Q&A3680 3597の続き | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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Q 2023.3.11「Q&A3597 正常胚2回移植し陰性と流産」に追加で質問

あの後、再度採卵を行って現在2個貯胚があります。今月もう一度採卵し4個くらい胚盤胞を凍結できてから、移植前にリプロの検査を受けにいき移植しようと考えています。GMCSF培養液がすごく気になっているのですが、現在通っているクリニックではありません。

①リプロに胚を移管し、GM-CSF培養液での移植をお願いすることは出来ますか。
②子宮鏡検査をしたことがないのですが、やはり移植前にしておいた方が良いですか。これはBCE検査と同日でも大丈夫でしょうか。
③前回妊娠した時と同じ方法を取るべきとのことで、子宮内膜PRPも2回注入を考えているのですが、子宮内膜はいつも厚くなる+高額なので金銭的に悩んでいます。しかしやはり正常胚1回目陰性、2回目PRP注入で陽性→流産なら高額でも後悔ない為に、PRPすべきでしょうか。
④出血性流産がある場合でも、妊娠判定陽性まではバイアスピリンを飲んだ方が良いと前回ご回答頂きました。リプロの着床不全、不育症検査結果が特に問題がなければバイアスピリンは飲まなくても大丈夫になる場合もありますか。HCGの数値も十分にあり、少量からのいきなりの大量出血での流産の為、バイアスピリンを飲むのが怖くなっています。しかし妊娠した時はバイアスピリンを飲んでいたし、、、と悩んでいます。
⑤正常胚での流産は私側に問題があるのでしょうか。少量の出血でもベットで寝たきりにはならず動いていたので後悔があります。

 

A 

①PGT実施の胚はリプロダクションクリニックへの胚移送はできません。PGTをしていない胚であればリプロダクションクリニックへ胚移送し、GM-CSF培養液での移植が可能になります(ただし培養液が品薄でなければ)。
②他院治療中の方の子宮鏡検査はリプロダクションクリニックでは実施できません。リプロダクションクリニックへ胚移送されるのであれば、BCE検査と同日の実施が可能です。
③妊娠が上手くいった時の方法を踏襲するのがベストですので、Aクリニックの薬剤の使い方で、移植周期4日目にPRP1回目→黄体ホルモン投与開始→移植前日に2回目のPRP注入し移植。タクロリムスも3mg、バイアスピリン、ダクチル服用になります。理由は分かりませんが、違うことをすると妊娠が成立しなくなることがあります。なお、リプロダクションクリニックでは、タクロリムスの処方はできません。
④前回の質問で陽性後の出血と記載されていましたので、(必勝法を踏襲するという意味で)妊娠判定陽性まではバイアスピリンの服用をお勧めします。しかし、バイアスピリンを飲むのが怖いようでしたら、服用はやめておきます。
⑤正常胚の流産も5〜10%でみられ、受精卵のダメージと母体側の要因のどちらも考えられますが、どちらとも断定できません。ご自分を責めるのは精神衛生上あまり得策ではありませんので、気持ちを切り替えて欲しいと思います。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。