管理業者”に関する説明)】
(重要度 ★)

35条の重要事項説明で,賃貸物件の管理者の氏名・住所を説明する際,その管理者が「賃貸住宅管理業者」の登録業者であれば,その登録番号記載&説明することになりました(登録業者でなければ,従来どおり,氏名・住所の説明だけでOK!)。
 ↓
この「賃貸住宅管理業者」の登録制度は,以前,当ブログで取り上げたことがあります。気になる人は“宅建試験が終わってから(← これっ,大事ですよ!)”,下記のブログ記事をご覧になってくださいまし。。。
 ダウン
https://ameblo.jp/hosaka-tsutomu-no-blog/entry-12250986942.html



「50日でうかる宅建士」の参考ページは…
下巻109ページ


――――――――――――――――――――――――
【宅建業法 (弁済対象者からの“除外”)】
(重要度 ★★★★)

営業保証金弁済業務保証金の弁済対象者から宅建業者が“除外”されることになりました。
(じつは,以前から保証協会などでは,業者より素人さんを優先して還付を行う運用がなされていたのですが,この改正によって,法律自体で“素人さんを救済するためのもの”というルールを明確にした…ということです。)
 ↓
また,これに伴い,宅建業者に対しては,“供託所等の説明”が不要になりました。
(供託所の所在地は○○です。あっ,でもアンタは業者さんだから,還付は受けられませんぜ。残念!!!・・・な~んて説明したら,嫌み( ;∀;)になるだけだしね・・・アハッ! アハッ!)



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」に掲載済みです。
(「50日でうかる宅建士」下巻50,62,116ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【宅建業法 (“従業員名簿”の記載内容の変更)】
(重要度 ★★★)

宅建業者が事務所に備えるべき従業員名簿の記載事項から住所が“除外”されることになりました。
 ↓
従業者名簿には“閲覧制度”があるため,住所の記載は,従業者のプライバシー保護の観点から問題視されていましたが,この点が改正により解消されます。
(ちなみに,事務所に備える帳簿には,閲覧制度はないぞォ!・・・φ(..)メモっち)



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」に掲載済みです。
(「50日でうかる宅建士」下巻71,125ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【宅建業法 (“インスペクション”関連)】
(重要度 ★★★★★)

インスペクション(建物状況調査)とは,“既存住宅(中古住宅)”の劣化等の調査で,既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が実施します。
 ↓
この調査の対象は,“既存住宅(マンション等の共同住宅を含む!)”であり,“店舗や事務所”は『対象外』となります。
 ↓
なお,調査は義務ではなく,あくまでも売主や購入希望者の希望に応じて実施されます(購入希望者側の希望で実施する場合は,あらかじめ売主の承諾を得る必要アリ!)。



この改正は,宅建業法の項目中,媒介契約書・35条・37条と多岐にわたって影響があります。以下,それぞれの項目における改正内容を確認することにしましょう。


《媒介契約書とインスペクション》
宅建業者は,既存住宅の“売買・交換の媒介”においては,「媒介契約書」に,次の事項を記載する必要があります。
 ↓
● 建物状況調査を実施する者の『あっせん』に関する事項
 ↓
なお,“貸借の媒介”では,そもそも媒介契約書の交付義務自体がないため,インスペクションに関する規定も『対象外』となります。
※ 以下,出題される可能性が高い“売買の媒介”を前提に説明を続けます。
 ↓
宅建業者は,媒介契約書に“建物状況調査を実施する者のあっせんの有無”を記載する必要があるため,売主または購入希望者などに対して,この調査の制度概要等について紹介することが求められます。
(その上で,売主または購入希望者等の希望があり,あっせん可能な場合は,具体的な手配を行います。)
 ↓
また,建物状況調査の実施費用は,依頼者(売主、購入希望者など)が負担するのが一般的と考えられますが,依頼者が,宅建業者に対して,媒介報酬と別にあっせん料を支払う必要はありません
(建物状況調査を実施する者のあっせんは,媒介業務の一環として行われるからです。)


《35条とインスペクション:その1》
既存建物(中古建物)では,次の事項は,“売買・交換・貸借(貸借の代理・媒介)”を問わず,重要事項として説明が必要となります。
(インスペクション関連で“貸借が適用対象”となるのは,ここだけ…絶対暗記!)
 ↓
● 建物状況調査を『実施しているかどうか』
 (実施後“1年”を経過していない調査に限る!)
● 上記調査を実施している場合におけるその『結果』の概要
 (対象部位ごとの“劣化事象の有無”などを説明する!)


