遠い星240(TDL編37) | たろすけ日記
「志奈子ちゃんなら分かるよね?志奈子ちゃんから言ってみて」

「・・・裕美さんが言いたかった一言は『私のこと嫌いなんだ』ってことかな?」

「そうです。アリガト。鈍感なあなたにも分かりましたか?」

「あ、そうおっしゃってましたね。失礼しました。いつもの口癖でしたか。でも、喜怒哀楽の激しいあなたといるのはとても楽しいことです」

「どういたしまして。優柔不断なあなたからやっと出た『好き』って言葉に私も安心しました。フフ、フフフ・・・」

「ハ、ハハハ」二人笑い始めた。私にはこの呼吸がよく分からない。他人行儀な言い方でどうして息が合うんだろう。これが恋人同士の会話なのかな?やっぱよく分からない。でも、これで一人寝は避けられたんだ。

「良かったぁ。じゃこのまま3人でおにいの部屋に行くんだね?」

「そういうこと。何もなしで帰る。お前のこと忘れとった。悪かったな」

「志奈子ちゃん、ゴメンね。今日は二人でゆっくり話しましょうね。昨日みたいにバタンキューはないからね」

・・・ひと悶着?の飲み会もこうして終わった。長いようで短かった2時間だった。帰り道、二人はいつも以上にイチャイチャしてて電車の中でもずっと手を握って話してた。気付いたように私に話しかけてきたけど、私は完全に除け者だったな。

ちょっとした些細なことで揉めてその後は前以上に仲良くなる。恋人ってそんなものなの?私もそういう彼氏欲しい。あ~、テニスばかりの毎日だったもんね。私にもときめきとかに出会ってみたいな。二人見てるとつくづくそう思った。

21時前におにいの部屋に戻り、お風呂じゃなくてシャワー浴びた。おにいが言いだしっぺだけど今日は順番逆で裕美さんから先にってことになった。おにいもお酒はもうダメみたいで戻ってしばらくボーっとしてたけど、ゆっくりパソコン開いていつものようにネット始めた。私はといえば裕美さんのシャワー終わるまでおにいのパソコン見てた。ロフト上がってテレビ見たい気分じゃなかったし、ましてやDSのワンセグなんて見たくもなかったし。相変わらずネットやってるおにい(でも画面が変わらない。眠いんだろうね)に、

「何かあっという間やったね。東京って私が期待してたほどの街じゃなかったのが残念やったけど」

「そやな。テレビとか雑誌とかネットに載ってる東京の街なんて、結局はただ人が多いだけのところかもな。もっともここにしかない限定品ってのがたくさんあるんやろうけど。・・・原宿と新宿ただ歩いただけで終わったけどどうやった?不満やろな。歩くだけで人ばっかり見ただけやもんな。ま、ここは一人で暮らすには寂しすぎるとこやろな」

「うん。まだ慣れてる梅田とか難波の方が私には合う。・・・そんなことよりも、ねぇ」

「ん?」

「さっきの居酒屋の話だけど、裕美さんにあんな自己中な話ってよく振ってんの?」
(続く)