2015年にOTC(Over The Counter)医薬品として初めて虫歯予防薬の洗口液が認可されて以来、
各種の効用を謳った洗口液がドラッグストアやコンビニのオーラルケア用品コーナーにおいて溢れるように置かれています。

OTC医薬品とは
薬屋さん、ドラッグストアで「市販薬」と呼ばれてきた薬品が、2007年に”OTC医薬品”の名称に変更された。
医薬品上の分類では、
・OTC医薬品:薬局・薬店・ドラッグストアなどで処方せん無しに購入できる医薬品
・医療用医薬品: 主に医師が処方する医薬品 とされる。
OTC(Over the Counter)の略号で、カウンターを通して販売する薬からきているという。

出典:日本OTC医薬品協会 『OTC医薬品とは』より

洗口液とは

現在、販売されている洗口液には歯垢(プラーク)の生育を抑える効果があり、ブラッシング後の効果が期待されます。
洗口液はうがい薬に他なりませんが、歯科で扱う”うがい薬”には、含嗽剤、洗口液、液体歯磨き等があり非常に混乱しやすい状況になっています。各々、その効用から使い分けをしています。このあたりは、別稿によりご紹介したいと思います。

OCTの洗口液には、有効成分として殺菌剤が入っているもの(医薬品医療器機等法上の分類で「医薬部外品」)と入っていないもの(同法上の分類で「化粧品」)があります。

それらの殺菌剤にはプラス(+)に荷電した塩化セチルピリジニウム(CPC)のほかに、電荷を帯びていないエッセンシャルオイル(精油)やイソプロピルメチルフェノール(IPMP)などが使用されています。

なお、歯科医院専売の洗口液には、欧米の臨床研究でプラーク付着抑制効果が他の殺菌剤より高いことが示されたプラス(+)に帯電したグルコン酸クロルヘキシジン(CHG)入りのものがあります。

しかしながら、副作用を防止するため、日本では極端に低濃度のものしか販売されていません。

従来より殺菌効果を謳ったアルコール含有の洗口液がありますが、その濃度から明確な効果は期待できず、含んだときの刺激(ピリピリ感)が大きいことから、最近ではノンアルコールの製品で、その表示を大きう貼付した商品が増えています。

洗口液はブラッシングに必要か?

ブラッシング指導を行っている患者さまより、よく質問があるのが

『”洗口液”は使用した方が良い?』
です。

洗口液の効能を充分に理解してその効果を期待されていれば、”はい”とお答えしています。

しかしながら、洗口液なしにブラッシングだけでは不十分かといえば、決してそんなことはありません。
ケースバイケースですが、ブラッシングのみで、う蝕(虫歯)・歯周病がご自身でよく管理されていると判断されるのであれば、
『必ずしも必要ではありません』とお答えしています。

しかしながら、ブラッシングに加えできれば洗口液が必要と思われるケースとして、下記のようことが挙げられます。

1)歯ぐきが下がり、歯の根の部分がのぞいている場合(歯根露出という)
2)矯正装置をつけている場合
3)う蝕(虫歯)の前段階である歯の脱灰が多数の歯に見られる場合
4)口腔乾燥症のためう蝕リスクが高いケース

これらでは、ブラッシングに加えて洗口液を併用することが推奨されています(下記、文献1)より)。

洗口液の使用は、
その効果と患者さまご自身のお口の状況をよく歯科医院でお聞きになることが大切です。


■文献

  1. Zayan, M. H. : Dentifrices, Mouthrinses, and Chewing Gums. in : Norman O. Harris, Franklin Garcia-Godoy, Christine Nielsen Nathe : Primary Preventive Dentistry (8th Ed)., London : Pearson, 2014.