《35条とインスペクション:その2》
既存建物(中古建物)では,“売買・交換”に限り,次の事項を,重要事項として説明する必要があります。
 ↓
● 設計図書,点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する『書類』で国土交通省令で定めるもの(建築確認申請書・建物状況調査結果報告書など)の『保存』の状況
 ↓
宅建業者は,原則として,上記の書類の“有無”について,説明すればOKです。
(書類の“内容”まで説明する必要はありません。)
 ↓
なお,“貸借(貸借の代理・媒介)”の場合,説明は『不要』となります。
(このような書類が必要なのは,通常,住宅ローンの審査やリフォーム工事などの場合であり,貸借では,そもそもローンを組むことも,リフォーム工事をすることも考えにくいからです。)


《37条とインスペクション》
次の事項は,“既存建物(中古建物)の売買・交換”では,「37条書面」に『必ず』記載する必要があります(いわゆる絶対的記載事項)。
 ↓
● 建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の『双方が確認』した事項(例:建物状況調査の結果の概要)
 ↓
ちなみに,当事者の双方が確認した事項がない場合は,確認した事項が“ない旨”を記載します。
 ↓
なお,既存建物であっても,“貸借(貸借の代理・媒介)”であれば,「37条書面」への記載は『不要』となります。



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」に掲載済みです。
(「50日でうかる宅建士」下巻96,106,112ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【宅建業法 (低廉な空き家等の報酬特例)】
(重要度 ★★★)

ここでいう“低廉な空き家等”とは,次のいずれかが『400万円以下』の金額の宅地または建物を指します。
 ↓
● 売買に係る代金の額
(本体価格…消費税等相当額を含まない!)
● 交換に係る物件の価額
(それぞれの物件に“価格差”がある場合はどちらか『大きい』方の金額…こちらも消費税相当額を含まない!)
 ↓
つまり,単なる安価な物件であり,必ずしも“空き家”のみを指すわけではありません(だから,「空き家等」と「」の文字が付いています!)。


この特例のポイントは,以下のとおりです。


《この特例の対象となる取引は?》
『売買・交換』の代理・媒介


《誰から,この特例による報酬を受領できるか?》
『売主』または交換の依頼者からに限定
(買主からは、この特例による報酬を受領できない!)


《この特例による報酬を受領する際の条件は?》
あらかじめ報酬額について依頼者に『説明』し,両者間(宅建業者&依頼者)で合意すること


《この特例が適用された場合の報酬額の上限は?》
18万円+消費税額
(課税事業者の場合は…『198,000円』
 ↓
上記は「媒介」の場合の上限です。「代理」の場合は?
 ↓
みなさんご存知のとおり,売買・交換における代理報酬は,媒介報酬の“2倍”となりますが,この特例によって上乗せできる費用は,媒介のケースと変わりません。つまり,“上乗せできる費用も2倍となるわけではない”ので注意しましょう。



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」に掲載済みです。
(「50日でうかる宅建士」下巻118ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【借地借家法 (“IT重説”関連)】
(重要度 ★)

