「俺たちもそろそろ下りようか。新聞も持っていかないとおとんが怒るだろうし」
「うん。下りましょ」
二人で下りてリビングに入ると、おかんはすでにお雑煮作ってるのとおせちの準備のようで台所にいた。おとんも起きていてリビングのソファに座ってボーっとテレビ見ていた。志奈子は洗面所で顔でも洗ってるのだろう、いなかった。
「おはようです、明けましておめでとうです。今年もよろしくお願いします」
「おはようございます。明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます」二人異口同音に近い調子で挨拶。深々とお辞儀したものだから俺も釣られてお辞儀した。
「あぁ、おはよ。今年もよろしく」おとん。
「おはよう。今年もよろしくね」おかん。既におせちは食卓に置かれていた。いろんな料理が用意されてたけど、俺は数の子しか食べないのがクセとなっていた。
「わぁ、美味しそう。時間かけて作ってくれてアリガト」俺。
「あんた、朝からどこ行ってたの?物音聞こえてたけど。ま、いいからお座りなさい」おかん。
「裕美さんと初日の出見に大井戸公園行ってきた。ちゃんと拝めたよ」俺。
「寒いのによく行ったね。裕美さんもきちんとお日さん見れた?」おかん。
「はい。寒かったですけど気持ち良かったです。太陽も綺麗に見えました。お世話になりっぱなしばかりですみません。何かお手伝い出来ることがあったら声かけてください」裕美。
「もう遠慮なんていいのよ。あなたはウチの家族みたいなもんだから。立ってたらしんどいでしょ、どうぞ座って。お父さんもご飯出来たから来て」おかん。
「父ちゃん、ごめん。新聞部屋で見てた」と言ってソファのおとんに新聞渡し食卓の丸椅子に座った。新聞を開きかけたおとんだったが黙って食卓に座った。リビングのドアが開き志奈子も入ってきた。
「おはよう。今年もよろしく」回りに軽く会釈。今日は普段着の格好。当たり前か。
「志奈子、お雑煮運んで」おかん。
「私にさせてください」裕美。とそのままお盆にお雑煮のお椀取って食卓に運んだ。
「じゃ、みんな揃ったことだし、いただきます。今年もよろしく」おとんが言って、
「いただきます」お箸を取って食べ始めた。
「うん、久しぶりのお雑煮も美味しい!」志奈子。
「母ちゃんの料理は何作っても美味しいもんな」俺。
「どういたしまして。鮫行、お餅3つじゃ足りないでしょ。お代わりあるからね」おかん。
「アリガトです。彼女のもある?」俺。
「もちろん。いくらでも食べてちょうだいね」おかん。
(続く)
