上司
「(頭の上で手を叩いて)店員さーん!」

店員
「はーい!」

上司
「ビールジョッキで2つ。
 あと唐揚げ2人前。」

店員
「はい、かしこまりましたー。」

上司
「ちょっと相談があるんだけど・・・。」

部下
「・・・何ですか、改まって。」

上司
「3年ほど前なんだけど・・・。」

部下
「ずいぶん前の話をしますね。」

上司
「実家に帰って友だちとブーメランを投げて遊んでたんだよ。」

部下
「遊びのレパートリーにブーメランがあるってなかなかですね。」

上司
「そのときに1つだけブーメランを無くしちゃってね。」

部下
「まぁ遠くに飛ばすものですからね。
 無くすこともあるでしょう。」

上司
「探したけど見つからなかったから、
 無くしたんだろうって結論で終わったんだけど・・・。」

部下
「はい・・・。
 それで?」

上司
「この前、その実家の友人から連絡があって・・・。」

部下
「はい。」

上司
「3年前に投げたブーメランが俺の方に向かって飛んでいくのを見たっていうんだよ。」

部下
「・・・。」

上司
「・・・。」

部下
「・・・ひとつ整理していいですか?」

上司
「どうぞ。」

部下
「・・・これは『怖い系』の話ですか?
 『面白い系』の話ですか?」

上司
「怖い系、怖い系。」

部下
「あぁ。
 では、そっちのトーンで相談に乗りますね。」

上司
「どうしよう。
 今、こうしている間にもブーメランが俺めがけて飛んでると思うと落ち着かないんだけど。」

部下
「3年かけて投げた人の手元に戻ってくるってことですか?」

上司
「そういうことだね。
 ずっと飛んでたんだよ。
 俺が息子をあやしてる時も、部長の昇進試験受けてる時も、英会話スクール通ってる時も。」

部下
「まぁ、でも飛んできたら受け止めればいいじゃないですか。」

上司
「いつくるかわからないんだよ。
 お風呂入ってる時かもしれないし、寝てる時かもしれないし、通勤してる時かもしれない。」

部下
「拍手起きますね。
 通勤電車で同じ電車に乗ってた人目がけてブーメランが飛んできて、普通にその人がキャッチしたら。」

上司
「キャッチできたらね。
 でも、多分キャッチ出来ずに頭に刺さると思う。」

部下
「通勤電車に乗ってたら突然?」

上司
「そう。突然。」

部下
「・・・『面白い系』の話でしたっけ?」

上司
「怖い系、怖い系。」

部下
「すみません。
 定期的に確認しないと方向性が迷子になるもので。」

上司
「新卒の面接の試験官とかやるわけじゃん。
 面接中に試験官の頭にブーメランが刺さったら就活生たちはどう思うか・・・。」

部下
「どうって・・・。」

上司
「『この会社、大丈夫かな』って思わないかな。」

部下
「いや、それ以前に目の前の面接官の容体を心配すると思いますよ。」

店員
「すみませーん。
 ちょっと換気のために窓開けまーす。」

上司
「ごめんなさい、窓開けないでください!!
 ブーメラン飛んでく・・・モゴッ!!」

部下
「(上司の口を塞いで)あ、どうぞ開けてください!」

店員
「失礼しまーす!!(窓を開ける)」

上司
「(部下の手を振り払い)お前、殺す気か!!」

部下
「飛んできたら受け止めればいいじゃないですか。」

上司
「お前、わからないだろ!
 常に真剣白刃取りの緊張感が続くんだぞ!」

部下
「ちなみにその実家の友人・・・でしたっけ?」

上司
「大学時代のブーメラン同好会の友人な。」

部下
「ブーメラン同好会って、またニッチな・・・。
 刺さる人いるんですか?」

上司
「(辺りを警戒して)刺さる?!」

部下
「すみません。
 ややこしいこと言いました。
 その実家の人は何日前にどこで見かけたって言ったんですか?」

上司
「3日前に札幌で見かけたって。
 東京に向かって飛んでるところを。」

部下
「札幌-東京間が800キロとすると、
 時速10キロで飛んでたとしたらそろそろ東京に着きますね。」

上司
「マズイマズイマズイ。
 今夜、ブーメラン飛んでくる!!」

部下
「とりあえず札幌に向かって構えましょう。」

上司
「(頭の上で手を叩いて)店員さーん!」

部下
「はーい。」

上司
「札幌どっちー?」

部下
「え・・・、その窓の方です。」

上司
(窓に向かって構える)

部下
「そうです。いいですね。」

上司
(構える)

部下
(見ている)

上司
(構える)

部下
「(見ている)やっぱりこれ、『面白い系』の話じゃないですかね?」

上司
「怖い系だよ!
 一周回って怖い系だよ!」

部下
「あ、ブーメランだけに。」

上司
「うまくないよ!」

部下
「喉渇きません?」

上司
「カラカラ。
 ずっとこの状態だから。」

部下
「水分補給したほうが良くないですか?」

上司
「そうだな。
 すみませーん!!(頭の上で手を叩く)」


(手を叩いたちょうどその手にブーメランが飛んできてキャッチする)


上司
「っ!」

部下
「おー・・・。
 ・・・やっぱり『面白い系』の話なんじゃ?」

上司
「自分の才能が『怖い系』の話でもある・・・。」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

『数年前に投げたブーメランが自分目掛けて飛んでいるらしい』というアイディアから広げたコント。

その噂だけでいろいろ展開できそうですよね。

 

【上演メモ】

人数:3人

上司

部下

店員

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★★★★☆
備考:居酒屋の雰囲気を出すのであれば、周囲にエキストラを配置したり、人のしゃべり声を環境音としていれるなどするといいと思います。

ラストのブーメランキャッチのシーンがとても難易度が高い&一発勝負なのでそこが一番難しいです。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】全校朝会#4
【コント】勝訴
【コント】教習所#2
【コント】カギ屋、呼び出される。
【お題コント】ちびまる子ちゃん

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

【実演したい方へ】

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