しのりの創作童話通り

しのりの創作童話通り

童話を書き始めたばかりのアラフォーが、これまで書いた童話をブログに載せています。
童話の中でも、特に好きなのは創作昔ばなしです(^^)

 当ブログへご訪問していただいてありがとうございます。

 このブログでは、これまで書いてきた童話などをここに載せていきたいと思います。

 童話を書き始めましたばかりのアラフォーですが、ブログを通して童話や絵本が好きな方や電子書籍に興味がある方と交流したいと思いますので、みなさんよろしくお願いします。

 また、私の本職は行政書士で、童話・絵本・小説・イラスト等の著作権関連の相談(契約書など)の相談も行っているので、著作権や契約書に関心のある方の参加もお待ちしています。


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(C)2012 志良井篠理


※初めて現代を舞台にした創作童話「バケローのクリスマス」が完成しました!

 ■創作童話1 バケローのクリスマス

    バケローのクリスマス(その1)

    バケローのクリスマス(その2)

    バケローのクリスマス(その3)


 ■創作昔話1 げんごろうのおねしょとおにたいじ


 ■創作昔話2 げんごろうのアサガオじまでおとまり

    げんごろうのアサガオじまでおとまり(その1)

    げんごろうのアサガオじまでおとまり(その2)

    げんごろうのアサガオじまでおとまり(その3)

    げんごろうのアサガオじまでおとまり(その4)

    げんごろうのアサガオじまでおとまり(その5)

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しのりの創作童話通り


その3 すくすくげんきいっぱいのきんたろう

 

 おかあさんのおっぱいをいっぱいのんで、すくすくとそだったきんたろう。
 きんたろうが3さいになるころには、きんたろうにいろんなことをおしえてくれたサルたちはもちろん、ウサギ、リス、タヌキ、キツネといったどうぶつたちとおともだちになって、いっしょにあそぶようになりました。


 きんたろうたちは、あしがら山のもりの中でおすもうやかけっこなどしてあそんでいます。なつにはちかくの川やいけなどにいって水あそびやすいえいをしたりしてみんなであそびます。

 「はっけよい、のこったのこった」

 きんたろうはどうぶつたちとおすもうをするのが大すきです。きょうもみんなでおすもうのけいこをしています。

まずは、サルがきんたろうにむかっていきましたが、きんたろうはらくらくとサルをどひょうのそとになげとばしました。つづいて、タヌキやキツネやウサギもきんたろうとおすもうをとりましたが、力もちのきんたろうにはまったくかないません。

それならば、どうぶつたちが力をあわせてきんたろうとおすもうをしましたが、きんたろうはどうぶつたちがたばになってむかってきても、つぎつぎとどうぶつたちをどひょうのそとへなげとばしました。

「さあ、つぎはみんなでかけっこをするよ」

おすもうのけいこがおわると、つぎはみんなで山の上までかけっこをします。

きんたろうは、かけっこをするためにほかのどうぶつたちをよびましたが、どうぶつたちはきんたろうよりもさきに山の上にいちばんのりするために、すでにかけっこをはじめています。

「よ~し、ぼくも山の上までかけっこをするぞ」

きんたろうも山の上にむかってかけっこをはじめました。

すると、きんたろうはあしもはやいので、さきにかけっこをはじめたどうぶつたちをあっというまにおいぬくと、そのまま山の上へいちばんのりしました。

あとから山の上にやってきたどうぶつたちは、山の上につくとすぐにぐったりしてしまいました。しかし、きんたろうはあれだけかけっこをしてもまだまだげんきいっぱいです。

「やっぱり、おすもうもかけっこもきんたろうくんにはかなわないよ」

どうぶつたちも、あれだけおすもうやかけっこをしても力もちでげんきいっぱいのきんたろうにはかないません。




やがて、あしがら山にもあついなつがやってきました。

なつといえば、川やいけやたきでの水あそびです。きんたろうもどうぶつたちも水あそびが大すきです。

きんたろうやどうぶつたちは、川の中に入ってさっそく水のかけあいっこをはじめました。どんなにあついなつでも、みんなで水あそびをすればきもちがいいものです。

「これから、ぼくは川のふかいところへもぐってみんなのためにおさかなをとってくるから、ちょっとまってね」

きんたろうが川のふかいところへもぐると、そこにはおろんなおさかながおよいでいました。きんたろうは、どうぶつたちのためにおさかなをとっているところです。

きんたろうは、力もちでげんきいっぱいなのはもちろんですが、どうぶつたちへのやさしいこころをもった男の子でもあります。また、おさかなをとるときでも、うまれたばかりの小さなおさかなをとることはありません。きんたろうが川の中でおさかなをとるときは、できるだけ大きなおさかなをとるようにしているのです。

フナやアユといったおさかなをいっぱいとれたので、きんたろうは川から上がるとどうぶつたちにおさかなをあげました。どうぶつたちは、きんたろうがおさかなをもってきてくれたのでみんな大よろこびです。

「きんたろうさん、どうもありがとう。またあしたもいっしょにあそぼうね」

「あしたもどうぶつたちのみんなといっしょに水あそびをしようね」

 どうぶつたちは、きんたろうにおさかなをもってきてくれたことにかんしゃしました。そして、おたがいにあしたもいっしょにあそぶやくそくをしておうちへかえることにしました。




 きんたろうは、かわでとれたおさかなをもっておうちへかえりました。

 「おっかあ、きょうもかわでおさかながとれたよ」

 「きんたろう、いつもおさかなをとってきてくれてありがとう」

 おかあさんは、いつもげんきいっぱいのきんたろうを見てにっこりとほほえみながらいいました。

 「そうそう、きんたろうにわたしたいものがあるから、ちょっとまってね」

 おかあさんは、おうちの中から木のはこをもって出てきました。その木のはこはおかあさんにとってはかなりおもいものですが、じめんにおとさないようにゆっくりとあるきながらきんたろうのところまでもってきました。

