備忘録的に、最近感じていることを記しておく。

家・工場の新改築・移転を通して、断捨離の大切さを痛感しているわけだが、

捨ててはいけないもの、捨てたくないもの、

いわゆる「大事(だいじ)なもの」というのを、

ちょっと客観的に分析する気持ちになった。

ものを捨てる、整理するについては、人を頼んだり処分場にもっていったり、当然のように時間・コストがかかる。

カネや時間が最も大事だとすれば、捨てないこと、整理しないことが一番だが、
それによって(カネや時間も含めて)いろいろ大事なものがごっそり失われる、というのは、

このブログのこの書庫(テーマ)でも、繰り返し書いてきたことである。

大事なもの、というぼんやりしたくくりでは、

どちらが大事か、なぜ大事か、という判断が下せず、
結果として断捨離が進まず、損失につながる。

 

私見で試案ではあるが、

大事なものというのは、以下の七種類であろう、と思っている。
覚えやすいように、やや強引ではあるが、すべて「かきくけこ」の「か行」の頭文字でまとめてみた。

ご意見、反論、大歓迎である。

1.カネと金目(かねめ)のもの
「お金は大事だよ~」というCMがあった。儲かる、得をする、は、人を引き付ける常套句だ。

ただ、カネそのものは、たとえば災害の現場で現金の札束をふりまわしたところで、大した役には立たない。
カネの価値は、労力や時間も含めた多くのものと、時空を超えて、即座に交換できる、ということである。

そして、金目のものとは、
そのカネに、同様に、時空を超えて交換できるもの、とでもいうべきだろうと思っている。
購入のために大枚を払ったものは、たいがい、それに見合った価格で転売できるもので、

それを称して「金目のもの」というのだろう。
 

2.神仏(かみほとけ)に関するもの

近代以降、宗教の影響力は弱まったと思われているが、依然として宗教は偉大である。
個人の欲望や幸福を超えて、人類の未来につながる考え方である。

国の統治や経済の仕組みも、実は宗教が支えていたりする。
社会主義・共産主義・資本主義も、ある種の宗教ではないか、と思っている。

そして、神仏に関することは、難しくもなければ、非日常でもない。
仏壇、神棚、お参り、ないがしろにする人より、信心深い人の方が、圧倒的に人々に尊敬されている。

 

3.記念、記録の品
メダルやトロフィー、勲章、賞状、新聞の切り抜きや広報誌、チラシ

記念写真、旅行の写真、家族写真

それ自体には客観的な価値はほとんどないが、

本人関係者にとってはかけがえのないもの、本人の一部でさえある。

 

4.食えるもの、食うためのもの

まだ着られる、まだ食べられる、は、断捨離の強敵である。
着るものは「だってここ1年着なかったでしょ?」で捨てられるが

賞味期限の残っているもの、
酒や調味料類、使いかけでいつから冷蔵庫にあるのかわからなくなったもの
そもそもの「保存食品」など、

大事といえば大事である。
食器や調理道具、調理機械など、使わないのにとってあるものも多い。
多くは、捨てても構わないが。
いざというとき命をつなぐため、実は一番大事なのは食い物なのである。

 

5.健康のため
健康保険証、医者の受診票、今だったらワクチン接種証明やマスク
薬に健康食品、健康器具

旅行や、非常時持ち出し袋に、忘れてはならない、

食い物同様に、必要な人にはどうしても必要なものである。
 

6.権利とその書類

たとえば持ち家であろうと借家であろうと、

持っているのは「その家を使う権利」である。
権利書や契約書、貯金通帳や株式口座の記録など、
カネがらみの権利は書面になっていることが多い。

「もの」ではないが、日本人には「人権」が、憲法で保障されていて、

理由なく逮捕されたり、自由を奪われたり、差別されたりしない。

国を守るために軍隊を持つべきだという人のなかには、

この人権意識が低い人が多くて、閉口する。

 

7.こどものために

血を分けた、といわれる自分の子どもはもちろん、

あらゆる国の子どもたちは尊重されなければならない。

3に書いた、「記念・記録」も、自分のことより、子供の成長の記念・記録を、人は大事に思ってしまう。

赤ん坊の時の哺乳瓶やよだれかけ、おむつまで、大事にとってあったりする。

 

以上七つに分類して、

直前に書いた「子供の記録」のように、

理由がいくつかにまたがるものもあることにお気づきだろう。

それを「意識」すればどうかというのが、この稿の提案である。

 

こうやって分析してみれば、
本当に大事なもの、というのは意外と少ない。
 

大事なのは、ものではなく、人生そのもの
残された時間をいかに充実させるか、ということだろう、と

私は思っている。

 

 

(写真は、3年前の出町子供歌舞伎曳山)