借地借家法上の定期建物賃貸借(定期借家契約)では,『賃貸人』が,賃借人に対して,“書面(事前説明書)”を交付して,“事前説明”を行う必要がありますが,宅建業法においてIT重説が新設されたことに伴い,次のようなルール変更が行われました。
 ↓
● 「重要事項説明書の交付をもって,借地借家法上の事前説明に係る書面交付を兼ねる…」等一定の事項を記載することで,重要事項説明書(35条書面)と事前説明書の2つの書面の交付を兼ねることが可能に!
 ↓
● 賃貸人から『代理権を授与』された宅建士が説明を行うことで,重要事項説明と事前説明の2つの説明を兼ねることが可能に!
 ↓
● 事前説明書をあらかじめ交付している,委任状(代理権を証する書面)が画面上で視認できたことを確認している…等の条件を満たすことにより,代理人である宅建士が,『ITを活用』して事前説明をすることが可能に!



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」には未掲載です。
(「50日でうかる宅建士」下巻99ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【都市計画法&建築基準法 (田園住居地域の新設)】
(重要度:都市計画法 ★★★)
(重要度:建築基準法 ★★★★)


田園住居地域は,“用途地域の1つ”として新設されました。これにより,用途地域は,現在13種類となっています。
 ↓
なお,名称は「田園住居地域」ということで“専用”の文字が入っていませんが,規制の中身は完全に“〇〇低層住居専用地域”といった趣になっています。
 ↓
試験対策上,田園住居地域は,以下の3つの相違点を除いて“第二種低層住居専用地域と同じ”と考えてください。


《相違点その1:定義が違う!(都市計画法)》
「田園住居地域」の定義は,『農業の利便』の増進を図りつつ,これと調和した『低層住宅』に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域…です。
 ↓
これに対して,「第二種低層住居専用地域」の定義は,『主として低層住宅』に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域…というもの。
 ↓
双方とも,“低層住宅”という共通のキーワードがありますが,“農業の利便”という文言は,「田園住居地域」しか登場しない…また,“主として”という文言は,「第二種低層住居専用地域」しか登場しない…といった違いがあります。


《相違点その2:田園だけの制限アリ!(都市計画法)》
田園住居地域のみ,次のような建築等の制限があります。
 ↓
農地の区域内では,次の①~③等の行為を行おうとする者は,原則として,『市町村長』『許可』が必要となります。
① “土地”の形質の変更
② “建築物”の建築
③ “工作物”の建設
 ↓
許可が不要(例外)なケースは…
● 『軽易』な行為
● 『非常災害』のための必要な応急措置
● 『都市計画事業』の施行として行うもの
 ↓
なお,“国・地方公共団体”は許可は『不要』です(ただし,あらかじめ市町村長に協議する必要アリ!)。


《相違点その3:用途制限が違う!(建築基準法)》
「田園住居地域」「第二種低層住居専用地域」の用途制限の内容は,基本的に同じです。
 ↓
ただし,次の用途は,田園住居地域だけに建築が認められます。
① 2階以下& 500㎡以下『地域農産物』の販売専用店舗や飲食店(例:野菜直売所,農家レストラン)
② 農産物の生産・集荷・処理・貯蔵に供するもの(政令で定めるものを除く!)
③ 農業の生産資材の貯蔵に供するもの



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」に掲載済みです。
(「50日でうかる宅建士」下巻135,139,168,169ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【都市計画法 (工事完了公告後の制限)】
(重要度 ★★)

開発許可制度(開発区域内の建築制限)のうち,工事完了公告後の建築制限(予定建築物等以外を造るのはNGとする制限のこと!)の例外規定について…
 ↓
従来は,“(都道府県は含まれない!)”については,国の機関と知事との協議が成立すれば,知事の許可があったものとみなされるとする特例がありましたが…
 ↓
これが,下記のように改正されました。


● 工事完了公告後の建築制限については,『国・都道府県』等が行う行為は,国の機関や都道府県等と知事との協議が成立すれば,知事の許可があったものとみなされる。



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」に掲載済みです。
(「50日でうかる宅建士」下巻158ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【建築基準法 (接道義務の緩和)】
(重要度 ★★★)