 「きんたろう、この木のはこをあけてごらん」

 きんたろうは、おかあさんがもってきた木のはこをあけました。そのはこの中からは大きなまさかりが出てきました。

 「このまさかりは、きんたろうのためにおっとうがのこしてくれたものだよ。さあ、まさかりをもってごらん」

 おかあさんがきんたろうにおとうさんのかたみである大きなまさかりを見せると、きんたろうはそのまさかりをもちました。すると、きんたろうは大きなまさかりをらくらくともち上げることができました。

 おかあさんは、らくらくとまさかりをもち上げたきんたろうを見て、力もちでやさしい男の子にすくすくとそだっていることに大よろこびしています。


 あしがら山もすっかりとあかねいろのゆうやけぞらがひろがってきました。

 きんたろうとおかあさんは、いっしょにばんごはんをたべはじめました。きょうのばんごはんは、きんたろうがやいてくれたおさかなとおかあさんがつくってくれたごはんとみそしるです。

 きんたろうがじぶんでとってきたおさかなは、おかあさんもとてもおいしそうにたべています。きんたろうも、おさかなはもちろん、おかあさんがつくってくれたごはんもみそしるもおいしそうにたべています。きんたろうは、いつもおかあさんがつくってくれたごはんをのこすようなことはしません。

 「おっかあ、おかわり」

 「きんたろう、ごはんをいっぱいたべて大きくなってね」

 きんたろうは、ごはんをたべるのがだいすきなのでいつもおかわりをします。おかあさんも、きんたろうがげんきな子どもにそだってほしいので、きんたろうがごはんをおかわりするのを見てにこにことほほえんでいます。

 ふたりがばんごはんをたべおえてしばらくすると、きんたろうはおかあさんのそばにやってきました。

 「おっかあ、おっぱい」

 「ふふふ、きんたろうはおっぱいのおちちも大すきなんだね」

 きんたろうはごはんもよくたべますが、おかあさんのおっぱいをのむのも大すきです。おかあさんもきものからおっぱいを出すと、きんたろうはおっぱいをすいつくようにごくごくとのみはじめました。おっぱいをのんでいるきんたろうのかおを見たおかあさんは、きんたろうがいつもげんきでいることがなによりもうれしいようです。




 きんたろうは、いつものようにどうぶつたちといっしょに水あそびをするためにちかくの川へいくところです。そこへやってきたのは、サルとウサギです。

 「きんたろうさん、はやく川へきて!」

 サルとウサギは、なにやらあわてたようすで、きんたろうにすぐ川にきてほしいといっているようです。

 「そんなにあわてて、どうしたの?」

 「たいへんなの! キツネさんとタヌキさんが川のふかいところでおぼれているの!」

 サルとウサギはせっぱつまったようすできんたろうにいうと、きんたろうはいそいで川のところまではしっていきました。

 「きんたろうさん、たすけて~」

 「おぼれる、おぼれる!」

 きんたろうは、キツネとタヌキが川でおぼれているのを見ると、すぐに川の中にドボーンととびこんでいきました。そして、川のふかいところでおぼれていたキツネとタヌキをたすけました。

 「きんたろうさん、ありがとう」

 「ぼくたちも川の中に入ってあそびたいとおもって、ついふかいところまで…」

 キツネとタヌキは、じぶんたちがおぼれているところをたすけてくれたきんたろうにかんしゃしました。そして、きんたろうみたいにじぶんたちも川のふかいところであそぼうとしておぼれてしまったことをいいました。

 「キツネさんもタヌキさんもぶじでよかったね。これからは、水あそびするときはあぶないところへいかないようにしようね」

 「きんたろうさん、これからはあぶないところであそばないようにするよ」




 「あれ、いままで見たのはゆめだったの?」

 きんたろうがおぼれていたキツネとタヌキをたすけたのは、どうやらゆめの中のできごとだったようです。すると、きんたろうのおしりがひんやりとしているので、すぐにかけぶとんをめくりました。

 「えへへ、きょうもげんきなおねしょがいっぱい出ちゃった」

 きんたろうのおふとんには、きょうもでっかくてげんきいっぱいのおねしょがえがかれています。きんたろうは、おねしょしたおふとんを見ながら、すこしてれながらもげんきなえがおを見せています。

 「ふふふ、きょうもきんたろうのおふとんはげんきいっぱいのおねしょでえがいちゃったね。どんなゆめを見たのかな?」

 「おっかあ、きょうのゆめは川でおぼれたキツネやタヌキをたすけるために川の中にドボーンととびこむゆめを見たんだ。すごいでしょ!」

 「きんたろうはいつもげんきなゆめを見るんだね。でっかいおねしょをしたおふとんとはらがけは、きんたろうがいつもげんきな子どもであるしょうこだよ」

 きんたろうがおねしょをしたゆめの中のできごとをじまんすると、おかあさんもきんたろうのでっかいおねしょをほめています。

 ものほしにほされたきんたろうのおねしょは、まさに川の中にとびこんだときのようなげんきいっぱいのおねしょ。きんたろうにとっても、おねしょしたおふとんとはらがけはげんきな子どものシンボルです。

 おねしょぶとんがほされているものほしのそばで、きんたろうがげんきいっぱいのえがおを見せているのを見て、おかあさんもきんたろうのげんきなすがたを見ながらほほえんでいます。