本論文は、精索静脈瘤手術による精子DNA損傷改善度に関するメタアナリシスです。
Fertil Steril 2021; 116: 696(ブラジル、デンマーク)doi: 10.1016/j.fertnstert.2021.04.003
Fertil Steril 2021; 116: 657(米国)コメント doi: 10.1016/j.fertnstert.2021.06.053
要約:2021年1月までに発表された、精索静脈瘤手術前後の精子DNA損傷に関する検討を行った19論文1,070名のメタアナリシスを実施しました。全体として、精索静脈瘤手術は、精子DNA損傷(SDF)を7.2%有意に減少させました。精子DNA損傷評価法別では、SCSA法で7.1%減少、TUNEL法で4.6%減少、SCD法で10.1%減少しました。術式別では、マイクロサージャリーで7.2%減少、顕微鏡を用いない開窓術で7.1%減少、腹腔鏡手術で13.6%減少しました。また、術前の精子DNA損傷(SDF)の程度が大きい程、術後の改善度がより大きくなりました(SDF>=20%で8.3%、SDF<20%で3.9%)。
解説:本論文は、精索静脈瘤手術による精子DNA損傷(SDF)改善度に関するメタアナリシスを実施したものであり、SDF評価方法や術式によらずSDFの有意な改善を認めることを示しています。
コメントでは、前方視的検討が必要であり、精子DNA損傷(SDF)検査がもっとポピュラーになって欲しいとしています。
下記の記事を参照してください。
2019.10.13「精索静脈瘤手術の適応拡大:賛成派 vs. 反対派」
2018.12.26「非閉塞性無精子症におけるASRMの治療指針」
2017.10.29「精索静脈瘤手術による治療効果」
2017.9.27「☆精索静脈瘤の応用」
2017.9.26「☆精索静脈瘤の基礎」
2017.1.14「☆男性不妊の原因」
2016.11.26「精索静脈瘤は手術がお勧め」
2015.1.12「精索静脈瘤の治療指針:ASRMの見解」