建築基準法の「接道義務」,すなわち道路(自動車専用道路を除く!)に,2m以上接しなければならない…とする制限において,新たな緩和規定が設けられました。



(緩和その1…従来からある緩和規定)
特定行政庁『建築審査会の同意』を得て『許可』したものは,道路に2m以上接しなくてもよい。
 ↓
 ↓
 ↓
(緩和その2…新設された緩和規定)
幅員4m以上の『道』道路除く!)に2m以上接し,“利用者が少数&省令の基準に適合するもの”で,特定行政庁『認める』ものは,道路に2m以上接しなくてもよい。
緩和その1とは異なり,建築審査会の同意『不要』であるのがポイント!)
 ↓
例えば…
「農道」のように,「道」ではあるが,建築基準法上の「道路」ではない…ケースがあります。このような道に接する敷地について,カンタンな審査のみで建築物の建築を認めることにしたのが,緩和その2となります。



ところで…
建築基準法の「接道義務」は,地方公共団体『条例』により,制限を付加する(=より厳しくする!)ことも認められていますが…
 ↓
これについても,以下のような改正が行われています。
 ↓
(新設された制限の付加)
『袋路状道路』のみに接する建築物(一戸建て住宅を除く!)で,延べ面積が『150㎡超』のものは,地方公共団体の『条例』で,接道義務の制限を付加できる。
(条例で行うのは付加のみ。条例での緩和NG!
 ↓
「袋路状(ふくろじょう)道路」とは…
平たく言えば,片方は道路に接続しているが,もう片方は行き止まり…となっている道路のことです。
 ↓
このような道路にしか接していない敷地に,集合住宅などが建っていると,避難の際に危険なので,制限をより厳しくすることができるようになったわけです。



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」には未掲載です。
(「50日でうかる宅建士」下巻164ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【建築基準法 (用途制限:ダンスホール)】
(重要度 ★★)

従来,「ダンスホール」は,風俗営業店として扱われていたため,キャバレーや料理店と同じ用途制限を受けていました。
(特定行政庁の許可があった場合を除き,商業地域準工業地域でないと,建築できない!)
 ↓
これが,次のように改められました。

● 「ダンスホール」風俗営業店から除外し,カラオケボックスと同じ用途制限を受けるものとする。


具体的には…
「ダンスホール」の用途制限は,次のようになります。
(なお,特定行政庁の許可があれば,どの用途地域でも建築OKなのは言うまでもありません。)
 ダウン
《建築できない用途地域は?》
低層住居系用途地域
(=第一種・第二種低層住居専用地域&田園住居地域)
第一種・第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
 ダウン
《建築できる用途地域は?》
第二種住居地域
準住居地域
商業系用途地域すべて(近隣商業&商業)
工業系用途地域すべて(準工業&工業&工業専用)



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」に掲載済みです。
(「50日でうかる宅建士」下巻168ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【建築基準法 (用途制限:ナイトクラブ)】
(重要度 ★★)

従来,「ナイトクラブ」は,風俗営業店として扱われていたため,キャバレーや料理店と同じ用途制限を受けていました。
(特定行政庁の許可があった場合を除き,商業地域準工業地域でないと,建築できない!)
 ↓
これが,次のように改められました。

● 「ナイトクラブ」を風俗営業店から除外し,劇場・映画館等と同じ用途制限を受けるものとする。


具体的には,「ナイトクラブ」の用途制限は,次のようになります。
(なお,特定行政庁の許可があれば,どの用途地域でも建築OKなのは言うまでもありません。)
 ダウン
《建築できない用途地域は?》
住居系用途地域すべて
(ただし,200㎡未満であれば,準住居地域は建築OK!
工業地域
工業専用地域
 ダウン
《建築できる用途地域は?》
準住居地域(上記のとおり,200㎡以上だと建築NG!
商業系用途地域すべて(近隣商業&商業)
準工業地域


