嬉しい報告とQ&A3438 帝王切開後の移植胚選択 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2018年7月からリプロ東京でお世話になっています。今回無事に出産に至りましたお礼と第二子治療に関しての相談をさせて下さい。


<30歳>
◇採卵①(採卵数5→D3: 8cellG2、D5: 3CC凍結)、採卵時施行したBCE検査は陰性。
◇採卵②(採卵数5→D5: BL2、BL2、3BA、D6: 3CC凍結)
◆移植①(3BA→融解後5BAをSEET法でday5に移植し陰性)
◆移植②(BL2→前日からの融解後6BC、3CC→融解後BL2をGCSF、エンブリオグルーありでday6.5に移植し陰性)
◆移植③(3CC→融解後3CC、BL2→当日融解後BL2をスクラッチ、エンブリオグルーありでday6に移植し判定日hCG8.3⇒化学流産)
<31歳>
◇採卵③(採卵数6→D5: 4AA、4AA、4AA、3AA、3BC凍結)
◇採卵④(採卵数1→凍結できず)
☆ERPeakで着床の窓にズレなし
◆移植④(3AA→融解後5AA、4AA→融解後5AAをスクラッチ、エンブリオグルーありでday5.5に移植し判定日hCG76.2⇒心拍確認後10wで流産、絨毛組織は正常染色体XX)
<32歳>
◆移植⑤(4AA→融解後5グレード不明、3BC→融解後BL2をスクラッチ、エンブリオグルーありでday5.5に移植し判定日hCG274⇒9wと11wにIVIG投与し38wで帝王切開にて出産)
着床の窓を検討して頂きERPeakではズレなしの結果であったものの松林先生からday5.5の移植をプランニングして頂いたことで妊娠することができ、原因不明不育(正常胚で流産)を乗り越えて最終的に無事出産できました。患者個別のレベルの高い治療をしてくださる先生方、スタッフの皆さんには本当に感謝してもしきれません。思うような結果が出なくても改善策を提示してくださるので前を向いて治療に取り組めました。

<33歳>第二子治療開始
◇採卵⑤(採卵数12→D5: 4AB、4AB、3AB、3AB、3CB、D6: 3AB、4BC凍結)
◇採卵⑥(採卵数8→D5: 4AA、4AA、4AA、4BB、4BC、3CC、D6: 4BA、4BB凍結)
<34歳>
◇採卵⑦(採卵数3→D5: 4AB凍結)
◇採卵⑧(採卵数5→D5: 4AB、4BB、D6: 4BC凍結)
◇採卵⑨(採卵数3→D5: 3AA、3BA、3CA凍結)

第二子治療を開始し、運よく直接松林先生にお会い出来た時に良好胚盤胞12個くらいを目標にとアドバイス頂き、やっと貯胚出来たので次は移植を考えています。良好胚盤胞として31歳採卵のD5: 4AA、33歳採卵のD5: 4AB×2、3AB×2、4AA×3、D6: 3AB、4BA、34歳採卵のD5: 4AB×2、3AA、3BAがあります。胚盤胞2個をday5.5に移植するのが自分の必勝パターンのようですしそのつもりで貯胚しておりましたが採卵後診察の際に「帝王切開後なのでまずは1個移植を」とのお話を頂きました。以前別のドクターからは良好胚盤胞とそうでないものを組み合わせる2個移植が良いだろうとご意見頂いていたこともありどうすべきか迷っております。多胎妊娠はなんとしても避けねばならないと思っておりますが第一子では着床しなくて苦労したので自分が双子を妊娠することはないだろうと高をくくる気持ちもあります。松林先生でしたらどの胚からどのように移植するのかご意見頂けると幸いです。

 

A これまでの経過から、質問者さんの必勝法は、スクラッチ、エンブリオグルーあり、胚盤胞2個、day5.5移植です(妊娠したら、9wと11wにIVIG投与)。出産時の胚選択は、4AA+3BCですから、これと同じようなランクの胚を選択するのが良いと思います。もちろん、帝王切開後は1個移植が推奨されますが、2個移植でしか妊娠されない方もおられるのも事実です。この場合には、良好胚1個と非良好胚1個を選べば、双子になる確率は低いと思いますが、ゼロではありません。そこで、(ここから先は医師の考え方ですが)石橋を叩いて渡るタイプの医師は1個移植を勧め、楽観的なタイプの医師は2個移植を勧めます。私なら、4AA(31歳採卵、採卵③D5)+3CC(33歳採卵、採卵⑥D5)で移植します。

 

また、移植の前に、慢性子宮内膜炎とERPeak検査を行なっておいても良いかもしれません(出産後に変化することがあります)。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。