当初、ドイツの日常生活について綴る、
正統派ブログを目指していた私。
ブログを初めて約2週間。
早くも奇人・変人を扱うただのお笑いブログに成り下がってしまった…。
色々、職業学校や、ドイツ語について必死にブログ更新するものの…。
やっぱり行きつくとこはチロル(義父)。
なぜこうなった…。
このブログの大半がチロルに関するものばかり…。
需要があるかも分からないのに、
いわゆる、チロル供給過多。
これも全て、チロルのせいおかげ…。
頼んでもないのに、また話題を提供してくれるとは…。↓
チロルの日課は、夜間の徘徊と夜食探しの旅。
毎朝早起きのチロルは、寝るのも早い。
義母いわく、だいたい9時半には就寝らしい。
いくら早起きでも、9時半に寝れば、
巨体のチロルは深夜、お腹がすくものらしく。
たいがい、夜食用に自分で
ジェリーバナナ
(バナナ味のゼリーをチョコレートでコーティングした、カロリー爆弾)
低カロリーヨーグルト
(一応健康を考えるも、ジェリーバナナでプラスマイナスゼロならぬ、完全プラス状態)
を用意している。
だが、昨晩は違ったらしい…。
なぜなら、
先週金曜日から一昨日まで、スペインのTenerife(テネリフェ?)という島に、
一週間ほど旅行へいっていたから。
つまり、大事な大事な夜食を用意し忘れたチロル。
昨晩も当たり前のように、夜食を求めて深夜徘徊。
当たり前だけど、探しても探してもどこにもない、ジェリーバナナ…。
いやしいチロルは、
キッチン中を探しまわったらしい…。
そして…
なにか、発見したらしい。
それは、ケーキ
まさに、棚からぼたもち(あ、ケーキだけど。)
チロルが発見したケーキを大喜びで食いあさる様子が目に浮かぶ…。
昨夜のケーキがよっぽど嬉しかったチロル…。
チロル:
”Hast du gestern einen Kuchen gebacken”
「きのう、ケーキ焼いたでしょう」
”Der war soooooo lecker”
「超おいしかったーーー」
義母:
”…Hm?”
「…へ」
”Was meinst du?"
「なんのこと?」
チロル:
”Also, der Kuchen, den du gestern gebacken hast"
「いやだから、昨日焼いたケーキの話。」
わたし:
”Hast du gestern einen Kuchen gebacken? "
「昨日ケーキ焼いたんだー。」
義母:
”Nee. Wer? Ich? Kuchen?"
「ううん。だれがわたしがケーキって」
わたし:
”…”
チロル:
”Aber ich habe ihn gegessen!!"
「でも、ホントに食べたんだもん」
義母:
”Aha. Du hast einen Kuchen gegessen. Schoen!
「ほぉー。ケーキをねー。そらーよかった」
"Aber im Traum!"
「でも、夢の中でね」
チロル:
”Wirklich!!!"
「ホントだもん」
義母:
”Du hast wie immer komisch getraeumt."
「どうせいつものように、わけわかんない夢みたんでしょ。」
チロル:
”Aber.....aber....."
「だけど…。でも…。」
なぜか、絶対夢だったと認めないチロル。
義母は義母で、ケーキなんて焼いていないという。
いつもながら、義母に相手にされないチロルが不憫で、
とりあえず話を聞いてあげることに。
わたし:
”Also, was fuer einen Kuchen hast du gegesssen?”
「で、一体どんなケーキを食べたの」
チロル:
”Hm...der war ziemlich trocken…."
「う~ん、結構乾いてたかも…」
”Aber die obere Schichte war schoen weich und creamig"
「あ、でも上の部分は柔らかくてクリーミーだったよ」
説明を聞いているとかなり具体的。
義母は否定するけど、
「やっぱりケーキを食べたの本当じゃないか?」
と思い始めた私…
わたし:
”Hast du den Kuchen aufgegessen?”
「ねえ、そのケーキ、全部食べちゃったの?」
チロル:
”Nee. Nicht alles"
「ううん、全部は食べてないよ。」
わたし:
”Dann kannst du doch beweisen, dass du wirklich einen Kuchen gegessen hast!"
「それなら、食べたってこと、ちゃんと証明できるじゃん」
ということで、義母もつれて、オーブンを確認しにいくことに。
オーブンをのぞくと確かにケーキが
チロルは正しかった
でも…。
義母の顔を見ると…
どうも様子が…おかしい。
わたし:
”Da liegt wirklich ein Kuchen!"
「ケーキ、ほんとにあるじゃん!」
義母:
”Aber ich habe keinen Kuchen gebacken・・・”
「でも、ホントにケーキなんて焼いてない…。」
ますます意味が分からない。
そこに確かにケーキがあるのに、相変わらず否定する義母。
とりあえず、オーブンからケーキを出してみたら…。
わたし
義母 「…………」
チロル
そこで私達が見たものは…。
確かにケーキ。
まぎれもなく、ケーキ。
チロル、嘘はついてない。
でも…。なにかがおかしい…。
何がおかしいって…
色が…。
青緑…。
そう、それは、カビ…。
青緑のカビがモサモサと…。
食べたのか、ソレ
チロル、ホントに食べたのか…
あまりの光景に、言葉を失う義母…。
義母によると、旅行前に焼いたものらしい。
しかも、結構前に…。
いつ焼いたのか、本人もはっきり覚えてないほど。
焼いた後、冷まそうと、そのままオーブンに入れて置いておいたものの、
スッカリ忘れていたらしい。
こうしてチロルが必死にケーキの話をしても思いだせなかったほど。
こんなものを食べて…
それに気づかなかったチロルが信じられないわたし。
というか、こんなものを食べて「クリーミーでおいしかった」
などというやつが、
わたしの義父だなんて…。
受け入れがたい事実。
チロル…どうせなら、全部食べてしまえばよかったのに…。
もうちょっと…
…あとほんの少し、いやしければよかったのにね…。
後悔するも時すでに遅し。
本人も知りたくなかったであろう、悲しい現実…。
さすがのチロルも結構ショックな様子。
チロル:
"Der war wirklich lecker...."
「あまりにおいしかったから…」
"Ich wollte den Kuchen fuer euch noch da lassen...."
「全部食べずに、みんなの為にとっておいのに…。」
わたしたちの為に、取っておいてくれたなんて…。
心やさしいチロル…。
その優しさがこんな悲劇を生みだすなど、
だれが想像しえただろう…。
知らぬが仏とはまさにこのこと。
今度得体の知れないものを発見したときは、
ぜひ一人で食べて尽くしてほしいもの…。