(オマケ…時間がない人はスルーしてちょ)
そういえば,前コーナーで「ダンスホール」の用途制限についての改正もありましたよね~(#^.^#)。
 ↓
なんで,改正したかというと,風俗営業扱いだと,未成年者が立ち入れないので“親子ダンスイベント”などに使えないから…ブーイングが出たんですね(笑)。なんせ,義務教育でも,学校の授業でダンスを行う時代になりましたからねぇ~。俺の学生時代には考えられな(以下略
 ↓
んっ,ところで,ダンスホールとナイトクラブって,何が違うんだ。。。???
 ↓
「ダンスホール」は,しっかりと設備を設けて,お客さんにダンスを楽しんでもらう施設です。これに対して,「ナイトクラブ」は,ダンスだけじゃもの足りないぞ…飲食もさせろォ~という施設。。。だから,ダンスホールよりドンちゃん騒ぎの可能性のあるナイトクラブの方が,用途制限は厳しくなっています。
(ちなみに,先生がダンスを教える社交ダンススクールなどは,学習塾なんかと同じ括りなので,従来から別扱いです。。。ご参考までに)



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」に掲載済みです。
(「50日でうかる宅建士」下巻168ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【建築基準法 (容積率の緩和:老人ホーム①)】
(重要度 ★★★)

従来から,地下室で“住宅の用途”に供する部分の床面積は,“3分の1”を限度に,延べ面積に算入しない…とする容積率の特例がありましたが,下記のとおり,この特例の対象が拡大することになりました。

● 住宅地下室の床面積を延べ面積に算入しない特例について,新たに老人ホーム等を適用対象とする。



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」に掲載済みです。
(「50日でうかる宅建士」下巻173ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【建築基準法 (容積率の緩和:エレベーター)】
(重要度 ★★)

従来から,共同住宅の“共用廊下・共用階段”に供する部分の床面積は,延べ面積に算入しない…とする容積率の特例がありましたが,改正により,下記の特例も加わることになりました。

● 政令で定める昇降機の昇降路の部分も,延べ面積に算入しない…ものとする。
 ↓
 ↓
 ↓
この改正のポイントは,次の3つ!
 ↓
 ↓
 ↓
1) 政令で定める昇降機とは,エレベーターのみを指す。
(だから… “エスカレーター”は,この特例の対象外となる!
 ↓
2) “共用廊下・共用階段”のように,共同住宅に限定されない
(だから… “オフィスビルや戸建て住宅”も特例の対象となる!
 ↓
3) あくまでも容積率についての特例である。
(だから… “建ぺい率”には,このような特例はない!



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」に掲載済みです。
(「50日でうかる宅建士」下巻173ページ参照)


――――――――――――――――――――――――
【建築基準法 (容積率の緩和:老人ホーム②)】
(重要度 ★★★)

従来から,共同住宅の特例(共同住宅の共用廊下・共用階段に関する容積率の特例)がありましたが,下記のとおり,この特例の対象が拡大することになりました。

● 共同住宅の“共用廊下や共用階段”に供する部分の床面積を延べ面積に算入しない特例について,新たに『老人ホーム』等を適用対象とする。



この改正により…
いわゆる住宅2大特例(住宅地下室の特例&共同住宅の特例)のいずれも,老人ホームが対象となりましたので,セットで覚えてしまいましょう!



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」には未掲載です。
(「50日でうかる宅建士」下巻173ページ参照)


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【建築基準法 (容積率の緩和:宅配ボックス)】
(重要度 ★)

従来から,共同住宅の共用廊下・共用階段内にある「宅配ボックス」については,前コーナーの緩和規定により,延べ面積に算入しない…とする容積率の特例がありましたが,下記のとおり,この特例の対象が拡大することになりました。

● 『宅配ボックス』の設置部分については,“一律に(=共同住宅でなくても)”,延べ面積に算入しない
(ただし… 各階の床面積の合計の『1/100』が限度となる!)



この改正点は… 
「50日でうかる宅建士」には未掲載です。


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今回の“法改正”講座は…以上です。






【制作・著作】
たっけんコム(http://www.takken.com/)代表 保坂つとむ

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