「どれどれ」朝食持ってきた母は姉と同じように額に手当てた。「熱はないね」親子だな、私にはできそうもない。「翔子、あんたは私たちと一緒に北海道行ったのよ」北海道!?行ったことないな。凄い家族だな。お金持ちだって思った。
「そ、そうですよね、北海道行ったんですよね。楽しかったですね」
「北海道のどこ行ったのか覚えてる?」
「北海道は広くて広くて・・・わかんないですね」
「はぁ、あんたが絶対行くって言ってたとこだよ」
「そんなこと言われても・・・」
「まぁいいから、朝ごはん食べなさい」母。
「はい、いただきます、っとお母さんは?」お母さんか、そう呼べる人もいたのにな。経験ないけど。カリッと焼けたパン美味しかった。いつもはほとんど一人で食べてるからそう思えるんだろう。
「私は後でいいから食べなさい、早くしないと拓実君来るわよ」母
「たくみ君?あの、たくみ君って誰ですか?」たくみ君って誰だろう?
「あのねー、あんたの一番大事な人じゃない」姉
「大事な人?それってお父さんですか?尤も君っておかしいですけど」
「お父さんもあんたには大事な人だけどそれ以上に大事な人じゃない、彼って!」姉
「・・・それってもしかして彼氏とかですか?」言語道断だ、付き合った経験ないのに!
「そう、彼氏。あんたの将来の旦那になる人」姉。驚きだ、もう婚約してるなんて。このしょうこって子凄いなと思った。
「す、すみません、私の年齢っていくつなんでしょうか?」とっさに思ったこと言った。拓実君て多分私と同じ年に思う。
「19」姉。ってことはこの子私より一つ下なんだ。姉が素直に言ってくれて有り難かった。でも19で婚約なんて大胆、私にはできないな。
「有難うございます、お姉さん」
「ねぇ、あんたホントに大丈夫?」姉
「は、はい、大丈夫です、拓実君がどんな人なのか興味津々ですね」いや、会いたくないって気持ちが強い。男は嫌いだ、「モンスター」の影響かもしれないけど。
「興味津々ってあんたたちほとんど毎日会ってんだけど」姉
「す、すみません、失礼しました。でも会ったことないのは事実です」
「もういいわ、拓実君が解決してくれるでしょうね」姉
「わかりました、ふー、お母さん、ごちそうさまでした」お皿取って洗い場で洗おうとすると、
「翔子、それはいいから準備しなさい」そう言われると返せない。
「わかりました、」2階に上がる。でも、私の財布とかはない。このしょうこって子の財布あったのでカバンに押し込む。ついでにこの子のスマホも。このカバンにしてもスマホにしても私のじゃない。ホント、これからどうなるんだろう?私のものじゃないもの持って出ていくなんてね。恐ろしいことに思った。まさか人の財布持ってくなんて。タンス開けるとこれまた変わってる。ズボンというかスキニーしかない。このしょうこって子変わってるなって思った。これだけ可愛い顔してんのにスキニーだけなんてね。よっぽど男に興味ないんだ。でももう彼氏いる。しかも婚約までしてる。まぁいい、多分彼が何とかしてくれるだろう。困った私はしょうこそのものなんだから、彼氏なら何とかしてくれる、そう思い私もスキニー穿いた。これでいい。あとはたくみ君とかって人が解決してくれる。そうして1階に下りた。