その2 力もちのきんたろうとおともだち
おかあさんはきんたろうが力もちでげんきにそだっているので、ぬのをつかってなにかをつくりはじめました。よく見ると、それはきんたろうのためにはらがけをつくっているようです。そのはらがけは、きんたろうのからだにあわせるようにつくっています。
おかあさんは、じぶんの目の前でよちよちあるきをしているきんたろうにはらがけをつけました。はらがけをつけたきんたろうは、げんきなえがおでよろこんでいます。
はたけしごとをするためにおかあさんが出かけると、きんたろうもうしろからついてい
きます。きんたろうは、まだよちよちあるきなのでときどきころんだりします。しかし、きんたろうはすぐになくようなよわい子どもではありません。きんたろうはころんでもすぐに立ち上がってふたたびあるき出すつよい男の子です。
おかあさんはじぶんのはたけに入ると、さっそくはたけしごとをはじめました。でも、はたけの中に大きな石があるために、おかあさんのはたけしごとはとてもたいへんです。その大きな石はあまりにもおもいので、おかあさんの力ではうごかすことができません。
これを見たきんたろうはよちよちとあるきながら、はたけの中にある大きな石のあるところへいきました。おかあさんは、いくら石うすをらくらくとひっぱることができるきんたろうでも、それよりもはるかに大きくておもい石をもち上げるのはあまりにもきけんなことです。
おかあさんは、きんたろうに大きな石をもちあげるのをやめさせようとしますが、きんたろうはその大きな石をもち上げようとします。すると、きんたろうは大きなおもい石をらくらくともち上げることができました。そして、その大きな石をきんたろうは力を入れてとおくへなげたのです。きんたろうがなげた大きな石はとおいところにあるたにぞこにすいこまれるようにおちました。
「まあ、きんたろうはなんて力もちでつよい男の子なんでしょう」
おかあさんは、きんたろうが大きな石をらくらくともちあげてとおくへ大きくなげたのを見てたいへんびっくりしました。でも、あれだけの力もちだったら、きんたろうはりっぱなさむらいになってくれるのではといまからたのしみにしているようです。
大きくておもい石をとおくへなげたきんたろうは、すぐにおかあさんのところにやってきました。そして、きんたろうはおかあさんにはじめてじぶんでおぼえたことばをいいました。
「おっかあ、おっぱい!」
おかあさんは、きんたろうが「おっかあ」と「おっぱい」ということばをおぼえてくれたことがなによりもうれしいです。いくら力もちであっても、きんたろうはまだ1さいになったばかりの男の子なので、おかあさんにおっぱいをほしがるのはあたりまえです。
おかあさんがきものからおっぱいを出すと、きんたろうはすぐにおかあさんのおっぱいをのみはじめました。きんたろうはおかあさんが大すきなので、おっぱいをいっぱいのんでいるようです。
きんたろうがおっぱいをのみおえると、はたけのちかくのいわからサルがいっぱいやってきました。サルたちはきんたろうが力もちで大きな石をとおくへなげたのを見て、さっそくきんたろうにおともだちになろうよとさそいました。
「わ~い、みんなともだち、ともだち」
きんたろうはおぼえたばかりのことばをサルたちにはなしかけると、サルたちもすっかりきんたろうとおともだちになりました。
サルたちは、きんたろうに木のぼりやさかだちなどをおしえました。
木の上にあるくだものをとるためには、木のぼりができなければとることができません。
サルたちがらくらくと木をのぼっていくのを見たきんたろうは、そのあとをついていくように木をのぼりはじめました。すると、きんたろうはすこしずつ木の上へむかってのぼっていきました。
そして、木の上までのぼってきたきんたろうを見たサルたちは、木のぼりをすぐにおぼえたきんたろうをほめました。サルたちにほめられたきんたろうも、なんだかうれしそうなひょうじょうを見せていました。
つぎは、さかだちをサルたちがきんたろうにおしえます。サルたちは、じぶんでさかだちしてから手をつかってあるいています。きんたろうも、サルたちのようにじぶんでさかだちをしようとしますが、さいしょはさかだちしようとしてもなかなかできません。
「きんたろうくん、もうちょっとでさかだちができるよ。がんばって!」
きんたろうはサルたちからのおうえんをうけて、じぶんでさかだちができるようにがんばります。そして、きんたろうはついにじぶんでさかだちをすることができたのです。
「さかだち、できた、できた」
きんたろうは、さかだちしたままでサルたちのところまでじぶんの手をつかってすこしずつあるいていきました。さかだちがすぐできるようになったきんたろうを見たサルたちも大よろこびです。よく見ると、サルたちの前でさかだちをしているきんたろうのはらがけが下にめくれて、かわいいおちんちんがまる見えになっています。
「きんたろうくん、さかだちもできるようになったね。ぼくたちも、かわいくてげんきいっぱいのきんたろうくんといっしょにあそぶのが大すきだよ」
サルたちがそういってくれるので、きんたろうもうれしそうなえがおを見せています。
サルたちといっしょにあそんだきんたろうは、はたけしごとがおわったおかあさんといっしょにおうちへかえることにしました。そして、きんたろうはいつものようにおかあさんのそばにやってきました。
「おっかあ、おっぱい!」
おかあさんのはたけにあった大きくておもい石をとおくへなげたり、サルたちといっぱいあそんだきんたろうは、おなかがすいていたのでおかあさんのおっぱいをほしがっていたようです。おかあさんは、いつものようにきものからおっぱいを出すと、きんたろうはごくごくとおっぱいをいっぱいのんでいます。
おっぱいをいっぱいのんだきんたろうは、あそびつかれたのですぐにねむくなったようです。きんたろうがすやすやとねむっているのを見て、おかあさんはきんたろうをふとんの上にねかせてからかけぶとんをかけました。
そして、つぎの日のあさのことです。
きんたろうのおうちから、きんたろうのげんきなこえがきこえてきました。
「おっかあ、見て見て」
きんたろうがおかあさんをよんだのをきいて、おかあさんはきんたろうのところへきました。おかあさんをよんだきんたろうは、ふとんの上にたちながらげんきなえがおを見せています。
「きんたろうは、きょうもげんきなのがいっぱい出たね」
おかあさんはにこにこしながら、きんたろうのおふとんのところを見ると、でっかくぬれているのがすぐにわかりました。おふとんの上にたっているきんたろうのはらがけも下のところがぬれています。
きんたろうは、おふとんにげんきいっぱいのおねしょをでっかくえがいたようです。どうやら、きのうのよるにおかあさんのおっぱいをたくさんのんだきんたろうが、げんきなゆめの中でおしっこをしたことで、みごとなおねしょをえがいたのです。
でも、まだ1さいになったばかりの子どもがおふとんにおねしょをするのはあたりまえのこと。きんたろうはおふとんへのげんきなおねしょをいつもやさしくほめてくれるおかあさんのことがいつも大すきです。
そして、きんたろうがいつもげんきいっぱいなのはおかあさんのおっぱいのおかげ。
「おっかあ、おっぱい!おっぱい!」