茶室建築展&相談会in銀座では、会場に点前台を持ち込んで、一服お点てします。その道具組、大した道具は持ち合わせていませんが、手持ちの道具を取り合わせれば、こうした思いで茶室の設計をしています、という表現の場になるのでは、と考えています。掛物を掛け、花を生け、香を焚き、菓子を用意し、茶を点てる。建築展&相談会ですが、その準備は茶事の準備のようで楽しい。

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生ける花を探しに「野の花司」へ。先日東京で仕事をした折に建築主のKさんより教えていただいた。情報ありがとうございます!

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会場のフラッグ・ギンザ・ギャラリー。短期間でも利用可能、費用もリーズナブル、丁寧に対応してくださり大変お世話になりました。O様ありがとうございました!

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点前台の様子。

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中板は奈良の古寺の門の板。中板にはわずか寸法が足りず、継接ぎになっていますが、それもそれなりの景色になったのでは。どこにどれをいくつで継ぐかなどは、詳細な図面を作成して、奈良の女性木工作家さんに製作していただいた。本来は建築主様の茶室のため製作したものだったのですが、事情で茶室計画が中止となってしまったので、私が譲り受けることに。

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風炉先屏風は、天袋の小襖を折矩に立てて並べて。仮のものなので裏でドラフティングテープで止めただけ、ですが。常日頃からこうした襖は探していて、気に入っていただけるお客様がいらっしゃれば設計に盛り込んでいきたいと考えています。この襖の引き手は桂離宮松琴亭二の間の天袋栄螺文七宝引手の写し。

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水指は京都亀岡の現代作家、明主航さん(1990-)の作品。京都東福寺のカホギャラリーさんで展覧会をされた時に購入。蓋を合わせて水指にしているのですが、もうちょっと蓋はなんとかしなきゃ。茶碗は刷毛目。「水辺の茶室」の建築主さんより茶室完成時に頂いたもの。茶杓は越沢宗見(1886-1970)銘「清涼」、こちらは「伏見の離れ」の建築主さんより頂いたもの。棗は本来指物師ですが、塗師もしたという七代利斎(1770-1855)松尾流家元の花押。一応私が名古屋出身ということで。

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花入は天神さんで入手した籠。自宅で日常的に使用しているもので、落としは生けやすいようにペットボトルを加工したもの。展覧会では目が近くペットボトルがよく見えてしまっていたので、ちゃんとしたものを用意しないといけないと反省。

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掛物は、オットー・ワグナーのウィーン郵便貯金局の図面。関谷正昭(1942-2002)撮影によるポートフォリオ。掛軸のようなプロポーションなので、普段自分の仕事場にかけて楽しんでいる。私の建築の師匠と関谷さんが仲良く、ウィーンに撮影に行く時に、当時大学院生のアルバイトだったにもかかわらず同行させていただき、大変貴重な経験をさせていただいた。そんな思い出話とともに。

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扁額は水車の古材で大綱宗彦(1772-1860)「めでたくかしく」。一休さんはその字が特に好きなのですが、その生き様にもどこか惹かれます。「にくげなしこのしゃれこうべあなかしこ めでたくかしくこれよりはなし」こうした禅の言葉は、説明を受けてわかった様な気になっても、いざ人に説明しようとすると全然理解できていないことに気がつきます。炉辺において折に触れてその意味を考えて行きたいと、いつか作る自分の茶室の扁額にする予定。

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写真パネル。四年前、神戸で展覧会をした時に作成したものを転用。その後にも、いくつも茶室の仕事をさせていただいた。よりよく次の仕事につなげるためにも、これまでにさせていただいた仕事を省みなければならない。

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お菓子は、亀末廣の絹のしずく。ここから暖簾分けしたお店がたくさんある老舗中の老舗ですが、デパートなどには出店せず。手を広げすぎず、目の前の仕事に誠実に向き合う、そんな風に設計の仕事もやっていきたい、と考えています。