いつもいろいろなお茶会やお茶事にお誘いくださるINさんより、蓑庵の中でお茶をいただけるチャンスがありますよ!と教えていただく。結構な会費だったけれども、これは行かねば!と申し込みをして楽しみにしていた。そしていよいよ今日がその日。INさんいつもお気遣いいただき有難うございます!

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受付を済ませると、本堂でお道具の解説。襖絵は狩野探幽。最近は高精細のレプリカも多いがここは本物。普段設計では襖の仕様を決めたりしているので、気になるのは絵そのものよりも、下地の紙の継ぎ目が目立つこと。素晴らしい表具の技術で修復すれば綺麗になるのだとは思いますが、経年変化した時にこうして下地が浮き出るのは、そもそも当初の仕事がどうだったのだろうか、とも思ったり。表具の世界も奥深いので、機会があれば表具師さんに一からご教示いただきたい。

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本堂で三友居の点心をいただいたらいよいよ南明庵へ。

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南明庵。下屋の瓦は蝋燭桟瓦。平瓦と丸瓦を一体化させた瓦で、桟瓦の最も古い時代の瓦で、1600年代に登場しているとか。名前は桟部分の形状が蝋燭に似ていることから。メーカーに型があれば、こうした瓦を使うことも可能なのかも。古式の雰囲気を出したい時にはこうした瓦を使うのも一興か。

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南明庵に入り、御位牌にご挨拶をしたら、解説を聞いてお菓子。お菓子は虎屋の小倉野。お仏壇は襖で締められるようになっていて、金箔が美しい。昔の金箔は今ほど薄く伸ばす技術がなかったので、厚く小さいのだとか。

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お菓子をいただいたら腰掛け待合へ。潜りを抜けて。

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潜り脇の四つ目垣。

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外腰掛け待合。

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座面は様々な板幅の板をランダムに張る「屑張り」。壁は長スサ入り、足元をおそらく竹などの壁留めが入っていたのを、修理で塗り込めてしまったように見える。

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垂木は竹、小舞は杉の削り木という取り合わせ。広小舞はナグリ仕上げが珍しい。案外と目につくところなので、ちょっとした仕事をアピールするには効果的な箇所かも。

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これから小間に行くけど、目の前には大きな四角い塵穴。

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水屋の窓。突き上げられた掛け雨戸。板庇付き。

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躙口へと至るまっすぐな延べ段。

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蓑庵の外観。先にお正客。私は次客でした。

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外壁も長スサ入り。最近の仕事か、ちょっとうるさく感じられる。足元は腰掛け待合同様、壁留めが外されて塗り込まれているよう。

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突き上げ窓と屋根。

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苔むした突き上げ窓、扁額はほとんど文字が読めない。ちゃんと彫った?屋根は小舞ケラバ。棟は二本ずつ四本にはせず、二本であっさりと。