イノセント13 | たろすけ日記

翌朝、目が覚めると回りが一変してた。私の部屋じゃない!ここはどこ?女の子の部屋らしいのはわかる。ベッドにしてもカーテンにしても机周りにしても女の子らしい作りになってる。鏡があったので見た。知らない顔がそこにあった。誰これ?こんな子知らない。愛くるしい顔してるけど私じゃない、あんた誰なの?びっくりして一旦深呼吸しようとベッドに座って深呼吸。でも何も変わらない。そう言えば裕美に似てるなって思った。ホント裕美そっくり!でも、私はどこに行ったんだろう?もしかして誰か=この子と入れ替わったんだろうか?とすると私に代わった誰かは武蔵野の私の家にいるのか?全くもってわからない。わからないことだらけだ。時刻は7時になっていた。

 

とにかく、私は部屋を出た。やっぱ2階だ。子供部屋は2階ってのが普通なんだ。階段降りてリビングに。誰かいるようだが慌てない、

「お早う、翔子」入って早々言ってきたのは垢抜けた女性。ひょっとしてこの人が彼女の母親だろうか?びっくりだったのはこの人とても綺麗だなって思ったこと。どこかの女優に似てる。誰だっけ、そう、内田有紀だ。こんな人が母なら子供はみんな喜ぶだろうな。この子は幸せだなって思った。

 

「お早うございます」そういやまだ顔洗ってなかったな。「すみません、顔洗ってきます」そう言ってリビング出て洗面所に。どこかなと探してるとすぐ見つかった。ちっちゃな家だもんね。でもここどこだろう?東京だってことはわかるけどそれがどこかってことになるとわからない。ま、いい。私は武蔵野の家に帰るんだ。父にはっきり言おう、私は娘の吉野朔美であることは間違いないんだ、と。顔も変わった私に父がどう反応するかわからないけどね。それとこの子しょうこっていうんだ。どんな字かわからないのでひらがなで書いた。しょうこか、いい名だね。朔美よりはずっといい。歯磨きもしようと思ったけど人の歯ブラシは使う気もなかったので顔だけ洗った。タオルも未使用の探してあったのでそれ使って洗濯機に入れた。そのまま戻ると、

 

「翔子、パンでいい?」と訊かれたので、

 

「はい、お願いします、って前に手伝いましょうか?」と言うと、

 

「いいわよ、このくらい。あんたは食卓に座ってなさい」との返事だったので食卓に座った。正直嬉しかった。母との会話、そんなの生まれてからなかったことだったから。おまけにこんな美人となんて。この人ロウソク長い。待ってるとまた誰かが入ってきた。父親だろうか?いや違った。入ってきたのはこれまた美人。新垣結衣と間違えそうな人だった。どうも年上っぽい。この人は姉なんだろうか?この人もロウソク長い。

 

「お早う、翔子、あんたも早いね」

 

「お早うございます、あの、お姉さんですか?」

 

「はぁ、あんた何言ってるの?お母さん、私もパンお願い」そう言って姉も食卓に。

 

「す、すみません。あなたみたいな方が姉さんだと嬉しいなって思ったものですから」

 

「お母さん、翔子どっかおかしい」そう言うと姉は私の額に手を当てた。「熱はないな」

 

「ご、ごめんなさい、変なこと言っちゃって。私別にどこもおかしくないです。ちょっとど忘れでもしてるみたいなんです」

 

「ど忘れ?どうしたのよ、旅行楽し過ぎたの?」

 

「旅行?どこか行きましたっけ?」

 

「はぁ?あんた寝ぼけてんの?」

 

「いえ、全然です。ちゃんと起きてます」

 

「お母さん、翔子やっぱおかしい」