昨日、「枯れることを許せなかった人」というタイトルで香川照之さんのことを書いたら連鎖的に思い出した人がいたので今日はそれを書いてみようと思います。
それは、
枯れているように見せて実は全然枯れていなかった人のこと。
私がそう感じている人は、2018年にお亡くなりになられた「樹木希林」さんです。
樹木希林さんと言えば、老いに逆らわず、病にかかっても積極的治療を拒み、自然に逆らわずに枯れていく、という人生を送られた方だと世間では思われていると思います。
そして、「自然派」がトレンドになってくると同時に、彼女の晩年は良き老い方の1つとして語られることが圧倒的に多かった気がします。
しかし私は、そのように語られる晩年の彼女に何となく違和感・・もっと悪く言ってしまえば胡散臭さを感じていました。
でもその感情が何からくるのかわからなかった。
しかし、その胡散臭さを解明してくれたのが、ビートたけしこと北野武さんでした。
「家政婦は見た」でおなじみの女優の市原悦子さんが亡くなられた2019年に、その訃報を土曜の情報番組「情報7daysニュースキャスター」で報道しており、その報道の際に北野武さんが市原悦子さんと共演した際のエピソードとして言われたこと。
樹木希林さんが亡くなったのが2018年9月15日、市原悦子さんが亡くなったのが2019年1月12日。
亡くなられた時期が近く、2人は世代を代表する庶民派女優でしたので、よく2人を一緒にして訃報を語られることが多かったと記憶しています。
市原悦子さんの略歴や過去の出演ドラマが流れた後、北野武さんが市原悦子さんとのエピソードを話されました。
樹木希林さんって女優は、脇役であってもどこかで「主役を食ってやろう」という気合がにじみ出てしまう人だった。
主役のセリフの後に言う自分のセリフで食ってくるというか、演技のうまさを見せてやろうとしてしまうところがあったんだよね・・。
しかし、市原悦子さんはそれがまったくなかった。
脇の時は本当に脇にいる人だった。
しかしリハーサルまでにはきっちり台本を暗記してきていて、自分のセリフまでフォローしてくれた。
そんな内容のエピソードでした。
北野武さんは、そこで樹木希林さんの演技をどうこう言うつもりはなく、市原悦子さんという女優さんがいかにすごい人だったかということを伝えたかったのだと思いますが、さすが世界の北野武。
人を見る感性が鋭いなあと思いました。
世間的な認知度は樹木希林さんに比べれば低いであろう市原悦子という女優さんに向けての最高の弔辞だよね。
そして、そのコメントを聞きながら、自分が感じていた胡散臭さはこれだったのかもしれないな、と思いました。
強烈な自己顕示欲を、その逆張りをすることで隠してしまう。
でも、隠すということは、バレないように気を張り続けるわけなので、それは自然体ではないのだ。
そこに私は何となく嘘っぽさを感じていたのだろう。
まあ考えてみたら、樹木希林という芸名だけとっても控え目なわけがないわけで、それがいつしか「自然体な人」となったことに、本人はどこまで自覚があったのだろうか。
50歳を超えた自分にとっても大きな問題となっている、この「人生いかに枯れていくか」問題(笑)。
だらだらと2日にわたって書いてみたわけですが、本当にうまく枯れていくって難しいわ。
なんだかひねくれた内容になってしまったので、もう最後にまた書いてしまうと、私は瀬戸内寂聴という方も嫌いでした。
あの方の場合、「仏門」という欲から一番遠いところに行こうとしたのが嫌なんですよね。
でも最後の方には世間にも本性がバレていて、本人もそれを自覚してか高級牛肉と赤ワインを毎日食べて飲んでいる、と公言していたので去り際よしということで往生できたと思いますが。
南無南無。
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